新車試乗レポート
更新日:2025.06.18 / 掲載日:2025.06.18
500万円台で買えるジープ! レネゲードのマイルドHVに乗った【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
ジープレネゲードに新しいモデルが加わった。マイルドハイブリッドシステムを搭載したレネゲード eハイブリッドである。
モーター付きという面では、これまでもプラグインハイブリッドのレネゲード4Xeがあったがそれとは別。ジープブランド初のマイルドハイブリッドとなる。そしてレネゲード4Xeは在庫がなくなり次第販売終了。2027年に予定している新型車発表を前に、モデル整理が行われるようだ。イタリアの兄弟車フィアット500Xも同じような状況と耳にする。
低速時はモーターのみで加速する48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載

そんなレネゲードeハイブリッドのパワーソースは新開発の1.5L直4直噴ターボをベースに48Vリチウムイオン電池とモーターを組み合わせたもの。最高出力はそれぞれ131馬力と20馬力、最大トルクは240Nmと55Nmを発揮する。組み合わされるギアボックスは7速DCTだ。
特徴はEV走行ができること。といっても走り出しをモーターに任せるといった感じで、時速15キロから20キロあたりでエンジンがかかるようになっている。レネゲード4Xeはデータ上EV走行モードで52km走行可能となっていたが、根本的にそれとは違う。ただスペック表にある燃費は17.7km/Lだからけっして悪くない。モーターの恩恵はそれなりにありそうだ。
装備では、エクステリアだとグロスブラックのグリルやドアミラーとドアハンドルが黒く塗られているのが特徴。フロントマスクは引き締まって精悍な印象だ。ボディカラーは5色用意される。インテリアでは第5世代の10.1インチタッチスクリーンがセンターに採用され実用性が高まった。使いやすさもそうだが、視認性が良い。ステアリングも新採用。グランドチェロキーにも装着されるセンターの「Jeep」ロゴが高級感を醸し出す。
あらゆる意味で使いやすくなった癒し系ジープ

では走らせた印象だが、あらゆる角度で使いやすさを感じる。乗り降りのしやすさやキャビンの広さがそうで、サイズ以上にそれを感じた。ジープ然としたスタイリングはピラーが立っていてヘッドクリアランスが稼げているし、アップライトに座るので足元のスペースもしっかりある。右ハンドルだと左足を置くスペースが少ないラングラーとは違い、ドライビングポジションは自然なカタチでとれるのはポイントだ。ちなみに、試乗車にはデュアルペインパノラミックサンルームが装着されていた。かなり広いサンルーフなので、開放感がある。予算に余裕があれば装着したいオプションだ。
スリーサイズは全長4255×全幅1805×全高1695mm。全長は短く車庫入れに苦労はなさそうだ。それに全幅もこれだけフェンダーが膨らんでカッコ良さをアピールしながらイマドキのサイズに抑えられているのは嬉しい。

そして前述したように動き出しはモーターでスムーズ。EVの長所であるアクセルに対するクイックなレスポンスでスタートする。その後のエンジンが始動してからの動きもとても自然。1.5Lという小排気量ながら4気筒あることで振動は少なく、音も静かなのがいい。他ブランドにある同排気量の3気筒ユニットとの違いは明らかだ。
乗り心地は思った以上に良く、細かい路面の凹凸で跳ねるようなことはない。ダンパーがしっかり働いて、キャビンをフラットに保とうとしているのがわかる。ホイールベースは2570mmとけっして長いわけではないので、これだけ良ければ上出来だ。それにホイールサイズが17インチというのもグッド。最近の傾向だとこのサイズのクルマで18インチかそれ以上のホイールを履かせるモデルもあるが、そうしないところにインテリジェンスを感じる。タイヤサイズは215/60R17。これならスタッドレスタイヤを含め履き替えに大枚を叩くことはないだろう。



ただ総体的にスポーティなイメージはない。扱いやすいが、特別ハンドリングがいいとかということでもない。その意味では“走り”の個性は薄めだ。なので、街乗り中心のカーライフで相棒として付きあるのがいいと思う。週末、東京から横浜へショッピングなんてのには最高だ。
デザインで惚れて買っても満足な仕上がり

というのが、新型レネゲードeハイブリッドだが、そもそもこのクルマはイタリアとアメリカのハーフであるから魅力的な要素が多い。コンパクトカーに長けているフィアットの合理性とジープのワイルドさが融合されているからだ。なので、スタイリングを気に入って購入するのはアリ。クラシックな丸型ヘッドライトをモダンに乗りこなせるオシャレなクルマであることは間違いない。