新車試乗レポート
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2016.11.17
ジャガー Fペース 試乗レポート

ジャガーらしさが堪能できるSUV
SUVラインアップを拡充するドイツ車メーカーに遅れをとった感は否めないが、ようやくジャガーもその土俵に乗った。しかも、ご覧のようにかっこいいから、話題にならないわけがない。
ではその中身はというと、ベースになったのは4ドアセダンのモノコック構造。XEやXFで使われる骨格が共有される。特徴はボディにアルミニウムを使っていること。堅牢かつ軽量のボディを持つのだが、前後50対50の重量バランスにこだわっているのも彼らの哲学だ。スポーツカーメーカーとしてのプライドが伺える。2ドアはもちろん、4ドアセダンでも背の高くなったSUVでもそのバランスは追求される。このクルマの名前に“F”の文字が付くのもそういうことだ。Fタイプの血統がここにあることを示す。
グレードは、ピュアとプレステージ、RスポーツとSをデフォルトに、限定50台のファーストエディションが用意された。エンジンは180馬力の2L直4ターボディーゼルと3LV6スーパーチャージャー。後者は340馬力と380馬力をグレードで使い分ける。
このパワートレーンは汎用性の高いものだ。ご承知のとおり、サルーン系を軸に他ラインアップに積まれてきた。ガソリンのV6はFタイプでも使われる力強いユニットで、よりスポーティに味つけられる。しかもエキゾーストサウンドは特筆で、ドライブモードをダイナミックにするとフラップが開きレーシーなサウンドが響きわたるから驚く。3速で高回転まで引っ張ると、まんまレーシングカーだ。これがFペースでも体感できる。まわりのクルマはまさかSUVが発しているとは思うまい。

今回試乗した2Lターボディーゼルエンジンを積む20dはそこまでではない。そもそも高回転まで回す特性ではないディーゼルだけに、“攻め”のガソリン車とは別モノ。
とはいえ、一旦走り出したら軽快なハンドリングと身のこなしはまさにジャガー。連続するワインディングを「これがディーゼル車?」って感じで駆け抜けた。19インチホイールとの相性も悪くなく、高級車的な乗り心地は損なわない。直線ではフラットライドを見せてくれながらコーナーリングでは若干ロールを感じるが、それが操舵感を高める。要するに楽しいのだ。
そんな走りを楽しみながらこのクルマの魅力を探ると、やはりデザインが第一にくる。奇をてらわないオーソドックスなジャガーらしさが具現化されている。サイズもそれほど大きくないから、使い勝手がいいのに存在感は高いということだ。
また、インテリアデザインもならではの仕上がり。整理されたスイッチ類は大人の世界といったところ。過美な装飾はなくシンプルに上品に構成される。それでいてレーシーなのがうれしい。センターコンソールの太さはSUVだからとは関係ないところで完結する。ジャガーとはこういうものと言わんばかりである。
そしてもうひとつの魅力は値段だ。この存在感とジャガーらしいデザイン、それと気持ちのいい走りを有しながらスタートプライスは600万円台に抑えられた。周辺から「1000万円以上するクルマなんでしょ?」という問をよく受けるが、グレードを選べばけっしてそこまではいかない。
また20dなら、二酸化炭素排出量を抑えながら好燃費も実現。つまり、乗れば乗るほどランニングコストの恩恵を受けることになる。実用性を鑑みれば、これだけ魅力的なSUVは数少ないのではないだろうか。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ ジャガーコール TEL:0120-050-689
Detail Check

ボディをまじまじと見るとボンネットやフェンダーの膨らみが特徴的なのがわかる。これらは見た目はもちろんエアロダイナミクス的効果も発揮する。LEDのレイアウトも個性的。
コックピット
コックピット
スポーティというより上品なインテリア。「XF」や「XE」というセダン系に準じる仕上がりだ。センターコンソールの太さが特徴でFR感を出している。ドライブセレクターも特徴。
インテリア
インテリア
ダブルステッチの上質なレザーが印象的な室内。リヤ足元や膝まわりも空間があるので大人5名乗車も余裕。一部モデルにはオプションで後席用電動リクライニングが付けられる。
エンジン
エンジン
オールアルミ構造のインジニウムディーゼルエンジンは高効率のジャガー自慢のユニット。エンジン自体が軽量で、アイドリングストップ機能と合わせて良好な燃費だ。
ラゲッジルーム
ラゲッジルーム
スタイリッシュなボディラインながら積載性もしっかり確保される。リヤシートを畳めばご覧のようにかなり積み込める。もちろん分割可倒式なので、使い勝手も良好だ。
ディテール
ディテール
Fペースに“F”の文字が付くのは走りのテイストだけではない。テールランプなどのディテールにもそれは垣間みられる。Fタイプの流れを受け継ぐ。
タイヤ・ホイール
タイヤ・ホイール
試乗車は19インチのホイールを履いていた。20dにはこれで十分。見た目と乗り心地が両立される。デザインもシンプルでレーシー。
主要諸元:ジャガー Fペース 20d プレステージ(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4740×1935×1665mm |
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ホイールベース | 2875mm |
トレッド前/後 | 1640/1655mm |
車両重量 | 1920kg |
エンジン | 直4DOHCディーゼルターボ |
総排気量 | 1999cc |
最高出力 | 180ps/4000rpm |
最大トルク | 43.9kg m/1750-2500rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/インテグラルリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 255/60R18 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2015年8月)
Fペース 20d ピュア(8速AT) | 639万円 |
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Fペース 20d プレステージ(8速AT) | 663万円 |
Fペース 20d Rスポーツ(8速AT) | 728万円 |
Fペース 35t Rスポーツ(8速AT) | 849万円 |
Fペース S(8速AT) | 981万円 |
Body Color
□ポラリスホワイト ■ダークサファイア ■エボニーブラック ■オデッセイレッド ■アンモナイトグレー ■クォーツァイト |
全体の80%がアルミニウムというボディがもたらす効果
ジャガーの自信作である新世代の軽量アルミニウム構造が採用されたFペース。軽量で高剛性を具現化するばかりか、前後50対50の重量配分も目指している。結果、ハンドリングやブレーキ性能を高めている。重量も2トン以下に抑えられているが、それ以上に軽快さを体感できるのはさすがだ。