新車試乗レポート
更新日:2025.08.22 / 掲載日:2025.08.22
もはや軽超え!? 新しいルークスは上質コンパクトに変身!【日産】

文と写真●ユニット・コンパス
もうこれって小さなミニバンなのでは? フルモデルチェンジされたルークスの実車をチェックしてつくづくそう思いました。デザイン、装備、機能……どれも従来の軽自動車のレベルを超えています。
よりミニバンに近づいた上質フォルム

隅から隅まで角丸で徹底された新型ルークスのデザインを見て、かつて日産から発売されていた名作コンパクトカーのキューブを思い出しました。スクエアなシルエットを角丸でまとめた洗練されたキューブは、その優れたデザインで多くのひとびとに愛されました。その記憶が蘇ったのです。
もちろん新型ルークスは、日産の最新デザイン言語で作られているのでキューブの焼き直しなんかではなく、その姿は未来志向で新鮮味があります。伝えたかったのは、新型ルークスのデザインは、軽自動車という枠にとらわれない凝ったデザインだということ。
フロントのボンネットからガラス下端を流れるラインが一直線になったことで、全体のイメージがすっきりとシンプルになり、大人っぽくなりました。さらにAピラー(一番前の柱)の角度を立てたことでミニバンのような安定感のあるシルエットになりました。ガラスと顔の距離も離れたので、運転席に座った時の広さ感もアップしています。


ディテールにもこだわっています。艶のある黒で仕上げられたグリルは、表面に四角錐のようなくぼみが並んでいて、ヘッドライトの灯体も同じく四角でまとめられています。その周囲をメッキのモールが囲んでいるのですが、上級グレードではヘッドライトの部分が発光するようになっています。これも新しい技術が可能にしたデザインの一例。こういうこだわりは嬉しいですね。
ボディカラーもなかなかに素敵。流行のツートンカラーを一歩進め、屋根だけでなくボディのショルダーラインまで塗り分けられています。これがなかなか魅力的でした。


もっと便利に! 使いやすさと居心地がよくなったインテリア

インテリアは明るくて上質な雰囲気。素材使いも上手で、軽自動車にありがちな硬いプラスチックに囲まれている感じがありません。
ダッシュボードには日産が「モノリス」と呼ぶ曲面ディスプレイが設置され、軽自動車とは思えない先進感があります。「モノリス」といっても実際には2枚のディスプレイなのですが、表示や使い勝手を工夫することで、まるで1枚のウルトラワイドディスプレイのように表現されています。アリアなど上位車種に採用された技術ということもあり、もっと高いクルマに乗っているような感覚を受けました。



シートも素敵。ヘッドレストに切り返しで色が使われていたりエンボス加工がほどこされていたり色々と凝っているのですが、デザインに抑制が効いているので高見えします。そう、ルークスのインテリアは高見えするんです。
とくにセンスのよさを感じたのは、ダッシュボードのBピラー部分からぐるっと一周、色が切り替わるカラーリング。これは「縁側」をイメージしたデザインなのですが、室内でぼうっと前を見ている時にこれが意外なほどいい感じなのです。まさに縁側からお庭を眺めているような絶妙な居心地のよさ。それでいて運転しているときは邪魔にならなかったのも見事。こんなデザイン、輸入車でもなかなかありません。拍手!

先進機能で進化したのは「インテリジェントアラウンドビューモニター」。従来のルークスにも、車両の周囲を俯瞰で表示する機能は備わっていましたが、新型ではさらに使い勝手がレベルアップ。「フロントワイドビュー 地点登録機能」、「3Dビュー」、「インビジブルフードビュー」の3つの機能が新たに加わりました。
とくに便利だと感じたのが「フロントワイドビュー 地点登録機能」。見通しの悪いT字路など、運転席から見えない範囲を広角カメラで補ってくれるというもの。それだけでも安全に貢献するのですが、素晴らしいのが地点登録機能。簡単な操作で、フロントワイドビューを作動させる地点を登録できるのです。一度登録してしまえば、そこに近づくと自動的にカメラが起動します。これは本当に素晴らしい。



運転のしやすさもレベルアップ!

わずかな時間ながらターボモデルをテストコースのなかを走らせてもらったのですが、先代からかなりの進化を感じました。
まず、運転していてふらつきが少ないので走らせていて安心感があります。さらにシートがいい。座った瞬間はフワッと身体を包み込む快適なソファーのような感じなのに、走り出したらしっかりクルマのシートらしく身体を支えてくれるのです。さらに後席についても座面が大きくなったことで、疲れにくくなったとのこと。クルマの動きと視線がずれないので、車酔いしにくいように感じました。
そして走行中の室内がかなり静かになりました。これは乗り換えてすぐわかるレベル。エンジンがちょっと遠くにあるような感じで、後ろの席とも会話がしやすそう。
軽を超えた上質コンパクト

ルークスは先代モデルから軽ばなれした充実した装備を持つクルマでしたが、新型ではデザインや質感がさらに進化して、全方位的に軽自動車のレベルを超越した仕上がりになっていました。走りも快適で、とくに走行中の静かさはトップレベル! ドライバーをサポートする装備も実用的なアイテムが加わって着実に進化しています。
もうこれは軽自動車というより、コンパクトな2列シートミニバン。子育て世代はもちろん、これまでもっと大きなクルマに乗っていたひとが乗り換えても、満足できる仕上がりになっていました。新型ルークス、かなりハイレベルです。





