新車試乗レポート
更新日:2023.09.28 / 掲載日:2023.09.28

【DS DS7】アップデートで独自の世界観を強化

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 フレンチブランドの高級車として、シトロエンから独立を果たしたDSオートモビルズ初の専用車としてデビューしたのが、当時、ブランドのフラップシップでもあったミッドサイズSUV「DS7クロスバック」だ。

フランス流ラグジュアリーを追求するDSのフラッグシップ

DS7 E-TENCE 4×4

 日本には、2018年より導入を開始され、イギリスやドイツなどの定番高級車とは一線を画する独自の世界観を持つ存在として注目していた。特に「DSアクティブLEDビジョン」と呼ばれたLEDヘッドライトは、点灯時にライト内部のクリスタル形状のヘッドライトユニットが、妖艶な輝きを放ちながら、180°回転することで起動するユニークなギミックを備え、その演出が自動車業界内でも話題となったことは記憶に新しい。その「DS7クロスバック」が、23年4月に、初のビッグマイナーチェンジを受けた。

 主な改良点は、新意匠を取り入れたフェイスリフトによるエクステリアの変更、インテリアの質感向上。さらにインフォメーションモニターのサイズアップなどが挙げられる。グレード構成も絞られ、最上位グレード「オペラ」のみに。パワーユニットは、引き続き、1.6Lガソリンターボ車と同じく1.6Lガソリンターボエンジンを積む4WD仕様のPHEV「E-TENCE 4×4」に集約。そして名称も、SUVを意味していたクロスバックの名が外れ、単に「DS 7」となった。

マイナーチェンジのポイント

DS7 E-TENCE 4×4

 変更点をより細かく見ていこう。ビジュアル面での最大の変化であるフェイスリフトでは、デイライトの役目も持つ左右4本ずつのライトシグネーチャーによる「DSライトヴェール」を取り入れた新フロントバンパーを始め、フロントグリルもダイヤモンドをモチーフとした大小のパーツをあしらった新デザインに進化。

 より顔付きは精悍なものとなっているが、残念なのは、妖艶なウィンクによる起動が特徴的だったヘッドライト「DSアクティブLEDビジョン」が廃止されたこと。新ヘッドライトの「DSピクセルLEDビジョン3.0」は、左右84個ずつのハイビーム用ピクセルLEDモジュールを採用したことで、より細やかな調光を可能とし、先進ライトとしての機能は飛躍的に高まったものの、独自の演出が失われたのは、ちょっと寂しく思う。ただダイヤモンドカットが煌びやかなLEDテールランプが継続されており、ほぼリヤスタイルの印象が変わらなかったことには、安堵を覚えた。

DS7 E-TENCE 4×4

 一方で、コクピットデザインは、ほぼキープ。最上位のオペラに相応しいナッパレザー内装も健在だ。強化されたインフォメーションシステムは、中央のモニターを4インチアップの12インチへと拡大。さらにシステムも、「DS IRISシステム」へとアップデート。これはコネクテッド機能に加え、音声とジェスチャー操作に対応させたのが、主な進化点だ。ビジュアル的変化はないが、フランスの高級オーディオシステム「FOCAL」のプレミアムサウンドシステムの出力を515Wから690Wまで向上させ、より迫力の音楽が楽しめるようになった。因みにメカニズムの改良の情報はなく、スペックは同等となっている。

DS唯一の4WDとなる「E-TENSE4x4」の走り

DS7 E-TENCE 4×4

 今回の試乗車は、DSオートモビルズのラインアップで唯一の4WD車となる前後モーターを搭載したPHEV「E-TENSE 4×4」だ。前輪側を受け持つ1.6L直ガソリンターボエンジンは、ガソリン車よりも控えめな最高出力200ps仕様となるが、前輪側にも、81kW(110ps)/320Nmのモーターを装備。さらに後輪側にも83kW(112ps)/166Nmのモーターを備えることで、システム性能は、最高出力300ps、最大トルク520Nmとなる高性能SUVに仕上げられている。その結果、0-100km/h加速も5.9秒まで向上され、フラッグシップSUVに相応しい性能に鍛えられている。ただ駆動用バッテリーは小型の13.2kWhなので、EV航続距離は、56kmと控えめ。しかし、車室内空間に影響を及びさない点なども考慮すれば、PEHVとして不足はない内容といえるだろう。

 試乗は、パワーを活かした走りも楽しめる郊外路だったが、借用時に充電ができなかったため、残念ながらEVモードの走行が試せなかったことをお詫びしたい。その場合は、後輪主体の走りとなるため、前輪駆動ベースのDS7とは走りの印象も少し異なるはずなので、またの機会にレポートしたいと思う。そのため、今回はハイブリッドモード主体での試乗となった。

 元々、前輪駆動車のDS7は、当然、フロント部が重い構造である。上級モデルでは、DSアクティブスキャンサスペンションの持つ電制ダンパーで、路面状況変化によるピッチングを抑えていたが、山間部などアップダウンが大きい道路だと、どうしてもピッチングが目立つ印象があった。しかし、重量が大幅に増しているとはいえ、PHEVの場合、後輪分が重くなったことで、前後の重量差が抑制され、必要とあれば前後で駆動力を使えるようになったことから、シーンを選ばず、落ち着いた動きを見せたことは好印象であった。

 さらに上り坂や加速時などパワーが必要なシーンでも、前後モーターによる4WDが見方となり、より走りにも力強さが感じられるようになった。自宅に充電設備を設置すれば、3kW出力でも5時間で満充電となる容量なので、買い物や単距離通勤などならば、電気で賄うことも出来る。ただパワフルなPHEVユニットを持つとはいえ、キャラクターはラグジュアリーなので、スポーティなSUVを期待すると、ちょっと異なるのも確か。その力強さは、レジャーシーンなど活躍の場を広げる縁の下の力持ちと捉えた方が良いだろう。

まとめ

DS7 E-TENCE 4×4

 正常進化を果たしたDS7だが、アップデートの内容はちょっと薄めだったのは残念。ただDSの独自の世界観は、他の高級車とは異なる価値観を持つことや時間の経過を感じさせないタイムレスデザインであることが魅力である事には変わりはない。その信念には、一切、ブレが無い。

 では最上位モデルだけに、価格も最上位のPHEVがベストかといわれるとちょっと考えてしまう。CEV補助金などの給付対象の電動車とはいえ、定価ベースで約110万円の価格差は大きい。何よりもDSの魅力は、その独自の世界観にある。それならば、仕様が共通のガソリン車の方がベターかなと思わせてしまうのも、正直なところだ。

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大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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