新車試乗レポート
更新日:2014.09.27 / 掲載日:2014.02.20
ランドローバー レンジローバースポーツ 試乗レポート

レンジローバーの高級感を漂わせながらよりコンパクトなボディで、力強い走りを見せるレンジローバースポーツ。すべてを一新した新型は洗練されたパフォーマンスがつよく印象に残った。
速さとしなやかさ際立つ新型レンジスポーツ登場!

このクルマを運転するのは今回で3回目。過去2回は海外でステアリングを握った。最初は発売前でテストコースのみだったが、2回目は英国コッツウォルズ周辺を走りまわった。飛行場を借り切ったプログラムもあり、時速260kmオーバーの最高速テストとそこからのフルブレーキングなんて芸当をこなした。
その体験からしてこのクルマの実力は十分知っている。そして、日本での試乗はそこまではできないものの、そのときの体験を思い起こさせた。結論からして言えるのは、こいつはかなりマニアックなクルマであること。とくに510馬力を発揮する5L V8は最たるもので、「ドライバーを選ぶ」と言っていいかもしれない。その理由はイメージ以上にパワフルでやんちゃな性格の持ち主だからだ。レンジローバーといえば英国王室御用達のアイテム。ロイヤルワラントを持つジェントルな乗り物ととらえるのが一般的である。

だが、こいつは違う。エンジンスタートとともに覚醒する猛獣のごとき、ワイルドな走りを見せつける。きっとドライバーは「これがレンジローバー?」と思うに違いない。
それができたのは三兄弟のキャラクターが今回でハッキリしたから。末っ子のイヴォークは外観同様スタイリッシュな走りを、兄のレンジローバーはジェントルな走りのなかに力強さを垣間見させる。ならばっ!ということで、このレンジスポーツはより走りに振った性格付けが行われた。兄よりも低く構えるプロポーションがそれを物語る。
ドライビングポジションもそうだ。伝統のコマンドポジションからスポーツコマンドとなった。周りを見下ろす位置からスポーツカーのように囲まれるポジションへの変更である。また、シフトレバーが円型のドライブセレクトでないのもそう。スポーツマインドをくすぐるため、ガングリップ風スティックタイプをあえて装備している。
では走りだが、V8を積むオートバイオグラフィダイナミックは出だしから普通のSUVとは違う。ドーンと加速する様はまるでドラッグマシンのようで、ボンネットを浮かせながら加速する。4500回転から唸り出すエンジン音とともに、強烈な印象だ。もちろん、従来モデルもこの傾向は少なからずあった。が、今回の性格付けでそれが鮮明になったと言える。しかも、新型はシャシーフレームをフルアルミでつくっている。その面でダイエットは大成功した。ホワイトボディでおよそ300kg減った計算になる。
軽量化の達成とともに手に入れたのはさらなるボディ剛性の高さだ。これはコーナリング時に体感できるが、ボディを振ったときの一体感はものすごい。ステアリングに対するクイックな足さばきと合わせ、一瞬で向きを変えるから気持ちいい。エアサスの反応がナチュラルなのも高ポイント。無理して足が突っ張っている感じがなく、微小なロールで車体をフラットに保つ。すると、自然とコーナリングスピードも上がる。
それじゃV6モデルはどうかと言うと、V8を抑え込むシャシーを持つことでもわかるように懐が深い。高速でのレーンチェンジやコーナリング時の身のこなしからしても、その挙動からは余裕すら感じられる。オーバースペックとも言える仕上がりだ。さらに、340馬力のエンジンパワーに不服はなく、周りのクルマを置いて行くだけのスピード感もある。これで十分と思うのが一般的
文●九島辰也写真●GooWORLD
問い合わせ ランドローバーコールTEL:0120-18-5568
Detail Check
レンジローバーよりも軽く、走りも一層ダイナミック。その特性は、フォルムからも十分に伝わってくる。
コックピット
コックピット
兄レンジローバー同様スイッチ類をモニターにまとめたダッシュボード。デザイン優先のセンスのよさを伺わせる。ただ兄と違うのはシフトレバーを持つこと。ガングリップ風に握ると解除ボタンがトリガーの位置にあるからすごい。
エンジン
エンジン
エンジンは5L V8と3L V6の2つで、どちらもスーパーチャージャーが搭載される。V8の自然吸気は今回ラインアップされない。トランスミッションはどちらにもZF製8速ATが組み合わされる。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
リヤピラーは寝ているが、スペースは十分あるカーゴルーム。オプションでここに2名分のシートを装着することも可能だ。子供用と割り切っているが、あると非常に便利なシートでもある。
タイヤ
タイヤ
タイヤサイズはグレードによって異なる。V8の標準は21インチというから驚く。
グレード
グレード
グレードはV6のSEとHSE、V8のオートバイオグラフィダイナミックとなる。
インテリア
インテリア
レンジローバーよりもホールド性の高いバケットタイプが標準装備されるのがこのクルマの特徴。ポジションも低くスポーティ。リヤシートは分割可倒式で、スペースも十分確保される。
主要諸元:ランドローバー レンジローバースポーツ HSE(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4855×1985×1800mm |
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ホイールベース | 2920mm |
トレッド前/後 | 1695/1690mm |
車両重量 | 2250kg |
エンジン | V6DOHCスーパーチャージャー |
総排気量 | 2994cc |
最高出力 | 340ps/6500rpm |
最大トルク | 45.9kg m/3500rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/マルチリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 255/55R20 |
全国メーカー希望小売価格(発売・発表 2013年11月)
レンジローバースポーツ SE(8速AT) | 798万円 |
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レンジローバースポーツ HSE(8速AT) | 903万円 |
レンジローバースポーツ オートバイオグラフィダイナミック(8速AT) | 1260万円 |
ボディ構造の変更で高級感を高める

先代のレンジローバースポーツは、ラダーフレームとモノコックを複合したディスカバリー4をベースとしていたが、新型は、レンジローバーと同様の進化したアルミモノコックボディを持つ。大幅な軽量化はもちろんのこと、その走りはしなやかさを増している。逞しい「速さ」と同時に、プレミアムな快適さも存分に楽しめるようになっている。