新車試乗レポート
更新日:2026.06.23 / 掲載日:2026.06.23
魔法の絨毯ふたたび! C5エアクロスに見たシトロエンらしさ【石井昌道】

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
シトロエンの日本市場におけるフラッグシップSUV、C5エアクロスがフルモデルチェンジを受けて2代目へ進化した。2022年のコンセプトカーであるoli(オリ)で提案された新たなデザイン言語を初めて市販車へ取り入れ、最新世代の48Vマイルドハイブリッドやプラットフォームを採用した点など注目度の高いモデルでもある。
力強さのある新しいデザインを採用

従来のシトロエンのエクステリアは、丸みを帯びた優しいイメージがあったが、新型C5エアクロスはややボクシーでSUVらしい力強さがある。新デザイン言語はサステナブルを意識したものでもあり、空気抵抗を最小限に抑えた滑らかなエアロフォルムともなっている。
インテリアはシトロエンが追求してきたコンフォートというコンセプトが現れている。ハイグレードのMAXではアドバンストコンフォートシートを採用。シートバックやサイドサポートには厚さ15mmのパッドが採用されて身体を優しく包み込む。肌触りも柔らかく快適で、上質なソファーのような座り心地だ。それでいて芯はしっかりしているとともにサポート性も確かなので、ロングドライブでも疲れにくい特性を持っている。

可変ジオメトリターボや48Vマイルドハイブリッドを備えたパワートレイン
パワートレーンはステランティスのメインとなっている1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジンと電動モーター内蔵6速DCTを組み合わせた48Vマイルドハイブリッド。
駆動用モーターに加えてベルトスタータージェネレーターが備わるのも特徴でマイルドハイブリッドながら2モーターであり、着実な燃費改善効果を狙っている。エンジンは効率に優れるミラーサイクルで、レスポンスに優れるVGターボを採用。VGターボは、ディーゼルでは一般的だがガソリンエンジンではまだ少ない。排気温度が高いガソリンエンジンでは耐熱性の高い素材が必要でありコストがかかるからだ。

しかし、ミラーサイクルによって排気温度を抑えられるため、通常の素材で対応可能。以前はポルシェぐらいしか採用例がなかったが、最近ではフォルクスワーゲンやボルボなど増え始めている。
1630kgの車両重量や車格に対して1.2Lの排気量は少なく思えるが、市街地を走り始めると実用トルクが充実していて数字以上に厚みのある実用トルクを感じさせる。

エンジンが1750rpmで230Nmの最大トルクを発生するのに加えて、51Nmのモーターが駆動をアシストするからだろう。2000rpm前後で高速道路を巡航していても印象は変わらない。そこから緩い加速ならばアクセル操作にレスポンス良く反応してスムーズに速度をのせていく。

最高出力は136PSと限られているのでフル加速させたときの迫力には欠けるものの、実用的なパフォーマンスを備えている。マイルドハイブリッドながらEV走行が可能となっているのが特徴で市街地走行ならば最大50%の時間でエンジン停止状態で走行できる。それだけ燃費改善効果が高い。

プラットフォームは、シトロエンとしては初めてSTLA-Mediumを採用。BEV(電気自動車)やエンジン車、マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドなどマルチパワートレーンへ対応し、FWDに4WD、そして必要とあればRWDにも対応する柔軟なプラットフォームだ。2025年7月に日本導入となったプジョー3008から展開されている。

ソフトタッチで快適な乗り心地

ソフトタッチでこの上なく快適な乗り心地がC5エアクロスのハイライトだ。サスペンションにはPHC(プログレッシブ・ハイドロ・クッション)を標準装備。バンプストッパーは一般的なウレタン製ではなく油圧ダンパーとすることで入力を優しく受け止めるとともに、反発せず入力変化に合わせて吸収することが可能。これのおかげで通常ストローク域はより柔らかくすることもできる。その乗り味はシトロエンらしいソフトなもので懐の深いストローク感も印象的だ。それでいてダンピングが効いているので上下動が残ってしまうことはない。コーナーでのロールはやや大きめだが、フルストローク状態でもPHCが路面の凹凸を吸収してくれるので安定した姿勢を保ち続ける。
乗り心地の良さと個性的センスはまさしくシトロエン

往年のシトロエンは“魔法の絨毯”と呼ばれる乗り心地を備えていたが、新型C5エアクロスはアドバンストコンフォートシートやPHCによって、さらに磨きをかけている。個性的なセンスも含めて、実にシトロエンらしいモデルだ。
⚫︎新車価格帯:550万円〜585万円(全グレード)