新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2017.09.05

【試乗レポート】マイナーチェンジで変身! ムーヴ カスタムは軽の王道を突き進む!!

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝

 王道の頂点。ダイハツ ムーヴ カスタムというクルマは、そういうポジションにある。ハイパートール系に人気は奪われたものの、ムーヴは大人4人が快適に乗れるオールラウンダーであり、ダイハツにとってはブランドのイメージをもかける大切な主力商品なのだ。そのなかでもムーヴ カスタムは、デザインや装備についても妥協を排したシリーズのトップモデルという位置付けになる。

 6代目となる現行型が登場したのは2014年12月のこと。それまで熾烈を極めた燃費競争の弊害であった燃費優先の味付けを、燃費性能を高レベルで維持した上で運転のしやすさ重視へと舵を切ったことでも注目を集めた。そして2017年8月1日、歩行者にも緊急ブレーキ対応する「スマートアシストIII」を搭載するなど、安全安心性能を向上し、内外装をリフレッシュするマイナーチェンジを行なった。今回試乗したのは、ムーヴ カスタムのなかでも最上級グレードとなるRS“ハイパー SAIII”だ。

  • ムーヴ カスタム RS“ハイパー SAIII”

  • ボディカラーはレーザーブルークリスタルシャイン

より引き上げられた質感と安全性能

 まず、内外装の変更点について紹介しよう。新しいムーヴ カスタムを象徴するのが、フロントマスクをキリリと引き締める多灯薄型LEDヘッドランプ。さらにメッキフロントグリルとバンパーも新デザインを採用することで、フロントマスクの印象はガラリと変わった。マイナーチェンジ前のモデル(ムーヴ カスタム ハイパー)が「X」をモチーフにした斬新なデザインであったのに対して、新型ではメッキグリルとヘッドライトがワイド感をアピールし、台形のバンパー開口部がどっしりとした安定感のあるフォルムを形成。幅広さと同時に、落ち着きのある上質なテイストへと変身した。一方のリヤは、リヤコンビネーションランプのインナーレンズをスモーククリアとし、透明感のある仕上がりとなっている。フロントに比べると変化の差は小さいが、フロント同様に高品質なイメージである。アルミホイールについても15インチ(ムーヴ カスタム RS“ハイパーSAIII”)、14インチ(ムーヴ カスタム X)ともに新デザインを採用した。
 ドアを開けシートに腰掛けると、室内の印象が変わったことに気がつく。変更点は色柄の変更がほとんどではあるが、マイナーチェンジ前はスポーティかつクールなイメージだったのに対して、新型ではインパネがディープマルーンとなり、エアコン吹き出し口がプレミアムシャインブラックとなったことで、ぐっと大人っぽい仕上がりとなった。パネルの柄についても安易に木目調とするのではなく、幾何学模様を取り入れたことが好印象だ。
 今回採用された「スマートアシストIII」の特徴は、小型ステレオカメラを搭載することにより衝突回避支援ブレーキが歩行者にも対応したこと(対車両:約4から80km/h、対歩行者:約4から50km/h、衝突回避はいずれも4から30km/h)。また、4カ所のカメラにより、車両を真上から見下ろしたような映像をナビ画面に映し出す「パノラマモニター」も採用している。

軽自動車トップレベルの重厚感のある乗り味

 今回のマイナーチェンジでは走りに関する変更点はないが、確かにその必要性を感じさせないくらい走りの印象はよかった。とくに信号が青に変わってから加速していく際に、アクセルを大きく踏み込まずともスルスルと加速していくのが気持ちいい。ステアリングに備わる「PWR」ボタンを押すことで「D assist」と呼ばれるモードとなり、さらにパワー感を引き上げることもできるが、今回の試乗では必要に迫られることもなかった。パワーがあるというよりも、エンジンの力が無駄なく地面へと伝えられているという感触なのだ。だからこそ、必要以上にアクセルを煽ることをせずとも、結果としてスムーズかつ静かに走れてしまう。
 市街地で流れに乗るような走りをしている際はクルマの姿勢はフラットに保たれており静粛性も上々、普通車からの乗り換えであっても納得できるだけの質感を提供してくれる。とくにサスペンションのしっかり感、しっとりとした味付けは特筆もので、普通乗用車からの乗り換えでも十分に満足ができるだろう。ムーヴはフルモデルチェンジした際にモノコック構造を強化し、軽量でありながらも走りに影響の出るサスペンションの取り付け部やボディのねじり剛性を先代モデルから大幅に高めたが、その基本性能は2017年のレベルでみても十分にハイレベルだ。
 もうひとつ印象的だったのがアイドリングストップ制御で、車速がゼロになる前から積極的にエンジンをカットする一方で、ドライバーが「発進したい」とブレーキから力を抜くやいなやすばやくエンジンは復帰し、その際の振動も十分に抑制されている。日常的に使いたくなるアイドリングストップである。

 今回、マイナーチェンジを機にムーヴ カスタムを改めて試乗することができたが、内外装のしっかりとした作り込み、動的質感の高さは軽自動車トップクラス。タントやムーヴ キャンバスといった強力なキャラクター性を持つモデルが身内にいるからこそだろう。直球勝負の「軽自動車の王道を突き詰める」というコンセプトが、今回の改良によってさらに磨き上げられたのは間違いない。


ダイハツ ムーヴ カスタム RS“ハイパー SAIII”(CVT)
全長×全幅×全高 3395×1475×1630mm
ホイールベース 2455mm
トレッド前/後 1305/1295mm
車両重量 850kg
エンジン 直列3気筒DOHCターボ
総排気量 658cc
最高出力 64ps/6400rpm
最大トルク 9.4kgm/3200rpm
JC08モード燃費 27.4km/L
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ドラム
タイヤ前後 165/55R15

販売価格 137万1600円~174万9600円(全グレード)

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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