新車試乗レポート
更新日:2023.11.14 / 掲載日:2023.10.16
【三菱 トライトン】SUV感覚で乗れる本格ピックアップトラックがやってくる!
文●竹岡 圭 写真●三菱
ピックアップトラックというと、日本ではなかなか馴染みが薄いかもしれませんね。ジェットスキーを載せている…。そんなイメージしかないという方も多いかもしれません。
ピックアップトラックは海外では身近な存在
ところが世界では、平日は荷台を荷物でいっぱいにし、いわゆる普通のトラックのような働くクルマとして、休日はレジャーやお買い物に出かけるファミリーカーとして、という使われ方をしていることが多かったりします。日本でいうところの、ワンボックスやツーリングワゴン的な使い方イメージに相当する感じでしょうか。
無論、最近ではSUVも平日は働き&休日はレジャー、というカテゴリーのクルマとして活躍することが増えてきています。なんたって新しく誕生するクルマのほとんどが、SUVだったりクロスオーバーSUVだったりすることが多い昨今ですから、荷物を積むのも得意です! というようなSUVだって出てきているんですよね。
そうなればピックアップトラックも、バリエーションが増えたSUVのひとつして考えてもいいんじゃない? 荷物を積むのが超得意なSUVと考えてもいいのでは? 日本でだって、新しいSUV的な使い方もできる気がする! と、思えてきたわけなんです。
いやいやいや。ここまで読んだ方は「ウソつけ! 日本でそんな使い方できるわけないだろう?」と、思っていらっしゃることでしょう。でもちょっと待って!
正直に言いましょう。私がトライトンを最初に見たのは、タイ・バンコクでの発表会の会場でした。その時は「これはメチャクチャカッコイイな~。でもやっぱり大きいなぁ。日本で普通に使うのは結構大変かもしれないなぁ~」なんて思っていたんです。
トライトンを日本で試乗して思ったこと
ところが、先日試乗させていただいたんですよ。そしたらね「これならイケるかも!」と、ガラリと気持ちが変わっちゃったんです。それくらい良かったんですよ。極端に言っちゃうと、アウトランダーPHEVと変わらないほど、場面によってはアウトランダーPHEVよりも乗りやすいと思えたほど(笑)、よかった。乗っているとピックアップトラックという、いわゆる荷台が付いた長いクルマに乗ってることを、忘れたちゃうくらいの感覚だったんです。
荷台が長いと後ろが遅れてついてくるような感覚に陥りがちだと思うのですが、そんなことはまったくなくて、一体感があると言い切ってもいいくらいのイメージ。運転しているとボディサイズも小さく感じます。実際、予想以上に小回りも利くし、乗り心地もよくて静粛性もなかなかのものでした。ね! こうやって読んでいても、もうピックアップトラックのお話をしている感じじゃないでしょう?
というのもトライトンは、もちろん働くクルマとしての使いやすさも考えてはいるけれど、休日のレジャー使用でも皆が快適に過ごせるようにということを、しっかり考慮して創られているからなんです。日本には、2列シート×4枚ドアのダブルキャブ仕様が導入される予定ですが、キャビン幅+50mm、ホイールベース+130mmと、先代よりもひと回り大きくなったために後部座席でもしっかり快適に座れるスペースが確保されています。
今回は軽量化を考慮して、リアサスペンションのリーフスプリングが5枚から3枚に減らされていますが、実は枚数は減らされたものの、幅は広げられているということで、乗り心地もまったく問題ナシ。ギャップ乗り越しでガツン! ともこないし、その先の収束性もかなりのもの。もちろん荷物の積載力もバッチリ。たぶん日本仕様では任意保険の関係上、積載量は1tに設定されるのではないかと予想されますが、海外ではもう少し上の設定をしているところもあるので、まったく不安要素はないと思います。
そして、驚くのは最小回転半径5.4mという小回り性。先代はパワーステアリングのロックトゥロックが4回転強という回しきれないくらいのものだったんですけど(笑)、新型は適切なものとなり、操舵力もフィーリングもバッチリ。AYCも投入されているので、ステアリングを切り足さずとも待っていれば曲がってくれる感じです。
さらに、ツインターボが搭載された2.4Lクリーンディーゼルターボエンジンは、低回転からのパワーのツキも良く、上まで気持ちよく回ってくれて、とにかく速い! 150KW・470Nmのパワーを全域でスムーズに発揮してくれるので、もうパワートレイン&足回り&ボディ剛性感、すべて合わせて攻める走りができちゃうレベルなんですよ。
加えて、普段使いを考えても、ヒルディセントコントロールなどの電子デバイスを始め、ドライバーをサポートしてくれる先進安全装備はフル装備だし、インテリアも上質感があるからゆったり寛げるし、スイッチ類もわかりやすく使いやすいということで、これはもう新しいジャンルのSUVと言い切っていいと思った次第なんです。
とはいえ、さすがに裏路地が狭い住宅密集地域では厳しいとは思います。物理的にボディサイズより狭い道は通れませんからね。でもね、こういったサイズのクルマで、狭い林道でラリーをしている私としては、予想よりも全然イケるから意外と大丈夫! と断言しちゃいたい気持ちでいっぱいです。ホントにね、実は大抵の道はまったく問題なくいけるんですよ。なんならそこら中走り回って、証明したいくらいです(笑)。
だってね、新しいライフスタイルを手に入れられるのは間違いナシですから、冒険心あふれる日常を送りたい方には、ぜひ一度乗ってみていただきたいです!
著者Profile:自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもおなじみの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2023-2024 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。