新車試乗レポート
更新日:2018.11.18 / 掲載日:2018.02.28
VOLKSWAGEN Passat TDI / Passat Variant TDI

燃費だけでなく、ディーゼルならではの力強い走りにも期待
東京モーターショーでの予告通り、ディーゼルエンジンを搭載するパサート/パサートヴァリアントが発売された。これでパサートシリーズはガソリンターボ車(TSI)、プラグインHV(GTE)、クリーンディーゼル車(TDI)の3タイプが選べることとなった。TDI車の価格はTSI車比で15~35万円高となるが、その分、低回転からトルクフルで力強い走りや、燃料代・税金などのコストメリットが得られる。
今回投入された日本仕様のTDIは、世界的に見ても厳しい日本のポスト新長期排ガス規制をクリアし、昨年のうちに国内認証を取得済み。この新型TDIは第3世代のEA288型で、ソフトウェア不正が問題となったEA189型(第1/第2世代)とは別ものだ。ちなみにEA189型のリコールは、1週間に約10万台ペースで順調に実施されており、今年2月時点のリコール達成率は、ドイツ国内=90%、ヨーロッパ=78%以上だという。
VOLKSWAGEN パサートTDI/パサートヴァリアントTDI【グレード追加】
パサートTDI
主要諸元(ハイライン)
※オプションを含まず
●全長×全幅×全高(mm):4785×1830×1470
●ホイールベース(mm):2790
●車両重量(kg):1560
●駆動方式:FF
●パワートレーン:1968cc直4DOHC直噴ディーゼルターボ(190PS/40.8kg・m)
●トランスミッション:6速DCT
●JC08モード燃費(km/L):20.6
●燃料タンク(L):59(軽油)
●最小回転半径(m):5.4
●タイヤサイズ:235/45R18
●価格:489万9000円パサートヴァリアントTDI
主要諸元(ハイライン)
※オプションを含まず
●全長×全幅×全高(mm):4775×1830×1510
●ホイールベース(mm):2790
●車両重量(kg):1610
●駆動方式:FF
●パワートレーン:1968cc直4DOHC直噴ディーゼルターボ(190PS/40.8kg・m)
●トランスミッション:6速DCT
●JC08モード燃費(km/L):20.6
●燃料タンク(L):59(軽油)
●最小回転半径(m):5.4
●タイヤサイズ:235/45R18
●価格:509万9000円
EA288型直噴ディーゼルターボ

新世代ディーゼルエンジンシリーズ「MDB(モジュラーディーゼルエンジンシステム)」の基幹ユニット。酸化触媒やSCR(選択触媒還元)などにより、世界的にも厳しい日本のポスト新長期排ガス規制をクリア。
給油口脇の青いフタは、尿素SCR用AdBlue(尿素水)の注水口だ。
エアコンの吹き出し口を利用して水平のラインを左右いっぱいに通し、落ち着いた雰囲気に。中央の9.2インチ大型ディスプレイがインフォテイメント&コネクティビティ機能の視認性・操作性を高めている。
横置きFFの利点を活かした広い室内も見どころのひとつ。TDI全車にシートヒーターを装備し、ハイラインはベンチレーション機能付きのナパレザーシートを標準装備する。
フォルクスワーゲンのTDI戦略 ~クリーンディーゼルの現在と未来~
TDIの日本導入にあたり、トークセッションが開催された。そこで語られたディーゼル開発の現在と未来とは・・・。
基調講演はVW本社の先進ディーゼルエンジン開発部長・ポット博士(中)とジャーナリストの清水和夫氏(右)。石井昌道氏が加わってトークセッションも行われた。
ディーゼル開発は今後も重点項目だ
完全EV化までの商品構成は全メーカーが抱える難問だが、フォルクスワーゲンは今後もディーゼル開発に力を注ぐという。その理由のいくつかを図版とともに紹介する。
ガソリン車より力強く、低燃費
ディーゼル重視の理由のひとつが、ガソリンエンジンに対する優位性だ。優れたトルク特性に加え、ユーザーの実走データではガソリン車より20%良好な燃費が記録されているのだ。
TDIの仕組み
厳しさを増す規制に対応するには、エンジン本体に留まらず、吸気や排ガスについても対策が必要不可欠となっている。二刀流でクリーンに
窒素酸化物(NOx)対策は排気温度に依存するため、NSC(NOx吸蔵触媒)とSCRを併用して広範囲をカバーする。
バイオ燃料を活用
温暖化対策では、CO2を増やさないバイオマス由来燃料の活用が有効。使用燃料の許容範囲が広いディーゼルはうってつけだ。EV化は徐々に進む
トークセッションでも言及されたが、世界一斉のEV化は不可能。EVでトップを狙うVWでも、’25年目標の純EV比率は25%だ。