新車試乗レポート
更新日:2026.09.30 / 掲載日:2026.09.30
【ボルボ EX30クロスカントリー試乗】見た目はアクティブ、中身は都市部にジャストフィット

ボルボ最小モデルにしてコンパクトSUVであるEX30。2027年モデルでは一部改良が行われるほか、もうひとつのキャラクターであるEX30クロスカントリーの特別仕様車が登場しました。今回はその特別仕様車を試乗にてチェック。新モデルがどのようなキャラクターなのか、グーネットマガジン編集部がレポートします。
文と写真●ユニット・コンパス
ボルボの売れてる電気自動車EX30が2027年モデルとして登場
日本でテスラの次に売れているプレミアムクラスの電気自動車は、実はボルボのEX30なのをご存知でしたか? とはいっても絶対的な台数はエンジン車に比べれば少ないですが、各社が力作を投入するなかでトップという実績は大したもの。売れている理由は日本市場にジャストなサイズとモダンに進化した北欧デザイン、そして電気自動車としての使い勝手の良さにあります。
そんなEX30ファミリーが2027年モデルに進化しました。
モデルイヤーによる主な変更は、インテリアのトリム変更、外装色追加、インターフェースのアップデート、そしてバッテリーパスポートの導入。スペックに変更はなく、市場の反応に合わせた細かな変更がメインとなります。
グレード名称も変更され、シングルモーター、ツインモーターという表記から「プラス P5 エレクトリック」「ウルトラ P5 ロングレンジ エレクトリック」「ウルトラ P8 AWD エレクトリック」と感覚的にわかりやすいものになりました。

そしてEX30シリーズのもうひとつの個性であるEX30クロスカントリー(以下、EX30CC)に、特別仕様車という形で「EX30 クロスカントリー ウルトラ P5 ロングレンジエリクトリック(以下EX30CC RWD)」が追加されました。台数や期間は限定しないということで、実質的な追加グレードと捉えていいでしょう。これが今日の主役です。
クロスカントリーは、歴代ボルボでも高い人気を誇っているバリエーションモデルで、車高をさらに高めて走破性とアウトドアテイストを強めたグレード。全長×全幅×全高は4235mm×1850mm(+15)×1565mm(+15)で、EX30より全幅と全高がわずかにアップ。一部の立体駐車場には入らなくなりましたが、195mmの最低地上高はSUVとしての利便性をさらに進化させることにつながっています。
従来EX30CCはツインモーターのAWD(ウルトラ P8 AWD エレクトリック)のみということもあって、EX30ファミリーのフラッグシップ的な位置付けでした。
しかし、ボルボが調査したところ多くのユーザーはスペックや機能性というよりもアウトドアテイストのイメージやデザイン性を高く評価して選んでいたことがわかりました。そこでEX30ファミリーをさらに飛躍させるべく、シングルモーターにして価格を抑えたシングルモーター・後輪駆動モデルの登場となりました。価格は599万円でAWDモデルの649万円から50万円ダウン、EX30に対して約20万円の追加でこの特別感のあるルックスが手に入るということで、さらに注目が集まりそうです。
クロスカントリー独自のデザインと装備

デザイン上の特徴はグリルが素材色のままとなり、エクステリアのコントラストを強めているところ。しかもただ未塗装なだけでなく、グリルにはスウェーデンの最高峰であるケブネカイセ(Kebnekaise)山をモチーフにしたグラフィックが施されています。オーナーにとってはブランドのストーリーを感じるディテールでありながら、説明されなければわからない控えめな仕立てもボルボらしく好印象。
同じく未塗装のフェンダーアーチと相まってアクティブなイメージを確立するだけでなく、通常モデルと差別化を上手に果たしています。リフトアップされたサスペンションのおかげで存在感もアップしていますし、下回りをヒットしにくい実用性も嬉しいところ。河川敷などはもちろんですが、段差のある道路でより気を使わなくて済むからです。
さりげない北欧デザインと工夫されたインテリア

インテリアについてもフィニッシュ素材の変更で上手にイメージを変えています。EX30が上質なカジュアルウェアだとしたら、EX30CCは高級アウトドアブランドのアウターといったところでしょうか。
シート素材やインテリアカラーは上級グレードである「ウルトラ P8 AWD エレクトリック」と同じで、エントリーグレードという印象はまったくありません。
それにしてもEX30はいつ乗ってもシンプルで気持ちのいいクルマです。デザイン要素や色使いが抑えられているので、デビューから時間が経った現在でも新鮮さを失っていません。ミッドセンチュリーの家具などが好きな人はきっとこのテイストが気にいるはずです。

ナビやオーディオ、本体設定などの各種機能は、インテリアの中央に設置された縦型ディスプレイから行います。物理スイッチを大胆に減らしたことで、ドアミラーの調整などもここから行うので、人によっては直感的ではないと感じるかもしれません。実際、運転中に操作を行おうとすると視線を集中させなければいけないのは事実。

安全に強いこだわりを持つボルボ的には、そういった操作は停止して行なってくださいということなのでしょう。フォローをするなら、Googleを搭載しているのでお好みの設定はアカウントで一括管理できるため、複数ユーザーで使うならむしろ便利なのかもしれません。
また、現在のボルボは購入後もクルマが進化するSDV世代で、最新のアップデートによって画面右下によく使う機能へのショートカットも登録できるようになりました。ソフトウェアを進化させることでクルマの機能性がレベルアップするSDVは、テスラで話題になりましたが、ボルボはそのトレンドをしっかりとキャッチアップしています。
シングルモーターの走りは必要十分か?

従来のEX30CC AWDはツインモーターのパンチが強烈で、まるでスポーツカーのような加速を楽しむこともできました。それがシングルモーターとなった時にどれくらい印象が変わるのか、一般道と自動車専用道路、そして急な上り坂が続く山道でチェックしてみました。
結論から言うと、ほとんどのユーザーはこれで十分満足できる能力を備えています。もちろん山道でアクセルを踏み込んだ時の加速はツインモーターとは別物でした。それでも余裕がないというほどでもなく、まさに必要にして十分。むしろアクセルをラフに踏み込んでも急加速しなくなった分扱いやすいと評価してもいいでしょう。
色々なシチュエーションを試しましたが、最も運転していて満足できたのは一般道。モーター駆動ならではのレスポンスの良さと静粛性の高さが光ることに加えて、ソフトにセットさせたサスペンションのおかげでEX30よりもさらに乗り心地が快適で、乗っている間ずっと心が穏やかでした。これは運転席からの視界が見晴らしがいいことやインテリアデザインの良さも影響していると思います。
高機能アウトドアウェアを街で着こなすような1台

クロスカントリーというと雪国向けのグレードと捉えるかもしれませんが、特別仕様車のEX30CC RWDに関してはむしろ都市部のデイリーユースにピッタリ。高機能なアウトドアウェアを街着として楽しむファッションと同じ感覚で乗ってもらいたい1台です。
ボルボ EX30 クロスカントリー ウルトラ P5 ロングレンジ エリクトリック新車価格:599万円



