【試乗レポート】マイナーチェンジされた日産 エクストレイルが示す洗練

新車試乗レポート [2017.07.03 UP]

【試乗レポート】マイナーチェンジされた日産 エクストレイルが示す洗練

日産 エクストレイル 20X HYBRID 4WD

文●ユニット・コンパス  写真●川崎泰輝

 2013年に登場した3代目エクストレイルは、ルノーと共同で開発したエンジニアリングアーキテクチャーを初めて採用し、それまでのエクストレイルが持っていた「タフな4WDモデル」という印象から、「先進テクノロジー満載で低燃費」というように大きくイメージチェンジしたモデルだ。そのエクストレイルがマイナーチェンジされ、6月8日の発売からわずか10日間で5000台以上を受注し、出足が好調だという。今回は力強さを増したルックスに注目が集まる新しいエクストレイルに試乗し、改良点を中心にその実力をチェックしてみた。

 ラインアップは、2Lのガソリンエンジンを搭載する「20S」と「20X」、ハイブリッドエンジン搭載の「20S ハイブリッド」、「20X ハイブリッド」、それぞれに2WDと4WDが設定され、トランスミッションはエクストロニックCVTを搭載する。ガソリンの「20X」には、5人乗りの2列シートのほかに7人乗りの3列シート仕様も用意される。今回試乗したのは、「20X ハイブリッド」と「20X(3列シート)」の2タイプだ。

たくましくなったスタイリング

 現在の日産デザインを象徴する「Vモーション」を大きくしたルックスは、キャラクターラインをグリルからエンジンフードへとつなげることで「タフさ」が表現されているとのことだが、ひと目見て「たくましくなった」と感じさせられる。また、ハイビーム、ロービームにプロジェクターを採用し、ブラックハウジングで輪郭を強調して、さらにハッキリとした顔立ちとなっている。先代までのややワイルドなエクストレイルのファンにも大いにアピールするフォルムだろう。

新たに追加されたボディカラー「プレミアムコロナオレンジ(PM)」は、自然の中でも鮮やかに映える。ボディカラーは6色が新たに加わり、全12色の設定となった。

 翼のような広がりを表現した「グライディングウイング」を採用するインパネのデザイン。内装は質感の高まりも感じられる。

 「濡れたまま座れて、ムレない」防水シートは、汚れを気にせず使える。

 後席(2列目)は広々として快適。

 3列目は足もとスペースも限定的で、あくまで近距離かエマージェンシーとして考えたい。3列シートを選ぶことができる唯一の仕様は「20X(ガソリン)」。

プロパイロットと先進技術を搭載

 プロパイロットとは、日産が開発した同一車線における自動運転技術で、高速道路や自動車専用道路において、車間距離をキープしながらのステアリング制御を自動で行う機能。スイッチをプッシュするだけで簡単にセットアップできるのもポイントで、長距離走行や渋滞時のノロノロ運転ではドライバーの疲労低減と安心感の向上に役立つ。すでにセレナに搭載されているプロパイロットだが、操作の手軽さが魅力で、移動疲れの軽減も今回の試乗でも改めて確認できた。
 加えて、後方を横切る車両を検知して注意喚起する「後退時車両検知警報(RCTA)」、走行車線を逸脱しそうな場合に注意を喚起する「車線逸脱防止支援システム(インテリジェントLI)」、ハイビームとロービームを自動で切り替える「ハイビームアシスト」が今回新たに装備された。また、駐車時の操作を支援する「インテリジェントパーキングアシスト」も機能が強化されている。

オンロードのしなやかさ、オフロードのたくましさ

 今回は急勾配の峠道と河川敷のダートコースを存分に走ることができた。驚かされたのは、SUVモデルやクロスオーバーモデルとしては重心が低く感じられたこと、そして、ラインを自然にトレースしていくしなやかな足さばきだった。たとえば、下り坂の鋭角なコーナリングでは、遠心力で車体が外側に向かおうとするため、多くのSUVやミニバンなどでは、ステアリングをさらに切り増しする必要に迫られる。ところが、エクストレイルは、ガソリンモデル、ハイブリッドモデルともにねらったコーナリングラインから離れることなく、舵角も一発で決めやすい。これは、4WDモデルに搭載されている「ヨーモーメントコントロール」の役割が大きいのだろう。これは、ステアリングの操舵量を検知する舵角センサー、車両の旋回状態を判断するヨーレートセンサー、そして車両の挙動を検知するGセンサーなどの情報をコンピュータが瞬時に分析し、ドライバーが頭で思い描いているラインを予測するというもの。それと実際の車両の挙動(アンダーステア、オーバーステア)を比較して、きめ細かい前後トルクの配分を行い、安定したコーナリングを行うわけで、その効果は絶大だ。

