新車試乗レポート
更新日:2024.02.25 / 掲載日:2024.01.27

いまこそロードスターから目が離せない【九島辰也】

文●九島辰也 写真●マツダ

 マツダロードスターが“大幅商品改善”を行ないました。マイナーチェンジとか年次改良とかではなく、そういう言い方をするそうです。内容に関しては以前このコラムでお伝えしようとしましたが、そこに至りませんでした。オンラインでの商品説明の機会に触れたのですが、販売比率にばかり目がいってしまい、そんなコラムになってしまった。ソフトトップとRFの比率が75%:25%だったり、ソフトトップを選んだ人の82%がMTだったりという話です。みなさんも興味ありますよね。

 それはさておき、新型の話です。

マツダ ロードスター、ロードスター RF

 今回手を入れるきっかけになったのは「サイバーセキュリティ対応」ということでした。“UN-R155”と呼ばれるもので、「車両のサイバーセキュリティおよびサイバーセキュリティ管理システムを定めた国連のサイバーセキュリティ法規」だそうです。簡単にいうと、「ハッキングされないようにしましょう」とのこと。走っている時遠隔操作されたら最悪ですよね。主要国の要人を乗せたクルマなんか狙われそうです。これはグローバルで規制されるもので、2024年7月までに対策しないと販売できなくなるとか、なにやらペナルティがある模様。

 対策は新型車であれば開発段階で対応できますが、ロードスターのような息の長いモデルにとってはなかなか機会がありません。そこで周りを見渡し、CX-60のソレを使えるタイミングでデジタル系を一新したそうです。なるほど、リアリティがありますね。

 で、その対策と共に新しくなったデジタルプラットフォームを活用したのが今回の“大幅商品改善”。ヘッドライトやリアコンビネーションランプをLEDにしたり、ダッュボード中央のモニターを横長にし最新のインターフェイスをインストールしています。メーターの表示も一部変更。そうそう、ルームミラーも枠が薄くオシャレになりました。見た目も使い勝手も良くなったのは言わずもがなです。

ロードスター

 ですが、本命はそこではありません。シャシー系に3点、パワートレイン系に3点ほど手が入りました。シンボリックなのはリアデフでしょう。これまでのスーパーLSDをアシンメトリックLSDにスイッチしました。デフの中身の構造変更です。その効果は今回の試乗で体感できました。従来型ではコーナー手前でアクセルを抜いた時一瞬リアが浮いてトラクションが抜ける感覚を得たのですが、新型はそれが無く終始安定していました。接地感が残るというか。まぁ、かなり敏感な方でないとわからないかもしれませんがね。マニアックな領域の話です。

 エンジン出力も向上させました。1.5リッター直4ユニットを3kW高めています。今回の試乗コースは長く続くワインディングだったのでリアルに出力さは感じませんでしたが、立ち上がりでもう少しパワーが欲しいのは確かです。その意味ではRFの2リッターの方が力強くていい。ソフトトップにもこのエンジン欲しいですね。今年のオートサロンで展示された「マツダスピリットレーシング」が待ち遠しいです。

マツダスピリットレーシング

 では少しだけ走らせた感想をお伝えしましょう。やはり足回りを固めたRSがワインディングでは一番楽しく走りました。“S”では強かったアンダーステアがほとんど消え、素直に鼻先をインに向けます。それにクルマ全体の一体感があるのがいい。ステアリングを回すのが楽しくなります。

ロードスター RF RS

 RFも悪くなかった。若干上物が重い分ロールがあり、足の動きと差異を感じるシーンがありましたが、それも許容範囲。というか、こちらは2リッターユニットが頼もしいので、ガムシャラにならずいくつものコーナーを余裕で駆け抜けます。しかもATでも十分速いし。

 そんな新型も発売から4ヶ月が過ぎて3000台以上の受注を得たそうです。人気グレードは“S”シリーズでRSは一桁にとどまります。イメージ的には10%くらいありそうですが、そこまではいかないようです。ボディカラーは、ソウルレッドとスノーブレイクホワイトが人気で、それにエアログレーが追従するとか。確かにこの色はグッド。ヨーロッパのハイパフォーマンス系のトレンドカラーでもあります。

 ということで、久しぶりにマツダロードスターを堪能させてもらいました。2030年のマツダ電動化に向けて心配ではありますが、まだ6年あるのでその間に新車を買うことはできます。気になる方は要チェックを。2リッター版も追加されるでしょうからね、目が離せません。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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