新車試乗レポート
更新日:2026.08.18 / 掲載日:2026.08.18
【ボルボ EX90】ラグジュアリーSUVとして説得力がある【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
ヨーロッパをはじめ世界でBEV(電気自動車)の販売が鈍化しているのはご存知の通り。北欧の国々でも補助金が抑えられると、それまで急成長しているBEVマーケットは拡大速度を落としはじめた。
現状に合わせて電気自動車戦略を修正

そんな背景の中ボルボは新たな方針を打ち出した。「2040年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを目指す」ことや「2040年までに循環型ビジネスへの転換を目指す」こと、「バリューチェーン全体および社会全体において、人々の生活を守り、より良くすることを目指す」などだ。つまり、サスティナブルな企業になることを推進している。
ラインアップに関しては2030年までのBEV投入計画は変更なし。今後も5つのモデルを次々発表する予定だ。直近では今回のEX90に続いてES90が顔を出す。2030年までにすべてのモデルをBEVにすることをどこよりも早く宣言したボルボだけに、この方針転換は興味深い。
EX90は新世代ボルボのフラッグシップSUV

それでは今回試乗したEX90に話を進めよう。このモデルはオールニューで開発された。BEV専用のSPA2プラットフォームを設計、そこに高出力の800Vテクノロジーを搭載した。ソフトウェアも新しい。Hugin(フギン) Coreコンピューターと呼ばれる中央車両制御ユニットを搭載する。これはボルボのソフトウェアチームがNVIDIAと共同開発したもので、車両が自ら「考え、処理し、行動する」ためのもの。IT産業で国力を高めることを国策とするスウェーデンらしい技術である。
日本仕様のグレードは3つで、「プラス ツインモーター」、「ウルトラ ツインモーター」、「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」となる。すべて前後にモーターを積んだツインモーターのAWDで、最高出力は456ps、ハイパフォーマンスのみ680psを発揮する。一充電あたりの航続距離はどれも650kmだ。

ボディサイズは3列シートの7人乗りのため全長5mを超えるが、ディメンションを見る限りXC90とほぼ変わらない。その点で特別大きなクルマといった印象はない。価格もXC90プラグインハイブリッドとほぼ同じという設定だ。BEVならではの補助金とランニングコストを鑑みれば、優位性は高いだろう。
デジタルの進化が北欧らしいシンプルさを加速させた

実車に乗り込んでまず目に付くのは縦型のセンターディスプレイ。画面がクリアで大型になっている。もちろん、ほとんどの操作はここで行う。Googleアシスタントが使えるので、アイコンをタッチすればいい。それ以外にもGoogleアシスタント、Googleマップなど普段から使い慣れているアプリを起動することが可能だ。

ただ、ドアミラーやステアリング位置の調整もここで行わなければならない。ホーム画面から階層を進まないとダメ。調整できない。物理スイッチを減らした結果そうなったと思うが、これは煩わしい。

インテリアは、北欧デザインらしいシンプルで構成されている。シートは2/3/2配列の3列。最上級グレードはファインナッパレザーを装着する。豪華だ。前席はシートヒーター、ベンチレーション機能、リラクゼーション機能を持つ。

ガラスルーフはエレクトロクロミックルーフと呼ばれるもので、電気を通すとガラス自体をシェイドにすることができる。しかもUVカット付き。これは物理的シェイドがないので、ヘッドクリアランスを広く取れる。

カーゴは3列目シートが2分割式なので使い勝手はいい。シートの折りたたみは電動式なので楽だしチカラも使わない。カーゴ外側からボタンひとつでOK。ボルボらしくスペース効率は高い。
乗り心地の良さは特筆すべきレベルにある

走りに関してはとても自然なフィーリングが際立った。BEV開発を長年行ってきた経験から、セッティングは上手い。内燃機関のような走りだしながら、アクセルを踏み込めばBEVらしい加速を体感させてくれる。ガソリンエンジンとBEVのいいとこ取りだ。
BEVの優位性は他にもある。LOW/HIGH/OFF/AUTOの4段階から選ぶワンペダルドライブ機構が搭載されている。ブレーキを踏むことなく、アクセル操作だけで車両を減速から停止まで持っていけるシステムだ。ワンペダルを強くする(HIGHにする)と回生ブレーキが強まる。

今回は乗り心地の良さにも注目したい。試乗車は22インチというロープロファイルタイヤながら路面からの入力は抑えられ、快適で上質な乗り味を提供してくれた。これは明らかにデュアルチャンバー式エアサスペンションの恩恵に他ならない。XC90のシングルチャンバーよりも細かい調整が可能で、さらに言えばセルフレベリング機能と速度に応じた車高調整を行える。細かい調整がエアサスの入力に対する不自然な硬さを和らげるのだ。
実用的な大型電気SUVとして魅力的

以上がEX90の概要とインプレッション。実用的なラージサイズBEVであることがわかる。今テスラにこのクラスがないだけに存在は目立ちそうだ。ボルボらしい北欧デザインを含めBEVを探している人にはかなり魅力的であることは間違いない。
EX90新車価格:1199万円〜1399万円(EX90全グレード)






