新車試乗レポート
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2017.12.26

実力派“軽”ハイトワゴン スペーシア 堂々のフルモデルチェンジ

●発売日:’17年12月14日
●価 格: 133万3800~190万8360円
●販売店:スズキ全店
●問い合わせ先:0120-402253

スペース効率をより高めレジャー用途も広げた新型

 新型スペーシアの全高は1785mmもある。先代に比べて50mm拡大されたが、これはスーパーハイト系の元祖といえるタントでも同じ傾向がみられる。日本人男性の平均身長を超える高い全高が特徴だが、重要なのは高さの使い方。一般的に居住スペースや荷室拡大に向けられるが、杓子定規にスペース効率を追求しないところにスーパーハイト系の特徴がある。
 スペーシアの室内高は1410mmである。これは1BOX型ミニバンヴォクシーを上回るが、座面高設定はハイト系に近い。乗降性等を考慮した設定だが、スペース効率面では無駄に天井が高い。しかし、広々としたヘッドルームは視角的圧迫感を減らし、また上方視界に優れた見晴らしをもたらし、それが他ジャンルでは得られない独特な乗車感覚を実現した。
 ただし、これまではファミリー志向の「和み感」を全面に出していたが、新型ではレジャーワゴンの要素を高めたのも特徴である。荷室積載性や居住性の向上などキャビン機能に改良を加えるだけでなく、安全&運転支援機能や装備の充実でロングドライブ適性も改善。既存の軽乗用車ユーザーだけでなく、登録車からのダウンサイザーを見据えているのも特徴だ。

  • LEDリヤコンビランプやバックドアのメッキガーニッシュが目を引く個性的なリヤデザインも魅力的。

  • 標準系は朗らかな可愛らしさが特徴的なシンプルデザイン。ルーフレールはセットオプションとなる。

 新型スペーシアは“スーツケース”をモチーフにデザインされた。また、室内の広さと外観上のボリューム感を両立すべく、フロントガラスとリヤガラスを先代よりも立たせ、フードやベルトラインを高めたのが大きな特徴だ。写真のカスタムは大型メッキフロントグリルやワイド感を強調するアンダーグリルを採用しスポーティ感と個性を際立てている。

  • NAは658cc直4DOHC(52PS/6.1kg・m) +モーター(2.3kW/50N・m)

  • ターボは658cc直4DOHC(64PS/10.0kg・m) +モーター(2.3kW/50N・m)

 0.66L NAとターボの2種を用意。また、高出力化したISGと大容量化したリチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドを全車搭載した。最長10秒間のモーターによるクリープ走行、最長30秒間のモーターアシストを行う。この結果、ボディサイズを拡大しながらも低燃費を実現している。

より箱型に進化した外観、パワトレは電動化を高める

 レジャー用途を意識したコンセプトは外観にも現れている。フロントウインドウを立ててキャビン周りのボックス感を強め、ボディサイドにはタフなスーツケースを思わせる太いプレスラインが入る。さらにルーフレールまで用意されている。1・8m近い全高でルーフレールが現実的かは別としてレジャー用途向けのモデルらしい雰囲気はばっちりである。
 走行ハード面で注目されるのはパワートレーンだ。ベーシック仕様から全車にマイルドハイブリッドを採用するのだ。システム構成は従来同様にセルモーターと発電機を兼ねたISGとエンブレ回生充電を高めるリチウムイオン電池によるが、新型車では大容量化を図り、さらに強力な回生充電と停車前アイドリングストップ時や発進時のクリープ走行で電動走行を行えるようになった。また、ISGによるパワーアシスト時間も最大30秒に延長されるなど、マイルドハイブリッドとしては広範囲で電動を利用。スペック以上に実用動力性能を重視した設計であり、扱いやすさと実燃費優先と言えよう。
 なお、NAとターボが設定されているが、ターボはカスタム系の最上級グレードに限定。全車でFFと4WDが設定される。

  • カスタムはブラックパールのカラーパネル、メッキ加飾が特徴。随所にレッドステッチがあしらわれスポーティ感を演出。メーターデザインもカスタムは3連タイプ(一眼メーター)。

  • スーツケースをモチーフにしたインパネアッパーボックスをはじめ収納スペースは豊富に用意されている。

  • 全方位モニター。従来からあった真上からの映像に加え、軽乗用車初となる3Dビュー(室外視点/室内視点)機能を搭載した。

  • ッドアップディスプレイ。軽自動車初、フロントガラス投影式を採用し視認性と安全性をより高めた。

  • カスタムの前席は、肩まわりを強調した迫力あるデザインが特徴。運転席シートヒーターは全車標準。

  • 助手席バックレストは可倒式。長尺物の積み込みに威力を発揮するほか、停車時の休憩テーブルにも。

  • リヤシートは210mmスライドするほか、無段階のリクライニングによって広さと快適さを両立している。

  • ワンアクションで素早く格納/復帰できる50:50ワンタッチダブルフォールディング式リヤシートを採用。

  • 荷室開口地上高は先代より25mm低い510mmを実現。これにより自転車の積み込みもより簡単に。

  • 自転車をスムーズに積み込むための“くぼみ”をバンパー上部に新たに設置。細かい気配りが嬉しい。

  • 単眼カメラとレーザーレーダーを併用し前方を監視。人やクルマを検知作動する衝突被害軽減ブレーキほか、車線逸脱警報機能やハイビームアシストなどの機能を備える。

  • リヤバンパーに内蔵した4つの超音波センサーが車両後方の障害物を検知し必要に応じて自動ブレーキを作動させる。後方へ誤発進した際も作動するので安全性向上に大きく寄与する。

  • サーキュレーター。前席上部に設置。風を送って車内の空気を循環し、エアコン使用時の前後席の温度差を少なくする。

  • ロールサンシェード。直射日光を遮り、またプライバシー保護にも役立つ。

  • 助手席アンダーボックス。取り外し可能なバケツタイプであらゆる用途に対応。

実用性と安全性をより高め日常域の使い勝手が向上!

 助手席アンダーボックス等の豊富なモノの格納、スライド機構を備え独立分割収納が可能な後席といったキャビン内の基本機能は従来車を踏襲。若干ながら拡大したキャビンスペースと相まって軽乗用車トップクラスの居住性と積載性である。従来車と大きく印象が異なるのはインパネだ。パッド型PC様のモニターの設定など、現代的な洒落た道具のような趣だ。
 レジャードライブの心強い味方となる運転支援機能だが、見逃せないのが軽乗用車初のウインドウ投影型HUDの採用だ。速度等の走行情報に加えて、進入禁止標識認識機能、緊急自動ブレーキ警報等も表示する。また、俯瞰表示全周モニターには3Dビューや車体を透かした形で表示する「室内視点」等の多彩な表示機能を採用。前後の左右死角の人や物を検出、接近時に警報を発するサポート機能も搭載する。誤発進抑制機能は軽乗用では初めて後退にも対応。デュアルセンサーブレーキサポートやハイビームアシストなどタウン&レジャー用途の安心と扱いやすさ向上の実践的な安全&運転支援機能を採用する。
 進化が多岐にわたる新型スペーシア。公道での実力もきっと高いだろう。試乗が楽しみな1台だ。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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