新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2017.01.19
ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル 試乗レポート

イヴォークに、なんとコンバーチブル仕様が登場。SUVのオープンはクルマの世界では希少種だが、そのデザインの完成度は、ご覧のとおりである。では、いちばん気になる走りのフィールは・・・?
SUVでも楽しめるオープンカー生活
写真をパッと見ただけでは、「あれ?どうなってるんだ」と思う方もいらっしゃるかもしれない。このクルマは世界でも希なSUVのオープンモデルである。
ワールドプレミアされたのは2015年11月のロサンゼルスモーターショー。そこで話題を集めたのはいわずもがなである。
もちろん、これまでもSUVの屋根開きがなかったわけではない。かつて日産がムラーノをベースにオープンモデルを投入したことがある。ただ、そのタイミングでは時期尚早だったのだろうか。あまり話題にならず、フェードアウトしていった。
ただ、ジャンルは違って、このクルマは“プレミアムSUV”。その意味ではマーケットはよりプレミアムなものを欲していると言える。つまり、ニーズがあっての開発なのだ。
そんなイヴォークコンバーチブルのステアリングを最初に握ったのは2016年春のフランス。スキーリゾートで国際試乗会が行われたときだ。はじめは「雪山?」と思ったが、まさにピッタリ。SUVの特性を活かすとそう使われても不思議ではない。晴れた日のスキーリゾートにピッタリはまるキャラクターである。
そのイヴォークコンバーチブルが日本で発売を開始したのは去る9月。受注が行われ、随時納車がはじまっている。日本でも2017年春には軽井沢あたりのスキー場で遭遇できるかもしれない。
その中身だが、ベースになったのは3ドアのイヴォーク、つまりクーペの屋根開きとなる。スチール製ルーフは幌型に取って代わった。開閉時間は18~21秒で、スイッチひとつで操作可能。ロック機構も自動だ。ついでに言うと、時速約48km以下であれば走行中も開閉可能である。

幌は5層になっていてその間に発泡ウレタンが挟まるようなつくりをしている。剛性がものすごく高く、走行中は幌がばたついたり、信号待ちでバイク同士の会話がやたら近くに聞こえてきたりすることはない。気密性は十分。プレミアムSUVとしてのクオリティは保たれる。さらに、万一の横転時には瞬時に飛び出すロールオーバープロテクションが搭載される。安全基準に則っている部分でもあるが、抜かりはない。
グレードはひとつで、HSEダイナミックコンバーチブルがそれになる。エンジンはスタンダードモデルでおなじみの2L直4ターボ付きのガソリンユニット。最高出力は240馬力を発揮し、9速のZF社製オートマチックと組み合わされる。すでに信頼性のあるコンビネーションといっても過言ではないだろう。
インテリアはまんまイヴォークだが、屋根がなくなると全体を覆われている感が強い。大きなバスタブに入っているようだが、それでも視界はよくキビキビと走れる。運動性能に不満はない。オープン時に極端にボディ剛性が失われるのは昔話。ワインディングでもリヤが遅れてついてくる印象は微塵も感じなかった。
さらにいうと、このクルマは2+2の4シーターだがリヤシートの居住性もいい。ヒップポイントが上がる分視界も確保されるし、乗り心地は予想以上にグッド。見かけ以上に実用性のあるモデルと言えそうだ。
そういった性能を持ち機関的にもかなり工夫されたこともあり、お値段も当然プレミアム。気になるオプションを追加するとそれなりに達する。その意味じゃ心底惚れて買うに値する一台かもしれない。ランドローバーのCCO(チーフクリエイティブオフィサー)ジェリー・マクガバン氏が描いたドローイングは、それだけの魅力があるように思える。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ ランドローバーコール TEL:0120-18-5568
Detail Check

全長4385mmというのがウリ。サイズ以上に存在感がある。なので、最小回転半径も5.5mという実用性を発揮できる。まさに実用オープンモデル!
コックピット
コックピット
ダッシュボードのデザインはクーペと同じ。SUVらしからぬスポーティなテイストに仕上がる。トランスミッションの切り替えはダイヤル式。駆動方式の切り替えはその下のスイッチ。
インテリア
インテリア
高いグレードのみ輸入されるためオックスフォードレザーを使うなど高級感は高い。リヤシートはヘッドレスト付きのしっかりしたサイズが与えられる。リヤヘッドルーム965mmは立派だ。
エンジン
エンジン
エンジンは2L直4ターボを搭載する。240馬力も魅力だが、JC08モードが9.6km/Lというのも見逃せない。普段使いによさそうだ。
トランク
トランク
幌をしまうスペースが必要のためトランクはご覧のようなカタチとなる。奥行きはあるが高さがないのが残念。それでもないよりまし。
グレード
グレード
グレードはひとつ。「HSE」はハイエンドグレードを「Si4」は高効率の2L 4気筒エンジン搭載を意味する。白のボディに赤が映える。
主要諸元:レンジローバー イヴォーク HSEダイナミック コンバーチブル(9速AT)
全長×全幅×全高 | 4385×1900×1650mm |
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ホイールベース | 2660mm |
トレッド前/後 | 1625/1630mm |
車両重量 | 2020kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1998cc |
最高出力 | 240ps/5500rpm |
最大トルク | 34.7kg m/1750rpm |
サスペンション前後 | ストラット |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 245/45R20 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2016年9月)
レンジローバー イヴォーク HSE ダイナミック コンバーチブル(9速AT) | 765万円 |
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Body Color
□フジホワイト ■インダスシルバー ■バルトロアイス ■コリスグレイ ■カイコウラストーン ■エイントリーグリーン ■ロワールブルー ■サントリーニブラック ■フィレンツェレッド ■フェニックスオレンジ |
イヴォークの開発段階で企画されていたオープン仕様
あまり知られていないが、コンバーチブルをつくることはイヴォーククーペ誕生とともに決まっていたそうだ。デザインを担当したCCOのジェリー・マクガバン氏のドローイングがあまりにもすばらしかったことで、社内で内密に進められていたという。デザインを忠実に完成させた技術力の高さもすごい。