新車試乗レポート
更新日:2026.08.26 / 掲載日:2026.08.26
【アウディ A6】想像の遥か上をいく乗り心地に感嘆!【九島辰也】

文●九島辰也 写真●アウディ
アウディA6は彼らにとって大切なモデルである。1968年にリリースされたアウディ100から数えて9世代目となる歴史を持つからだ。1968年といえば、アウディブランドが復活したわずか3年後。その意味でもシンボリックな存在であることは揺るぎない。
正常進化で登場した9代目A6

9代目となった新型は、見た目は2018年にデビューした従来型からの正常進化となる。他のラインナップ同様アグレッシブな顔つきは現代的なデザインだ。
サイズは従来車と比べると、全長で+50mm、全高で+15mm(セダン)拡大しているものの全幅は-10mm。モデルチェンジの度に肥大化する近年の自動車業界だが、そこはキープされた。しかもセダンもアバントもスタイリッシュさに翳りはない。

パワーソースは2種類で、2リッター直4ガソリンターボと同排気量のディーゼルターボといった設定だ。ともに48Vのマイルドハイブリッドで、7速Sトロニックと組み合わされる。最高出力はそれぞれ272psと204ps、ともに最大トルクは400Nmを発生させる。ペトロールヘッドの方々には歓迎すべき内容だろう。

日本仕様の駆動方式はクワトロのみでFFは存在しない。FFを設定すると、A5との価格差がなくなってしまうからだろう。その分クワトロでもアウディジャパンは価格設定をがんばったと思われる。
EV走行が可能なマイルドハイブリッド

では試乗した印象だが、ガソリン車を走らせて思ったのは完成度の高さだ。走り出しのスムーズさから中間加速、高速域までシームレスに伸びていく。特にクセはなく、それでいて4気筒ユニットのフィーリングはしっかり感じられる。タコメーターの吹け上がる感じが身体全体に伝わってくるのがいい。モーターはその存在を潜め、黒子に徹している。
とはいえ、今回は「MHEV plus」といった名称からも察せられるようにもうひとつの機能が追加された。それがEV走行。マイルドハイブリッドであってもこれができるとできないとでは大きな差がある。早朝のゴルフなどエンジンをかけたくないシーンにおいて、ユーザーメリットは確かにある。

ハンドリングも気持ちがいい。ステアリングセンターは正確で軽く、そこからじんわりフィーリングが立ち上がるパワステのセッティングはスポーティそのもの。この素直で正確なハンドリングは直近のアウディの得意技だ。
車体がクルッと回る感覚はリアタイヤがステアするのと関係する。オプションで用意されるオールホイールステアリングのおかげだ。逆位相でリアタイヤは最大5度切れることから効果は大きい。きっと駐車も楽になったはずだ。時速60キロ以下で逆位相、以上で同位相にステアする。

そして個人的に一番驚いたのは乗り心地の良さ。想像を超え、かなり上質に仕上がっている。ひと言で表現するなら正真正銘の高級車で、さらに上のクラスを凌駕する快適さを与えてくれた。

この立役者はアダプティブエアサスペンション。四輪すべての減衰特性を無段階で調整する優れものだ。路面からの入力に対し車高とダンピングが自動的に制御される。速度が上がると車高が沈み込むのはそのシステム上のものだ。ドライブモードに連動するので、いろいろ試してみるといいだろう。“ダイナミック(Dynamic)”では-10mm車高が下がる。ただ、一番好きなのは“バランス(Balanced)”。スポーティながら上質感もあるそれがこのクルマの個性を最大限に発揮する。

アウディドライブセレクトのスイッチはセンターディスプレイの下に物理スイッチがあるが、モニター内の階層でも行える。都度アニメーションでその世界観を表現するので、見ているだけで楽しい。とはいえ、走行中に操作するにはリアルにスイッチがあった方が素早いし安全だ。

格上のクラスに匹敵する快適さ

といったのが新型A6のファーストインプレッションだが、走りながらどんどんこのクルマが好きになっていった。
そのポイントは、とても自然なリアステアだったり、エアサスペンションのチューニングだったり、モーターのアシストを受けた加速だったりする。そのどれもが水準以上で、走らせている間、常に気持ちが良かった。クルマ好きであれば納得できるフィーリングだと思う。特に個人的に高く評価したいのはエアサス。これを支配するのはウルトララグジュアリークラスのブランドだけだったが、今回僅差にまで近づいた。これはすごい。
いずれにしてもアウディは注目すべきブランド。18歳の時アウディ80に乗っていたからね。当時のアウディ100は憧れの存在であった。
新車価格帯:885万円〜940万円(A6全グレード)