新車試乗レポート
更新日:2026.05.12 / 掲載日:2026.05.12
テスラ モデルY Lは「究極のファミリーカー」に相応しい仕上がり【石井昌道】

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
一時は販売が落ち込んでいたテスラだが、2026年第1四半期は全世界での生産台数が40万台を超え、前年同期比13%増と回復傾向にある。
日本市場はイーロン・マスク氏が「大規模な投資を行っている」とXで表明した通り、スーパーチャージャーや販売店、サービス拠点の拡充が進み、販売台数も増加。日本のBEV(電気自動車)市場で存在感を高めている。
日本に再投資を進めるテスラから3列6人乗りモデルが登場

そんなテスラのニューカマーが「モデルY L(デュアルモーターAWD)」。ミッドサイズSUVの「モデルY」の3列シート6人乗り仕様であり、一充電走行距離は788kmにも及ぶ。
車名の”L”はロングホイールベースを意味しており、ベース車両に対して150mm延長される。ボディサイズは全長4970×全幅1920×全高1670mm。ベース車両と比較すると全長は170mm延長し、全高は45mm高まり、全幅は同一となっている。
モデルYとの違いは大きく別車種レベル

間延びして見えないのは、Aピラーから後部のボディを一新してデザインを整えているからだ。リアにはスポイラーが追加され、Cd値は0.22から0.216へと向上。おもに高速域での電費改善に寄与する。

同じモーターを搭載し、車両重量が100kg軽いモデルYロングレンジAWDの一充電走行距離は682km。バッテリー容量がわずかに増えているが(詳細は不明)、空力性能向上と転がり抵抗を抑えたタイヤの採用によって電費が改善しているのは間違いないだろう。

2列目はキャプテンシートとなっており、サイズがたっぷりとしている上に電動昇降式のアームレストまで装備されていて、くつろいで座ることができる。

3列目へは2列目の中央を通ってアクセス。シート座面とフロアのヒール段差が小さいため、体育座り的に膝裏が浮いてしまうが、空間としては余裕がある。電動リクライニングを調整すれば、快適な姿勢が見つかるだろう。

電子制御サスペンションの採用で乗り心地はソフト
登場当初のモデルYは高い運動性能と引き換えに乗り心地はやや硬めだったが、昨年のモデルチェンジでサスペンションがしなやかになり大いに快適になった。
新たに電子制御ダンパーを採用したモデルY Lはさらに進化。荒れた路面でも突き上げ感が抑えられたソフトなフィーリングながら、操縦安定性も確保されている。

3列シートによって増えた車両重量に対応するため、リアタイヤが255/45R19から275/45R19へとワイド化されているが、それによる悪影響は感じられない。車両設定によって標準の「バランス」と後席の乗り心地を重視した「リアコンフォート」が選択できる。運転席では切り替えても乗り心地の違いはほとんど感じられないが、凹凸の多い路面では後部から感じられる横揺れがわずかに抑えられていたので、後席ならば快適なのだろう。アコースティックガラスの採用や遮音材の適正化によって静粛性も高くなっており、ファミリーカーに相応しい乗り味となっている。

0-100km/h加速はモデルYロングレンジの4.8秒に対して、車両重量が増えたことで5.0秒となるが、それでもスポーツモデル並みに俊足だ。それでいて加速感は滑らかで自然なフィーリング。初期のモデル3やモデルYは、モーターのトルクの厚みを強調するかのような唐突な加速をする印象が強かったが、現在では人の感覚に合った優れたドライバビリティを実現している。
モデル3は、回生ブレーキが強いワンペダルドライブ固定となっているが、モデルYおよびモデルY Lでは車両設定で減速度が低いモードが用意されている。エンジン車やハイブリッドカーと同様のフィーリングになるので、初めてBEVに乗る人には向いているだろう。慣れている人でも高速道路の巡航などでは減速度が低いほうが快適に感じるはずだ。
ファミリー以外にも受け入れられそうな万能モデル

大人6人がしっかり乗れる広々とした空間や快適な乗り味など、開発目標の“究極のファミリーカー”に相応しい仕上がりのモデルY L。
3045mmものロングホイールベースによって最小回転半径は5.8mとやや大きいのが唯一気になる点ではあるものの、3列シートを必要としていない人にとっても、長い一充電走行距離や電子制御ダンパーなど、モデルYを超える性能は魅力だろう。







