新車試乗レポート
更新日:2023.11.20 / 掲載日:2023.07.24
CX-60はこれを選べ!《ガソリン/ディーゼル/PHEV》選択のツボ
ディーゼルやPHEVに遅れてリリースされた2.5ℓガソリン車をついにドライブ! 最もベーシックな仕様だけに、このガソリン車を基準にCX-60を検討したかったユーザーも多いはずだ。待ち望まれていたガソリン車の実力は如何に?
●文:川島 茂夫 ●写真:澤田和久
MAZDA CX-60(ガソリンモデル)試乗リポート

動力性能には差を感じるが
スポーティな運転感覚は同じ
CX-60はラージ商品群の第一弾モデル。マツダの次世代技術をいち早く導入したことで「魂動デザイン」や「人馬一体」の考え方もブラッシュアップ。さらに、パワートレーンもPHEVなどを含めた合計4タイプ用意されるなど、既存のCXシリーズよりも高いプレミアム性を持つことが特徴だ。
車体寸法はCX-5とCX-8の中間に位置するが、スペース効率で不利な縦置プラットフォームとロングノーズプロポーションを採用したことで、キャビンのスペースは一回りコンパクトな全長のCX-5と大差ない。スタイルと走りに特化したSUVともいえる。
今回試乗した2.5ℓガソリン車は、パワートレーン基準ではCX-60のエントリーに位置する。エンジンはCX-5と同型だが、縦置きに配置されることで柔軟なレイアウトを可能としており、世界的に進むATの多段化(8速AT)にも対応している。
ただ、CX-5よりも約100㎏重い車両重量であるため、トランスミッションの多段化の恩恵は速さや燃費の上乗せには繋がっていない。さらにトルコンレスATゆえに、変速ショックや極低速域の滑らかさにも少し癖がある。
だが、細かく小気味よく変速していく感覚はなかなか爽快で、ファントゥドライブ視点ではかなり魅力的。この特性もあって、PHEVなどの上位パワートレーンと比べても、それほど見劣りはしない。むしろ早めのダウンシフトでリズミカルに走ってくれるドライブフィールには、似合いとも思える。
際立つ高速適性の高さ
乗り心地にはやや癖あり
ハンドリング特性は、応答の遅れを極力抑えながら正確なライントレースが描く、CX-60の美点をしっかり踏襲。試乗車が走行状況に応じて最適な駆動力配分を行う4WD仕様だったこともあって、4輪のグリップバランスの安定も抜群だ。坂道や追い越しなどで負荷がかかる状況だと、上位パワートレーンとの違いを感じてしまうが、高速域でも頼もしく走れることは変わっていない。
乗り心地は段差乗り越えの上下動が目立つタイプで、路面の凹凸で揺すられるような感覚が強め。この辺りはツーリング向けのCX-5&CX-8、ファントゥドライブ志向が強いCX-60、という棲み分けのポイントで、試乗したガソリン車でも同傾向だ。
実用性や快適性を優先するならばCX-5とCX-8、マツダ車らしい走り応えを求めるならCX-60というの選び分けの基本も変わらない。ただ価格がCX-5の同等グレードの約15万円高と、CX-5との価格差はほとんどないに等しい。選ぶ立場からすればとても悩むだろう。
いずれにせよ、マツダが目指すスポーツプレミアムを求めているなら、考慮する価値は大いにある。動力性能に不満がなければ、かなり買い得な一台といえる。




パワートレーン視点でのCX-60のベストバイは?
性能と価格のバランスに優れるディーゼルターボがオススメ
PHEV車やマイルドハイブリッドは先進性という面では魅力的だが、少し割高な価格設定がネック。性能と価格のバランスが良いのは3.3ℓ直6ディーゼルターボ車と今回試乗した2.5ℓ直4ガソリン車だ。ディーゼルターボ車のSパッケージは約380万円(4WD)、2.5ℓガソリン車のSパッケージは約322万円(4WD)。どちらも不足ない動力性能を持つが、低中速域で力強いトルクを実感できるディーゼルターボ車の方が格上。心地よいエンジンフィールを持つことも、スポーティなCX-60のキャラに似合っている。価格は少し高くなるがディーゼルターボ車も検討してみるべきだろう。