新車試乗レポート
更新日:2026.02.28 / 掲載日:2026.02.26

【レンジローバー スポーツSV】これは高級SUVでありスポーツカーだ!【工藤貴宏】

文●工藤貴宏 写真●澤田和久

 言うなれば、高性能スポーツカーの刺激的なエンジンを積んだSUV。SUVの革を被った超高性能スポーツカーと言い換えてもいいかもしれません。それが「レンジローバー スポーツSV」です。

レンジローバー・スポーツのポジショニングと現行モデルの概要

ランドローバー レンジローバー スポーツSV エディション ツー P635

 まず「レンジローバー スポーツ」というクルマの説明をしておきましょう。

 イギリスに「ランドローバー」というSUV専門ブランドがあります。このブランドは「ジャガーランドローバー・オートモーティブ」というメーカーが持つブランドのひとつであり、その名前からもわかるように「ジャガー」も擁するイギリスの会社。参考までに親会社はインドの「タタ・モータース」だ。

 で話をレンジローバー スポーツに戻すと、ランドローバーというブランド内の高級ブランドとして「レンジローバー」が存在。レンジローバーには「レンジローバー ヴェラール」とか「レンジローバー イヴォーグ」のように独自の車名を持つ物のほか、フラッグシップでありそのブランド名を車名とした「レンジローバー」というモデルもあるからちょっとややこしい。そして、そのレンジローバー(車名)のすぐ下のポジションを担うのが「レンジローバー スポーツ」というわけです。

 2022年に本国デビューした現行モデル(3世代目)はレンジローバーと基本コンポーネントを共有しつつ、そのコンセプトである「よりスポーティな味付けのレンジローバー」という方向性はもちろん健在。具体的にいえばスタイリングや背が低いだけでなくひときわ軽快感が漂い、運転席に座ると着座姿勢が低くなっていることからもスポーティな環境を作っていることが理解できます。まさに「引き算の美学」を具現化したかのようなスタイリングは、モダンアートのようですね。

 いっぽうで、価格レンジ的には「フラッグシップのレンジローバーよりも手が届きやすい」というのも初代から受け継いでいるポジション。というわけで(本家レンジローバーに比べると)スポーティで手が届きやすいというのが、レンジローバー・スポーツの立ち位置と言えるでしょう。

このエンジンは高性能スポーツカーの領域にある!

ランドローバー レンジローバー スポーツSV エディション ツー P635

 ただ、今回試乗した「レンジローバー スポーツSV EDITION TWO P635」が普通のレンジローバー スポーツちょっと違うのはその心臓と運動性能。エンジンはBMWの血を引く排気量4.4リッターのV型8気筒ツインターボでなんと635PS(車名の「P635」はこれに由来)。とんでもないパワーだ。停止状態から100km/hまでの加速に必要な時間はたったの3.8秒と、「約2.6トンある車両重量を考えると」なんて言い訳など必要なく文句なしの速さ(「アウディRS 3」とか「レクサスLFA」と同じくらい!)。全長約5mで全幅が2mを超え、全高が1.8m以上ある巨体がありえないほどの勢いで加速するのだから迫力でしかないのです(最高の誉め言葉です)。

ランドローバー レンジローバー スポーツSV エディション ツー P635

 ただ、そんな超高性能車にもかかわらず、まず驚くことでありフツーに走るだけで実感できるのは乗り心地のよさ。「6Dダイナミクスサスペンションシステム」と呼ぶ自慢のサスペンションがいい働きをしているのでしょう。これはスタビライザーのかわりにとなる油圧回路で連結した電子制御ダンパーとエアサスを制御することで、走行中のロールやピッチングを低減したしてフラットライドを保つセミアクティブサスペンションなのですが、乗り心地はまるで空飛ぶ絨毯。

ランドローバー レンジローバー スポーツSV エディション ツー P635

 正直にいえば空飛ぶ絨毯には乗ったことがないから同じかどうかはわからないのですが、アラジンはきっとこんな乗り心地を味わっているのだろうと思わせる極上の乗り心地です。路面からの凹凸を最大限に吸収し、超コンフォート。まるでハイエンドサルーンの乗り心地といっていいでしょう。究極のスポーツモデルなのに。

「SVモード」では想像を超える走行性能を体現

ランドローバー レンジローバー スポーツSV エディション ツー P635

 いっぽうで走行モードを「SV」に切り替えてひとたびアクセルを踏み込めば突如キャラ変。別人格が姿を現します。それがまさにレンジローバー・スポーツSV EDITION TWO P635の真骨頂で、アクセルを踏み込んだ際のエンジンレスポンスはレーシングカーのように鋭く、響き渡る音もまるで空気を切り裂くような大迫力。アクセルオフ時の「バババッ!」というバブリング音もテンションを上げてくれる。巨体をグイグイ前へ蹴飛ばしてくれる加速力とエンジンの刺激は、どうかんがえたって超高性能スポーツカーのレベルに到達しています。

 そのうえで、筆者の予想を超えていたのがコーナリング性能。ハンドルを切るとスッとクルマが向きを変え、車両重量を感じさせない軽快なフットワークと旋回中の安定感は驚くしかない。運転を終えたいま、「(重さと重心の高さゆえに)物理原則に逆らってまで素直に曲がらないだろう」なんて予想していた自分を恥じたい気分でいっぱいです。本当に。

これはSUVの姿をしたスポーツカーだ!

ランドローバー レンジローバー スポーツSV エディション ツー P635

 というわけで、レンジローバー スポーツSV EDITION TWO P635をひとことでいえば、超高性能スポーツカーの心臓を組み合わせたSUV。言い換えればSUVの革を被ったスポーツカー。

 同時に、極上の乗り心地でコンフォートセダンのような快適性ももたらしてくれる。その2つの特性のハイレベルな両立が、レンジローバー スポーツSV EDITION TWO P635の何よりの凄さだと筆者は思います。インテリアもモダンかつラグジュアリーで、素晴らしい世界ですね。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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