新車試乗レポート
更新日:2018.11.25 / 掲載日:2018.03.01

【試乗レポート】ランエボの血を受け継ぐSUV。三菱エクリプスクロスを雪上ドライブ

文●竹岡 圭 写真●三菱自動車

 三菱自動車、超久々の新車ということで話題と期待が高まっているエクリプスクロス。2世代目のアウトランダーがリリースされた2012年以来の新車になりますから、じつに6年ぶりなんですよね。しかもまったく新しいクルマという意味では、2007年のデリカシリーズのデリカD:5以来ということになり、なんと11年ぶり。メーカー、販売店、三菱ファン、自動車ファンの注目を集め、そしてさほどクルマに特別な興味があるわけじゃないという方まで巻き込んで話題になっているモデルなのです。

 話題になる理由のひとつは、とにかくカッコイイ! から。いわゆるクロスオーバーSUVなんですが、4ドアクーペっぽさと、SUVらしさを上手く融合させたデザインになっていると思います。三菱らしい頼もしさを盛り込みつつ、他に似ている車種がないというのも、また個性的でいいんですよね。
 そしてこのクルマはアウトランダーがベースというところも、魅力になっていると思います。アウトランダーがベースということは、アウトランダーPHEVやデリカD:5と通じるところもあるわけで、その運動性能や走破性の高さは折り紙付き。
 とくにデリカD:5は、あのダカールラリーの伴走車として完走しているほどの信頼性の高さを誇るモデル。街中から砂漠まで走り抜いてきた走破性を受け継いでいるはずですから、期待感で胸躍ってしまうわけですよ。今回は北海道で特設会場を準備しての雪上試乗ということなので、乗る前からワクワクドキドキ、胸いっぱいでございました。

モータージャーナリストの竹岡 圭さん。人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!」の司会としても人気。2017年からは全日本ラリーにも参戦している

4WDであることを意識させない緻密で巧みな制御

 そして乗ってみたら、これがまぁ楽しいったら! 最近のAWDって、本当によく曲がるんですよね! ひと昔前までのAWDは、発進できないという不安はないものの、まぁ直線番長で曲がらなかったけど、いまやFFよりもよっぽど曲がるくらい。
 そのなかでも三菱のS-AWCは本当に見事に曲げてくれるんです。こちらは4WDとAYCとABSとASC等々を統合制御させているのがポイントで、元はランサーエボリューションで培われた技術というだけのことはあり、言ってみれば速く元気よく走らせるためのAWDシステムなんですよね。
 これはランエボやアウトランダーとは違うもので、車格や車両の特性に合わせて、電子制御カップリングの特性が上手く使われています。電子制御カップリングは、速くまわっている方の車軸にトルクが配分されるので、低速時は後輪よりも前輪の方を速くまわし、高速時は前輪より後輪の方を速くまわすことで、上手に前後間のトルク配分をしているというわけなんですね。
 また、総合ヨーモメント制御に基づくブレーキAYC制御、つまり曲がりにくいときにブレーキを「チョン、チョン」と摘まんで曲がりやすくしてくれる制御も取り入れられています。
 そんな細かいシステムの説明はまぁいいか!と言いたくなるほど、実際試乗してみますと、制御の細かさに驚かされちゃったんですよ。痒いところに手が届く制御とでも言えばいいでしょうか。邪魔しないけど、ちょうどイイんです。

ドライバーの意思を汲み取って車体を制御する三菱の4WD技術「S-AWC」

 エクリプスクロスのS-AWCは、「AUTO」「SNOW」「GRAVEL」の3つに分かれているのですが、今回は雪上試乗ということもあり、SNOWが走りやすかったのは言うまでもなさそうなので、試しにESPをOFFにしてみたりして。結果はやはりSNOWがいちばんラクに走らせてもらえました。いい具合でトラクションがいちばん掛かるので、発進はもちろん、コーナーの立ち上がりでのコントロールもしやすいんですよね。
 ちなみにAUTOではホイールスピンがいちばん多く、GRAVELは前後駆動力配分が50対50に近い制御になるので、若干アンダーステアが強くなり曲がりにくくなる上に、SNOWよりもピークで強めにトラクションが掛かるので動きが若干神経質でした。自分でコントロールしたい人向きのセッティングと言えそうです。
 制御の介入も、舵角が大きいほど強めの制御が入り、より曲がりやすくしてくれるなど、ドライバーの意図をくみ取ってクルマが動いてくれるので、素直なリアル感覚で運転できるため走っていて気持ちイイ、爽快なんですよ。 その他、基本的なチエックポイントも、ドライビングポジションはきちんと取れますし、Aピラー周りもさほど邪魔にならずに視界良好。後方視界もダブルの窓が予想以上に効いていて、真後ろ視界もいい感じ。
 室内の広さも広すぎず狭すぎず。後部座席もデザインの妙で、パッと見たほどルーフが下がっておらず、ヘッドクリアランスも問題ナシでした。
唯一気になったのが、後部座席をスライドした時に、ラゲッジとの間に隙間ができてしまうこと。ここは何かフタをするか、いっそ物入れを作るなんていう手は、アリじゃないかな~と思います。

 とにもかくにも、デザイン性とパッケージング性とユーティリティ性と、そして安心かつ楽しめる運動性能が、ギュッと凝縮して詰め込まれているエクリプスクロス。より低速度で挙動が出やすい雪上でもコントロール性抜群だったので、オンロードでもかなり期待ができそうです!

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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