 また、勾配の急な上り坂などでは、トルク不足や、それによる不快なシフトダウンに見舞われがちだが、新しいエクストレイルでは、そういった場面はなかった。2L直4のガソリンエンジンは、カタログ上では21.1kgmの最大トルクを4400回転で発生することになっているが、走ってみると2000回転以下からもしっかりとしたトルク感があった。ハイブリッドではさらに力強い加速が楽しめるが、ガソリンモデルで十分と感じられた。

  • 2L直4ガソリンエンジン。

  • 2L直4ガソリンエンジン+電気モーターによるハイブリッドシステム。

 現行のエクストレイルも、初代と変わらず2WD/AUTO/LOCKモードが選択できる電子制御カップリングを用いたトルク分配型の4WDシステムを搭載する。進化を続ける電子制御4WDシステムが、走行状況に応じて前後トルク配分を100対0からおよそ50対50のレンジで自動的に切り替える。その優秀さは、今回の試乗でも十分に確認することができた。
 砂ぼこり舞う砂利道、そして小さな岩が敷き詰められた河原を走行したが、一部の車輪が大げさに空転したり、トルクの切り替えを感じさせられることもなく、落ちついた気持ちでドライブすることができた。これは世界初となる「インテリジェント ライドコントロール(車体振動抑制システム)」に負うところが大きいのだろう。ボディが上下する動きを予測して、エンジン(駆動力)とブレーキの制御によって、荒れた路面などでのボディの振動を低減する技術は、小さなデコボコ道ではエンジントルクの細やかな制御で姿勢を安定させ、大きなデコボコ道ではエンジントルクに加えてブレーキの制御によって揺れを抑制するという。路面から想像するのとは大きく異なったマイルドな挙動は、少なからず驚きをもたらしてくれた。


ハイブリッドの燃費向上も走りのフィーリングを優先

 ところで今回のマイナーチェンジで、ハイブリッドモデルは、空力性能を高めるアイテムの装着や、アクセルをオフにしたときに「エネルギー回生量を増やす」ことで、JC08モード燃費をこれまでの20.0km/Lから20.8km/L(ハイブリッド2WD)へと向上している。これについてパワートレーン開発の担当者は、効率性を求めながら、あくまで「走りの気持ちよさをスポイルすることのないような制御」を心がけたことを明らかにしている。ちなみにハイブリッド4WDの燃費は20.0km/L、ガソリン2WDは16.4km/L、ガソリン4WDは16.0km/Lとなっている。

 今回の試乗を終えての印象は、走りや使い勝手すべてにおいて「洗練された」ということ。ワインディングでの自然で気持ちのよいステアリングフィールにはじまり、オフロードでのたのもしい挙動、そして高速道路での快適なクルージング。先進技術を効果的に注ぎ込みながら、ひとの感性に訴えるような爽快なパフォーマンスは大いに評価したいところだ。けっして軟弱ではない3代目、それをビジュアル化したスタイリングもしっくりとくる。国産ミドルクラスSUVのなかでは、200万円代をメインとする価格が光る、お薦めのモデルと言えるだろう。


【日産 エクストレイル 20X HYBRID 4WD(CVT)】
全長         4690mm
全幅         1820mm
全高         1730mm
ホイールベース    2705mm
重量         1640kg
エンジン       直列4気筒DOHC+モーター
総排気量       1997cc
エンジン最高出力   147ps/6000rpm
エンジン最大トルク   21.1kgm/4400rpm
モーター最高出力   41ps
モーター最大トルク  16.3kgm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後    Vディスク
タイヤ前後      225/65R17
販売価格       219万7800円~309万8520円(全グレード)
※オーテックバージョンを除く

  • 20X(ガソリン)

  • 20X HYBRID 4WD

グーネット編集部

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