新車試乗レポート
更新日:2025.03.23 / 掲載日:2025.03.23

二面性こそがレンジローバースポーツの魅力!【工藤貴宏】

文●工藤貴宏 写真●澤田和久

 英国王室御用達の高級SUVブランドで、かつては「砂漠のロールスロイス」なんていう異名もあったイギリスのレンジローバー。その名称は「ランドローバー」の上級タイプのシリーズ名であると同時に、レンジローバーブランドの最上級車種の車名でもある(イメージとしては「レクサス」の最上級車種を「レクサス」と名付けたと思えばいい)のでちょっとややこしくもあるが、まずは“ブランド”の話から進めよう。

レンジローバーの電動化はPHEVが中心

ランドローバー レンジローバースポーツ P550e

 そんなレンジローバーも「電気自動車化」の波から無縁のポジションというわけにはいかず、将来的なEVモデルのデビューがアナウンスされている。

 でも、そう簡単にラインナップのEV化を進められるわけではないのはどのメーカーも同じこと。加えて昨今の“EV踊り場”(西欧を中心に新車販売におけるEV化率が鈍化している)を考えれば、我先にと顧客が付いてこられないほど急ぎ過ぎるよりもジワジワとEVへと舵を切っていったほうが得策だというのも一つの考え方なのだ。レンジローバーを有するJLR(ジャガー・ランドローバー)社は早いタイミングで出したEV「ジャガーIペース」でちょっと痛い目にあっているし。

 というわけで、ランドローバー(レンジローバーを含むSUVブランド)の“電動化”は、現時点ではPHEV(プラグインハイブリッド)が中心。プラグインハイブリッドとは、エンジンを搭載しつつ、力強いモーターと外部充電が可能な大型バッテリーを組み合わせたハイブリッドカーのこと。プラグインとは電源をつないで充電できることを意味し、エンジンを止めたまま「EV走行」として数十キロを走行可能なのがポイントだ。

 いっぽうでエンジンでも走行できるので、ガソリンを入れれば航続距離を伸ばせる。つまりEVと違って、バッテリー切れの心配がいらないクルマというのがポイントだ。ハイブリッドカーの上位版と考えればいいだろう。

 レンジローバーは、EV化の前段階としてそんなPHEVを前面に押し出してきた。これ、とても理にかなった感覚だと思う。なぜなら。多くの人にとって、EVは航続距離や充電の心配からハードルの高い選択肢であるからだ。

 いっぽうでガソリンを入れれば充電しなくても普通に走れるPHEVなら覚悟を決めなくても選択できるし、不便を強いられることもない。それでいてエンジンを止めて走るEV走行の滑らかさを味わうことができる存在。それがPHEVなのだ。

ランドローバー レンジローバースポーツ P550e

 というわけで、今回試乗した「レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ P550e」もそんなレンジローバーのPHEVシリーズの1台。車種としての「レンジローバー」はレンジローバーブランドのトップに君臨するモデルであり、「レンジローバースポーツ」はそのスポーティバージョンと考えればポジションがわかりやすい。基本骨格などはレンジローバーと共用しつつ、顔つきや低いルーフラインなど随所をオリジナルデザインとして仕立てたモデルだ。全長もレンジローバーより短くなっていて、車体はひとまわりコンパクト。

 しかし2台を並べてみると、“スポーツ”が単にコンパクトというよりは、威風堂々として重厚感のあるレンジローバーに対し、スポーツは親しみが持てるような印象なのはきっと気のせいではなさそう。ついでにいうとサイズや見た目だけでなく価格も“レンジローバーよりは”親しみが持てるもので、この2台の作り分けというかお互いに補完しあう作り分けが絶妙すぎる商品企画だなと妙に感心させられる。

引き算の美学が徹底された美しいデザイン

ランドローバー レンジローバースポーツ P550e

 それにしても、まるで引き算の美学を具現化したかのような、シンプルでモダンなデザインは鳥肌モノ。なんという美しさ。美術館に飾っておきたいくらいだ。

室内はコックピットまわりの物理スイッチの少なさに驚く。2024年モデルから、それまでセンターコンソール周辺に配置されていた空調スイッチ、テレインレスポンスの操作ダイヤル、オーディオなどの物理スイッチが消え、インフォテインメント内に統合。大型タッチスクリーンで操作するようになった。そのため、ダッシュボードがとてもすっきりしたデザインになった。エクステリア同様に“引き算の美学”となったのだ。

まるで魔法の絨毯かのような乗り心地のよさ

ランドローバー レンジローバースポーツ P550e

 走り始めて納得なのは乗り心地。とにかく感動するのは路面からの入力による衝撃の吸収の良さ。まるで空飛ぶ魔法の絨毯に乗っているかのようだ(残念ながら乗ったことはないけれど)。

 レンジローバーといえば乗るたびにその乗り心地の良さに驚き、新たな感動を味わえる乗り物。そんな極上の移動空間っぷりは、スポーツにもしっかりと継承されているというわけだ。この乗り心地は車体設計からサスペンションの細部まで積み上げられたうえで完成したものだが、最終的には綿密な制御をおこなうエアサスペンションの賜物といっていいだろう。

 そして思うのは、エンジンのフィーリングが極上だってこと。PHEVなのに。搭載するエンジンは直列6気筒のターボ。400馬力とエネルギッシュなのだが、それよりも繊細で滑らかな感触がなによりの魅力だ。もしかすると「ハイブリッドカーだからエンジンのフィーリングなんてどうでもいいのでは?」と思う人もいるかもしれない。だけど、そういう目に見えない感覚的な部分をしっかりと仕立てていることが、プレミアムなクルマにとって大事なことなのだと筆者は思う。

 車両重量が約2.9トンとかなりあるのでハイブリッドシステム全体でのトータル出力が550馬力(「550e」というモデル名はここにちなんでいる)あっても驚異的に速いというわけではない。だけど心地よさと上質さを味わわせてくれるのがなんとも優雅だ。

 いっぽうで、エンジンを止めてモーターだけで走るときの感覚はあたかもEV。エンジンをかけずにモーターだけで走るのだから当然といえば当然だが、エンジンを掛けて走る際との“キャラ変”ぶりが面白い。ちなみにカタログスペックは、バッテリーが満充電であればエンジンを止めたまま120km走れることになっている(実際にはその2~3割落ち程度だろう)。

エンジン車の魅力を損なわず環境性能を達成

ランドローバー レンジローバースポーツ P550e

 そんなレンジローバースポーツのPHEVの最大の魅力は、2つのキャラを持つ2重人格だってこと。ハイブリッドモードで走れば心地いいエンジンの味を堪能でき、エンジン好きの満足度も高い。いっぽうでバッテリーを充電してEVモードとすれば、エンジンを止めてEVに準じた走りとガソリンを使わないことによる環境性能を実現。これぞ、エンジン車好きのための現実的なエコカーの選択肢だと思えないだろうか?

 もし充電環境があるならば日常の移動はEVのようにガソリンを使わず脱炭素を実現(しかも家で充電すればガソリンで走るよりエネルギーコストが安い)。いっぽうでエンジンを堪能したいときは抜群のドライバビリティを味わい、長距離移動だって難なくこなせる。そんな2重人格が、このクルマの面白さなのだ。もちろん、極上の乗り心地やモダンなデザインも大きな魅力だが。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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