新車試乗レポート
更新日:2025.12.20 / 掲載日:2025.12.16
街中で輝くワンランク上のGLA【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
今年メルセデスのコンパクトカーシリーズに新たな動きがあったのをご存知だろうか。彼らは装備を充実させた新ラインナップを6月に追加している。その名は「アーバンスターズ(Urban Stars)」。Aクラス、CLA、CLAシューティングブレーク、GLA、GLBにそれを用意した。
新グレード「Urban Stars」を解説

これは購入時人気のオプションを事前に装着し、リーズナブルな価格設定で提供するというものだ。ここ数年のデータをもとに、マーケティング的見地で設定された。従来モデルの同等オプション装着車と比較して、およそ30万円から40万円お得になるらしい。こいつはカスタマー的には嬉しい配慮だろう。いろいろ悩むオプションだが、はじめから割安で人気パーツがついているのはありがたい。
具体的には、従来まで人気の有償オプションであったAMGレザーエクスクルーシブパッケージとAMGラインパッケージの大部分を標準装備にしている。結果、アダプティブダンピング付きサスペンションが搭載されることで、快適な乗り心地と軽快なハンドリングをより強く感じられることとなった。
個人的にこれはいいと思ったのはアルミホイール。ブラックに塗られた20インチのAMGホイールが足元を着飾る。うん、こいつは素直にカッコいい。これまでのホイールだと購入後社外品に替えたくなるが、これならずっと付き合えそうだ。
これぞまさしく小さな高級車

インテリアでは本革のスポーツシート、ナッパレザーのスポーツステアリング、カーボンルックインテリアトリム、それにプライバシーガラスが装着される。どれも高級感を醸し出すものばかりだ。
ということで、今回久しぶりにGLAクラスを試乗した。グレードはGLA200d 4MATICアーバンスターズ。同クラスにはこの他にGLA180アーバンスターズがある。価格はどちらもこれまでより40万円余りアップするが、それでも30万円以上の割引を得たことになる。



扱いやすさも含め、とにかく快適

では乗った印象だが、このクルマの長所は大きくは2つあると思う。ひとつは流行りのSUVであること。背の高いクルマはドライバーのピップポイントが高く見晴らしがいい。それにキャンプ場周辺などの未舗装路を遠慮なく走れるのが好都合だ。そしてもうひとつはサイズ。全長4445mmはノーストレス。コンビニの駐車場に遠慮なく頭から入れられる。全幅1850mmも悪くない。ひと昔前なら大きいと思われていたが、最近は標準的。GLCになると1890mmになるから感覚は変わってくるだろう。
でもって街中と高速道路を走ったが、乗り心地が非常にいい。それほど長くないホイールベースで20インチのタイヤを履いていることを鑑みると、これは上出来と言っていい。アダプティブダンピング付きサスペンションの恩恵だろうか。特に高速道路でのフラットライドは同乗者も好印象を得るに違いない。
エンジンはご存知2リッター直列4気筒直噴ディーゼルターボを搭載する。最高出力は150ps、最大トルクは320Nmだ。必要にして十分なのは言わずもがな。低速ではディーゼルの太いトルクが、高速ではターボがそれを補ってスムーズな加速をみせる。ただ、すべてが完璧なわけではない。久しぶりに車外で耳にしたディーゼルの音は思いのほか大きかった。数年前はディーゼルもここまで静かになったのかと感心したが、今はそうではない。きっとそこは会社の姿勢と関係すると思う。つい最近までメルセデスは内燃機関を将来的に無くし、すべてBEVへ向かう計画を打ち出していたからだ。よってこうしたエンジンの進化がストップしていたと推測される。もちろん、彼らのことだから計画を方向転換したことですぐに立て直せることだろう。優秀なエンジニアが去っていなければいいのだが。
上質でストレスフリーな移動手段を求める都市生活者に

それはともかく、GLAはアーバンカーライフを送るのにいい選択肢だと思う。これ一台で全方位的に活用できるからだ。3列シートが必要な方はGLBを選んでいるようだが、リアルにそれを使うことがイメージできなければこちらがいい。少しスクエアなGLBの方がオフローダーっぽく見えなくもないが、ちょっと違う気がする。このサイズのSUVならシュッとしたスタイリングの方がカッコいい。
いずれにせよGLAはメルセデスらしく全方位的に不満のない仕上がりであった。日頃Eクラスを足にしている立場からも魅力的に思える。メルセデスからメルセデスへ乗り換えるのならこんな選択肢はアリだろう。こいつならよりストレスフリーなカーライフが送れそうだ。
