新車試乗レポート
更新日:2018.10.11 / 掲載日:2015.11.19
ジープ レネゲード 試乗レポート(2015年11月)

ちょっぴりイタリアンな待望のベイビージープ
なんともセンスのいいコンパクトSUVが現れた。写真をご覧いただきたい。スクエアなボディに丸型ヘッドライト、それにオシャレなホイールといい、人気になりそうな雰囲気プンプンである。
で、その正体はジープ・レネゲード。つい先日発表されたばかりのホヤホヤの新型車だ。ジープと聞いて無骨で乗りにくそうなイメージを持つひともいるだろうが、イマドキは違う。アイコンとなるラングラーだってかなりイージードライブできる。そもそもアメリカ人がそんな乗りにくいクルマをほしがるわけないからね。
それにこのクルマは従来のジープとは少々成り立ちが異なる。ハードウェアを設計したのはフィアットのスタッフ。いまはジープもフィアットも同じFCAという会社だけど、今回はそうなった。大衆車を専門に扱ってきた開発陣の作品だ。ちなみに、ほぼ同時期に発表されたフィアット500Xとは兄弟車となる。
とはいえ、4WDシステムや最終的なジープのアイコン的デザインはジープ側スタッフが手を入れた。バロッコにあるフィアットのテストコースにオフロードセクションまで作ったというからホンキである。

そんなレネゲードの日本仕様は2.4Lと1.4Lのふたつの直4で構成される。前者はクライスラー製ユニットのヘッド部分にフィアットが手を入れ、後者はフィアットのエンジンをそのまま載せた。で、おもしろいのはトランスミッション。前者は9速AT、後者は6速デュアルクラッチのATが組み合わされる。加えて大きいエンジンは4WD、小さい方はFWDというシバリもある。その意味ではカタチは同じでも異なる性格といっていいだろう。事実走りもそれぞれの個性が際立っている。
試乗したのは2.4Lの「トレイルホーク」ともう一方の「リミテッド」という2つのグレード。リミテッドと同じエンジンを積む「オープニングエディション」もカタログにはあるが、今回は用意されなかった。とはいえ、300万円を切るこいつはかなり魅力的である。
では実際に走った印象だが、軽快だったのはリミテッド。小さいエンジンながら高回転まできれいにストレスなくまわり、それをそのままトラクションに変えクルマを前へ走らせる。その恩恵は6速デュアルクラッチだろう。つなぎも早くスポーティな感覚が伝わってきた。それにFWDならではの軽快さもよく出ている。この辺のノウハウはフィアット側が長けているのかもしれない。イタリアンハッチバックのようなフットワークの軽さを全身で感じた。
それに比べると排気量が1L大きくなるトレイルホークはもう少し大人しい。トルクで走ると言うか、出だしからスーッと走り出す感じだ。それに多段化されたオートマはシームレスでスマート。9速はオーバードライブだけでなく、低速ギヤの間を埋めているのでまるでCVTのようでもある。そこは乗り比べれば明らかに別モノだ。
なので、乗り味はそれぞれの好みだが、エクステリアデザインは断然トレイルホークに軍配が上がる!と思う。ブラックアウトされたグリルやバンパー、それにホイールが全体を引き締める。コンパクトながらワイルドでちょっぴり“ワル”そうに見えるところがいい。チェロキーもそうだが、トレイルホーク推しだ。
といったレネゲード。これまでもジープにはパトリオットやコンパスといったコンパクトモデルはラインアップされてきたが、これはひと味違う。ちょっぴりイタリアンなオシャレジープといったところだ。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ ジープ コール TEL:0120-712-812
Detail Check

写真はトレイルホーク。ワイドこそ1800mm少々あるものの全長は扱いやすいサイズに収まる。このサイズなら人気が出るのも必至だ。
コックピット
コックピット
インテリアデザインが弱かった近年のアメリカ車だが、フィアットのテイストが入ることでレネゲードはポップに仕上がる。エアコン吹き出し口にアクセントを加え印象的な仕上がりだ。
インテリア
インテリア
大型のシートがカラダを包み込むように迎えてくれる。パターンは豊富で、グレードにより用意されるカラーも異なるからおもしろい。高さがあるのでヘッドクリアランスは十分。
エンジン
エンジン
2.4Lのクライスラー製エンジンに組み合わされるヘッドはフィアット製のマルチエア。こういったジョイントができるのも新しい会社の恩恵といえる。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
スクエアなデザインだけにリヤ開口部はこうなる。タイヤの出っ張りはなく使い勝手はよさそう。テールランプのバツ印は1941年型ジープへのオマージュ。
主要諸元:ジープ レネゲード トレイルホーク(9速AT)
全長×全幅×全高 | 4260×1805×1725mm |
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ホイールベース | 2570mm |
トレッド前/後 | 1540/1540mm |
車両重量 | 1560kg |
エンジン | 直4DOHC |
総排気量 | 2359cc |
最高出力 | 175ps/6400rpm |
最大トルク | 23.5kg m/3900rpm |
サスペンション前後 | ストラット |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 215/60R17 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2015年9月)
オープニングエディション(6速AT・デュアルクラッチ) | 297万円 |
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リミテッド(6速AT・デュアルクラッチ) | 313万2000円 |
トレイルホーク(9速AT) | 340万2000円 |
Body Color
□アルパインホワイトC/C ■オマハオレンジC/C ■ソーラー イエローC/C ■コロラドレッドC/C ■ブラックC/C |
4WDを得意としながらも目指したのは「効率」
レネゲードはエンジン横置きのFFパッケージングをベースとする。なのでセンターデファレンシャルは持たない。2WDはフロントデフのみ、4WDはそれ+リヤデフとなる。ただし4WD車でもAUTOモードにしておけばリヤデフを切り離すことで効率的な2WDとして走ることができる仕組みだ。