新車試乗レポート
更新日:2018.11.15 / 掲載日:2017.10.19
シトロエン C3 試乗レポート

シトロエンC3がフルモデルチェンジを受けた。個性派ブランドのコンパクトハッチバックは、これまでの「小粋なエレガンス」といったイメージから、アクティブ&スポーティに大変身を遂げた。
大変身したルックスと出来栄えのよさに注目
先代シトロエンC3は上方向に長いフロントウインドウが特徴的だったが、フルモデルチェンジによって大変身した。基本的にはBセグメントのハッチバックだが、ボンネットが高く、ブラックのフェンダーアーチなど、クロスオーバーSUV風のディテールで存在感は抜群。ダブルシェブロンに連なるデイタイムランニングライトと、その下の独立したヘッドライトの組み合わせによるフロントマスク、サイドのエアバンプ、ルーフやミラー上部といったボディをバイトーンカラーとして楽しめるカラーコーディネイトなど、ユニークこの上ないデザインだ。最近のBセグメントはベーシックカーという枠を超えてキャラの立った個性派が多いが、C3は頭ひとつ抜けている。
その一方でメカニズムやスペックはいたって普通。全長3995×全幅1750×全高1495mmに2535mmのホイールベース。プジョー206とほぼ同一のボディサイズは日本の都市部でも使いやすい。後席も余裕たっぷりというほどではないものの、大人が座れるだけの空間にはなっている。
エンジンはピュアテックと呼ばれる直列3気筒1.2L直噴ターボで6速のトルクコンバーター式ATと組み合わされる。最高出力110馬力/5500回転、最大トルク20.9kgm/1500回転というスペックにときめきはないが、実際に走らせると想像以上にトルクフルで、ハイレベルなドライバビリティもみせてくれる。発進時など超低回転域でもモリモリと力がわいてくる感覚があり、力強くボディを押し出していく。それもガツンとした急な動きはなく、最初はジワリと優しく背中を押しつつも頼もしい。同じ排気量なら気筒数が少ないほうが、超低回転域のトルクは強く感じるが、3気筒をチョイスして正解。比較的高圧(200バール)のインジェクターも小排気量らしからぬ力感の要因だろう。

昔からシトロエンのエンジンは常用域トルクが充実していて、スペック以上の扱いやすさを感じたが、そのなかでもピュアテックは秀でている。これならディーゼルもいらない?と思うほど。高回転域でも頭打ち感が少なく、ガソリンらしいキレのよさがある。とりたてて速くはないが、優れたドライバビリティとほどよい楽しさがあるエンジンだ。
パワートレーン以上にニンマリとさせられてしまうのが、ソフトタッチでストローク感がたっぷりとしたサスペンションだ。昔のシトロエンのようにフンワリとしているほどではなく、街や高速道路を走らせても現代的にシャキッとはしている。だが、大きな凹凸を通過してもスイッと足が動いてボディをフラットに保ちつつ何事もなかったように入力をいなして快適。コンパクトなボディながらどっしりとした感覚もある。
ワインディングロードを走らせても独特の味わいだ。コーナーへ向けてステアリングを切り込んでいくと、最初のノーズの動きは素直で鈍くはないものの、深くロールしていくので曲がり方は穏やか。だからスポーティな印象は受けづらいのだが、ストロークしていくごとにタイヤが粘っこく路面を捉えていき、驚くほどのグリップ感とともにラインをトレースしていくコーナリング特性には大きな安心感がある。それは路面が荒れていても挙動変化が少なく、コントローラブルだからだ。
キュンキュンとゴーカートのように動くモデルが好きだ、というひとには敬遠されそうだが、落ち着きがあって乗り込むほどに味わいが深くなるC3。一度ハマると病みつきになってしまいそうだ。
文●石井昌道 写真●グーワールド、シトロエン
問い合わせ シトロエン コール TEL:0120-55-4106
Detail Check

迫力すら感じさせるフロントマスクの存在感。エアバンプは、フラットなサイド面によく映える。カタマリ感のあるデザインは洗練されている。
コックピット
コックピット
「乗るひとの感覚を最優先した」という直感的なインテリアデザインは、操作性、視認性の高いディスプレイ、スイッチひとつの扱いやすさにも配慮。
インテリア
インテリア
シートのつくりのよさはシトロエンの伝統だ。コンパクトモデルの枠を超えた、幅広で心地のよいシートとなっている。後席は足もとのスペースも十分で、大人もしっかり座れる快適性は想像以上だ。
エンジン
エンジン
1.2L直3ターボエンジンは、低速のトルクがあって、コンパクトなボディを小気味よく走らせる。燃費も18.7km/L(JC08モード)と良好だ。
ラゲッジルーム
ラゲッジルーム
ラゲッジルームは通常で300L、後席を展開した状態で922Lの容量。とりたてて変わった機能はないが、日常の使い勝手は申し分ない。
デザイン
デザイン
ドアハンドルは旅行カバンがモチーフだという。軽い衝突からボディを守る「エアバンプ」は、デザイン上のアクセントとしても注目を集めるアイテムだ。
主要諸元:シトロエン C3(6速AT)
全長×全幅×全高 | 3995×1750×1495mm |
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ホイールベース | 2535mm |
トレッド前/後 | 1480/1480mm |
車両重量 | 1160kg |
エンジン | 直3DOHCターボ |
総排気量 | 1199cc |
最高出力 | 110ps/5500rpm |
最大トルク | 20.9kg m/1500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トーションビーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 205/55R16 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2017年7月)
C3 フィール(6速AT) | 216万円 |
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C3 シャイン(6速AT) | 239万円 |
Body Color
■アーモンドグリーン □ブランバンキーズ ■コバルトブルー ■ノアールペルラネラ ■オレンジパワー ■ルージュ ルビ |
目の前の景色や出来事を逃さず撮影するコネクテッドカム
ドライブでの景色などを撮影できる、GPS搭載のフルHDカメラが、世界ではじめて標準装備された。ルームミラーに装着された「コネクテッドカム」は、写真や動画をワンタッチで撮影でき、スマートフォンと接続してSNSでシェアすることもできるなど、新時代のコミュニケーションツールといえる。