新車試乗レポート
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2015.10.15
ジャガー XE 試乗レポート(2015.10.09)

各ブランドの看板モデルや主力モデルがひしめき合うDセグメントにジャガーが久しぶりに参入する。優雅なるスポーティさを表現し続けるブランドが、よりカジュアルでアクティブな「XE」を誕生させた。
プレミアムセダンの主戦場にジャガーが進出
まず、はじめに認識していただきたいのは、ヨーロッパではクルマのサイズでセグメントが決められるということだ。小さい方からA、B、C・・・というように、アルファベットで分けられる。で、このジャガーXEは“D”セグメントに区分けされる。メルセデスで言うところのCクラス、BMWなら3シリーズといったところだ。各メーカーの屋台骨といっても過言ではない。
XEはプレミアムモデルを専門とするジャガーにとっては久々のDセグメントとなる。かつてフォード傘下にいたころフレームを共有してXタイプが生産されたが、今回はそれ以来だ。全長は4680mmしかない。
パワートレーンの中心は2L直4ターボ。その200馬力と240馬力の出力違いと同排気量のディーゼルがラインアップされる。今年12月にはそのディーゼルエンジン車が日本でも発売を開始するというから、そちらも楽しみだ。
といった背景での国内試乗である。ステアリングを握ったのは200馬力バージョンのプレステージ。ラインアップのなかでも比較的装備の充実した売れ筋となろうモデルだ。
XEを目の前にすると、XJからつながるアイデンティティがこのコンパクトなボディにも見受けられる。格子のグリルと切れ長の目、クーペライクなプロポーションがそれだ。リヤピラーの角度も独特だ。惜しいのはテールランプでここだけは個性を感じない。せっかくXJのようなオンリーワンのデザインがあるのだから、それを踏襲するべきだったと思う。これだとドイツ車と見間違われても文句は言えそうもない。

そんなことを感じながらドライバーズシートに乗り込む。するとここはジャガーらしさを醸し出していた。ピアノブラックの太いセンターコンソールがそれで、このクルマがFRサルーンであることをひと目でわからせた。また、そこに鎮座するドライブセレクターもジャガーの専売特許である。
では、走らせるとどうなのか。スタータースイッチを押してエンジンを始動させアクセルを踏み込む。すると滑り出すように各部がスムーズに動くのがわかった。パワステのチューニングは比較的軽めで、アクセルに対するレスポンスもなかなかいい。それに8速のZF製ATがシームレスに加速を促す。多段化されたギヤはクロスレシオな分、変速ショックが少ない。がしかし、これだけではジャガーネスは十分ではない。200馬力というパワーは遜色ないものの、“ジャガーを動かしている気”にはならない。
ところが、街なかでは感じなかったが、ひとたびワインディングに入るとキャラクターが一変する。ステアリングを切るのが楽しくなるほどクルマは向きを変え、ヒラリヒラリと駆け抜けるのだ。そう、いわゆるこれがネコ脚と呼ばれるもの。リヤのスタビリティは高く、ねばりながら鼻先をイン側へ向けるさまはさすがとしかいいようがない。いい意味で、“ハンドリングオタク”なセッティングが姿を現した。
もちろん、冒頭に記したようにここは激戦区で、BMW3シリーズに代表されるファンなクルマは多い。BMWのハンドリングの楽しさはあらためて語るまでもないだろう。ただ、XEのそれにはXJに通じるものがある。つまり、上のクラスの要素が取り入れられているのだ。それは3シリーズをハンドリングの頂点とするBMWとXJを頂点とするジャガーの違いといえよう。どちらも走らせることを楽しくするブランドであるが個性が息づいているのだ。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ ジャガーコール TEL:0120-050-689
Detail Check
コックピット
コックピット
ダッシュパネルの形状がラウンドしているのはXJに通じるものがある。センターコンソールのドライブセレクターもそうだが、液晶メーターではなくこのクルマには丸型のスポーティなメーターが装着される。
インテリア
インテリア
ボリュームあるシートがしっかりカラダをサポートするのが特徴。通常のセダン以上にホールド性は高い。リヤシートは大人がムリなく乗れるスペースを確保。ヘッドレストの実用性は高い。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
トランクのサイズは十分。トランクスルー機構があるので2人でゴルフバッグ2個は楽勝。
タイヤ
タイヤ
タイヤは17インチが標準で、オプションの種類が多いのがうれしい。かなり積極的に選べるのがグッド。
エンジン
エンジン
XJにも搭載される自社製の2L直4ターボが積まれる。最高出力は240馬力とデチューンした200馬力版がある。8速ATとの組み合わせも目玉である。
主要諸元:ジャガー XE プレステージ(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4680×1850×1415mm |
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ホイールベース | 2835mm |
トレッド前/後 | 1595/1600mm |
車両重量 | 1640kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1998cc |
最高出力 | 200ps/5500rpm |
最大トルク | 32.6kg m/1750-4000rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/インテグラルリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 205/55ZR17 |
全国メーカー希望小売価格(受注開始 2015年6月)
ガソリン・エンジン搭載モデル
XE ピュア(8速AT) | 477万円 |
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XE プレステージ(8速AT) | 515万円 |
XE ポートフォリオ(8速AT) | 642万円 |
XE S(8速AT) | 769万円 |
ディーゼル・エンジン搭載モデル
XE ピュア(8速AT) | 497万円 |
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XE ポートフォリオ(8速AT) | 535万円 |
XE Rスポーツ(8速AT) | 549万円 |
Body Color
□ポラリスホワイト ■エボニーブラック ■アルティメットブラック ■ダークサファイア ■オデッセイレッド ■ロジウムシルバー ※ほか12色。 |
豊富な経験を生かしアルミボディ化を進める

全体の75%にアルミニウムを使うXE。2003年のX350型XJ以降アルミを使い続けているジャガーには一日の長があるのは明白だ。アルミ合金の豊富な種類の選択から特性を活かした成形方法まで幅広い知識と経験を持っている。一部にスチールを用いたハイブリッド構造となるのはXFと同じ手法だ。