新車試乗レポート
更新日:2026.09.16 / 掲載日:2026.09.16
デビュー11年目にして爆売れ! ロードスターがこれほどまでに愛される理由【工藤貴宏】

新しくなったマツダ ロードスターはどのような魅力を備えているのか!? 自身もロードスターを所有する自動車ライターの工藤貴宏氏が熱量たっぷりにレポート! 新型の改良ポイントはもちろん、追加グレード「PS」を含めたグレード選びのアドバイスもお届けします。
年間1万台! ND型が再び盛り上がりを見せている

みんな大好きロードスター!
「ND型」と呼ばれる現行型「マツダ・ロードスター」は今年でデビュー12年目。にもかかかわらず人気(販売台数)は上昇傾向にあり、デビュー11年目となる昨年(2025年)には現行世代としてはじめて国内での販売台数が年間1万台を突破したのだそうです。
何を隠そうロードスターが国内の年間販売台数1万台を超えるのは、大ヒットして社会現象にもなった初代(NA型)以来のこと(もう30年も前!)。時代が令和になり、ロードスターは再び人気が盛り上がっているのです。そういえば街でよく見かけますよね。

2026年6月に行われた改良のポイント
そんなロードスターは、ただ作り続けているというわけではありません。毎年のように手が加えられてアップデートされ、ますます熟成が進んでいるのです。
というわけで今年6月、最新のバージョンアップが施されました。メニューのポイントは3つ。「走りの進化」「騒音規制への対応」そして「新グレードの追加」です。

まず走りの進化。全車に共通するのはエンジン高回転時に、レブリミット(回転限界)直前まで出力を絞らずきっちりパワーがでるようにしたこと。サーキットや峠道を走っていて「エンジン回転が高まっているけれどコーナーが近づいているからシフトアップはしたくない!」というシーンでメリットを実感できます。MTでスポーツカーを満喫したいという運転好きにはうれしいですね。

またMT車にはヒール&トゥというテクニックを用いてシフトダウンする際にスムーズに回転が繋がるようエンジン回転を補正する制御(空ぶかしまではおこなわらず微調整する)や、加速時にアクセル操作に対する反応をさらによくするよう制御を変更。より走りを楽しめるようになっているというわけです。
騒音規制の対応は、より厳しくなる騒音規制によりクルマの走行音を静かにしました。
タイヤを静かなタイプにしたほか、排気管のサイレンサー(消音器)を大型化。2.0Lエンジン車はサイレンサーを新設計のより大きなものとし、1.5Lエンジン車はこれまで2.0Lエンジン車に組み合わせていた大容量タイプを取り付けることになりました。また吸排気系にも変更を加えてより静かにするとともに、音質をチューニング。規制に対応し、走行時に周囲へ伝わる音を提言しています。

ただ、“音”はスポーツカーにとって大切なものですよね。だから静かにすると走りが物足りなく感じてしまう不安もありました。そのためソフトトップモデルには、これまで販売店オプションで用意していた「インダクションサウンドエンハンサー」と呼ぶエンジンルーム内の吸気音を室内へ伝えるパーツを標準化。車外は静かにしつつ、車内にはしっかり音を響かせるというわけです。
実際に試乗してみてどうかといえば、これがまったく不満なし。「音が静かになって運転感覚がつまらなくなるかも」なんて思っていましたが、それは杞憂に終わりました。

筆者は変更前のロードスターオーナーですが、言われなければ「音環境が変わった」ということに気づかないかもしれません(ブラインドテストをしたら当てる自信なし)。こういう規制対応なら、まったく不満ありません。開発陣はうまくやりましたね。
ところで車外騒音規制への対応としてパワーステアリングの制御変更もおこなっていますが、文字だけをみると「騒音規制とパワーステアリング制御とどういう関係が?」と思うかもしれません。実はそのつながりはタイヤ。走行音が静かな新しいタイヤの特性に合わせて、パワーステアリングの制御を最適化したのだそうです。

そうそう、それら車外騒音規制への対応として、ひとつだけ使い勝手面で変化がありました。それはトランク容量。2.0Lエンジンを積む車両(現時点では電動開閉式ハードトップを組み合わせる「RF」のみ)は、サイレンサー(マフラー)が大型化した影響でトランクの床が45mm高くなりました。なので容量減。しかし、「ソフトタイプの機内持ち込みキャリーケースが2つ収まる」という実用性はキープしているのでご安心を。
1.5Lエンジン車のトランクは変更されていません。
追加された「PS」は運転好きのためのお得なグレード

