新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2015.02.19

BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー 試乗レポート

BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー

それは、ユーティリティや居住性をアピールする単なるコンパクトモデルの登場ではなかった。BMWにとって初となるFFモデルとして生まれた注目モデルは、新たに多くを魅了しそうだ。

BMWが踏み出すまったく新しい境地

 2シリーズというと、すでにクーペが存在するため混乱を来す感もあるが、アクティブツアラーの系譜はまるで異なるもの。わかりやすいのは駆動レイアウトで、1シリーズと同様にFRを採用するクーペに対して、アクティブツアラーはFFおよびxDrive(4駆)の設定だ。「ついにこのときが来たか!」と、衝撃を受けたファンもいるだろうが、2シリーズ・アクティブツアラーは、BMWブランド初のFF車という一点だけでも大きな注目を集める。

 なら、登場の背景は?メルセデスBクラスやアウディA3スポーツバックの人気が示すように、昨今は高級コンパクトの世界においても実用重視のユーザーが確実に増えている。そんな声に応えるのがアクティブツアラーで、空間効率の追求を考えれば、横置きFFレイアウトの採用は必然の成り行きともいえる。

 日本に導入されたのは「218i」と「225i」の2モデル。試乗した「218i」の心臓はなんと、新型MINI・クーパーで先に紹介された3気筒(!)の1.5L直噴ターボなのだから、そこにも驚きを禁じ得ないファンが存在するはずだ。

 まず気になるのは動力性能だが、1.5トンに迫る車重のアクティブツアラーとのコンビでも、B38A15A型ユニットは十分な能力を持つ。1000回転台半ばですでに22.4kg mのトルクを生み、ピークトルク値を4300回転まで保つのだから、加速のストレスを感じさせない。

BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー

 ECO PROモード(ドライビング・パフォーマンス・コントロールを標準採用)ではスロットル開度を絞った印象だが、SPORTモードではパワフルかつレスポンシブな走りを楽しませてくれるのだから、多くの人を満足させるに違いない。

 とはいえ、さすがのBMWも3気筒の荒さを完全に消し去ることはできなかった。MINIと比べれば振動やノイズは抑制されたものだが、1700回転ほどをピークとするこもり音や2000~3000回転台でのゴロゴロした回転フィールはちょっと気になるところ。

 BMWらしいシルキーな回転フィールや、より以上の動力性能を求める人には、4気筒2Lの「225i」が向いていると言っていい。

 そしてシャシー性能。ベースの土台はMINIとの共用だが、走り味はきちんとBMWテイストとなっている。ロングホイールベースやワイドトレッドから連想できるように、まずはハイレベルな安定性を確保。居住性や多用途性に優れるアクティブツアラーは、レジャーユースにも最適なモデルだけに、長距離走行の安心感は大きな加点要素となる。

 加えて、Cセグメントとしては大柄なボディを考えれば、日常の場面におけるフットワークも軽やかかつスポーティな仕上がりだ。しかしながら、機械式駐車場への対応のため、日本仕様にローダウンのスポーツサスを採用したことには功罪がある。

 引っかかる点は、荒れた路面でやや跳ね気味となる乗り心地や、中立付近で人工的な抵抗感を示す電動パワステ、そしてペースを上げると露わになる強めのアンダーステア特性。でも、現時点では結論は出さず、「225i」や「Mスポーツ」を試したのちに、FFのBMWの総合的な性格分析をしたいと考えている。

 いずれにしても、標的は走り味よりもユーティリティに重きを置く、従来のBMWファンとは異なる価値観を持つ層なのだから、基本の方向性はこれでOK。新規ファンの獲得や、ユーザー層の拡大に大きく貢献するのは確かなことで、アクティブツアラーは大きな潜在能力を持つ。

文●森野恭行 写真●澤田和久
問い合わせ BMWカスタマー・インタラクション・センター 0120-269-437

Detail Check

BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー

全幅1800mm、全高1550mmのボディは機械式駐車場にも広く対応するもの。加えて全長も4350mmと小柄で、取り回し性も良好な印象だ。

  • コックピット

    BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(コックピット)

  • コックピット

    最新のBMWらしい造形と質感が光るコクピット。フロントスクリーンを前方配置とし、アイポイントを1シリーズ比で110mmも高く設定することで、大きな開放感を実現した。iDriveとHDDSナビは全車標準だ。

  • インテリア

    BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(インテリア)

  • インテリア

    上級の3シリーズを凌ぐ広さと開放感が自慢のキャビン。4対2対4分割の後席にはスライド機構(最大130mm)とリクライニング機構(最大28.5度)も採用する。快適&便利のレベルは高度なもの。

  • ラゲッジスペース

    BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(ラゲッジスペース1)

  • ラゲッジスペース

    荷室容量は468Lで、後席を前にスライドさせればより以上の空間を稼げる。そしてシートバックを前に倒せば1510Lにまで増量。レジャーユースも余裕でこなす実力を有する。

  • BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(ラゲッジスペース2)

  • ラゲッジフロアの下にも有効な荷室スペースを持つ。ユーティリティを考え抜いたパッケージが自慢だ。

  • スペック

    BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(スペック)

  • スペック

    スペックを見る限りはチューニングもミニ・クーパーと共通の直3ターボ。ミッションは6速ATを採用。

  • エンジン

    BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(エンジン)

  • エンジン

    「218i」は1.5L直3のFF、「225i」は2L直4のxDriveという設定。どちらも直噴+ターボだ。

  • タイヤ

    BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(タイヤ)

  • タイヤ

    標準タイヤは16インチ60だが、試乗車は205/55R17サイズを履く。BMWだからもちろんランフラット。

主要諸元:BMW 218i アクティブツアラー ラグジュアリー(6速AT)

全長×全幅×全高4350×1800×1550mm
ホイールベース2670mm
トレッド前後1560mm
車両重量1460kg
エンジン直3DOHCターボ
総排気量1498cc
最高出力136ps/4400rpm
最大トルク22.4kg m/1250-4300rpm
サスペンション前/後ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後205/60R16

全国メーカー希望小売価格(発売 2014年月10月1日)

218i アクティブ ツアラー(6速AT)332万円
218i アクティブ ツアラー ラグジュアリー(6速AT)381万円
218i アクティブ ツアラー Mスポーツ(6速AT)368万円
225i xドライブ アクティブ ツアラー Mスポーツ(8速AT)494万円

Body Color

 ブラック・サファイア プラチナ・シルバー
 フラメンコ・レッド・ブリリアント・エフェクト
 メディテラニアン・ブルー  ※ほか4色。

ドライバーアシストも充実で安心感と快適性を大きくアップ

  • BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー(ドライビングアシスト)

  •  フロントウインドウの中央に設置されたカメラは、全車標準のドライビングアシストのためのもの。車線逸脱警告(60km/h以上)、前車接近警告のほか、衝突回避・被害軽減ブレーキ(歩行者に対しても作動)の機能も持つ。また、ACC(アダプティブクルーズコントロール)もオプションで設定している。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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