そして3つめのポイント、「新グレード追加」です。特別仕様車として「PS」というグレードが投入されました。
PSとは「ピュアスポーツの略」とのこと。ストイックに走りを求めたグレードで、「RS」と同じサスペンションの味付け(ビルシュタインダンパーを採用)しつつ、RSではオプション設定としているブレンボ製ブレーキとRAYS社製鍛造アルミホイールを標準装備して“バネ下重量”を削減(1輪あたり1㎏も軽い!)。

RSに比べるとレカロシートとBOSEオーディオが非採用となる(さらにインテリアの仕立ても少し簡略化される)シンプル仕様ですが、そのぶん軽い(カタログ値で20㎏軽い)し、なにより値段も安いというのも魅力。RSの価格は374万円ですが、メーカーオプションのブレンボ社製ブレーキとRAYS社製ホイールを選ぶと407万円になります。しかしPSなら366万3000円。これは“買い”ですよね。運転好きの人のためのグレードと言っていいでしょう(シートヒーターは組み込まれているのがうれしい!)。

ロードスター(ソフトトップ仕様)のグレード選びガイド
さて、ここからはそんなロードスターの「ソフトトップ仕様」におけるグレード選びガイドをお届けしましょう。
実はロードスターのグレード構成は実に面白いんです。普通、グレード構成と言えば“高い仕様は装備が充実したいいグレード”となりがち。しかしそうではないのです。グレードごとにしっかり“キャラ付け”されているのですから。ちなみにサスペンションの仕様は4タイプあります。

まずベーシックな「S」。価格が安い廉価仕様と思われがちですが、実はそうじゃない。もっとも車体が軽く、ロードスターシリーズで最大の軽快感を味わえるモデルなのです。
サスペンションもリヤスタビライザーを非装着として、ロードスターシリーズの中で最も“柔らかい足回り”に設定。速度を上げて走る人には不向きですが、軽快感のレベルがもっとも高く、ゆっくり走っても最高の楽しさを得られるのが魅力です。初代ロードスターの運転感覚に近いという人もいますよね。
「S Special Package」になるとMT車はリヤスタビライザーの装着も含めてサスペンションの硬さが少し増し(といっても一般的な基準では十分柔らかい)、装備も追加。エアコンがオート式になり、オープンカーを楽しむための必需品と言われるシートヒーターもつけられるようになります。
「S Leather Package」や「S Leather Package V Selection」になると本革シートをコーディネートするほか、静粛性能が高まり、内相の仕立ても上級化し、シートヒーターやBOSEオーディオも標準装備に。「快適に乗りたい」という人にイチオシです。“V Selection”は幌とインテリアの色がベージュでコーディネートされる、オシャレ番長です。

もしかすると悩ましいのは「RS」と新たに追加された「PS」の選択かもしれません。どちらもサスペンションはビルシュタインダンパーを組み合わせ、シリーズの中で最も締め上げた味付け。ブレンボ社製ブレーキやRAYS社製ホイールも用意しています(「PS」には標準で「RS」にはオプション)。走りに関する性能が互角と言っていいでしょう。

一方で装備は「RS」にはBOSEオーディオやレカロ社製シートを標準装備するものの、「PS」には設定なし。インテリアの仕立ても「PS」のほうがシンプルです。
というわけで選択のポイントは、走りにこだわるならより軽くて値段も抑えられた「PS」がベスト。インテリアの質感やBOSEオーディオ&レカロ社製シートを求める欲張り派には「RS」というのがセオリーです。
でも実は、走りを愛する人にイチオシなのは「NR-A」。これはレースに出る人やサーキット走行用の特別なモデルと思われがちですが、ビルシュタインダンパーを組み合わせた専用サスペンションだけでなく冷却系の強化など、走行性能に対して各部がブラッシュアップされています。装備がシンプルだから車両重量が軽く、そのうえで、シリーズの中で“「S」の次に安い”という価格も魅力。
装備はかなりシンプルです。でも「装備なんかいらないから走りを楽しみたい。できるだけ安く」という人にはこれしかありません!
ロードスターのある人生はとにかく楽しい!

というわけで最新の改良情報とグレード選びのポイントをお伝えしたわけですが、なにより知っておいてほしいのは「ロードスターでの移動はとても気持ちいい」ということ。運転の楽しさもあるし、そこにはオープンカーでしか味わえない世界が存在するのです。
ロードスターを所有するということは、その世界に足を踏み入れるという事でもあるんですよね。楽しいものですよ、ロードスターのある人生は。
ロードスター新車価格帯●295万9000円〜436万7000円(全グレード)
文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス