新車試乗レポート
更新日:2023.05.31 / 掲載日:2023.05.31

最新GRスポーツまとめ!アクア/ヤリスクロスGRスポーツ試乗レポ

とっても身近な“いいクルマ”。走りも装備もプライスも魅力大!

TOYOTA GR SPORTに乗ろう

トヨタが掲げる「いいクルマ作り」。その思想を具体化したのが、モータースポーツに軸足を置いたGR(ジーアール)シリーズだ。その中でも、日常使いからスポーティドライブまで扱いやすく仕立てられている、言わばライトチューン版がGRスポーツ。今回は最新の2モデルに試乗した。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之 ●問い合わせ先:0800-700-7700(トヨタ自動車お客様相談センター)

「GR SPORT」なら誰もが楽しめる!スポーティな走りとスタイル
モータースポーツやサーキット走行を基本にしたトヨタのブランドが「GR(ガズーレーシング)」。「GRスポーツ(GR-S)」はその思想を日常性や実用性とのバランスを保ちながらファントゥドライブに練り込んでいるのが特徴だ。ワークス系カスタマイズモデルでもあり、スポーツグレードでもある。GR-Sを理解するにあたって重要なのは対象をカーマニアに絞っていないこと。もちろん、クルマ好きがメインだが、そこまでのめり込んでいないユーザーでも馴染める、謂わばスポーツカジュアルのような軽やかさが魅力なのだ。

アクア GR SPORT(FF)

●車両本体価格:259万5000円
●ボディカラー:プラチナホワイトパール
マイカ(有料色3万3000円高)
●発売:2022年11月

佇まいも走りもスペシャル仕立てで魅力的!
 フロントマスクの印象がまるで別モノだ! グリル開口面積はそれほど違わないが、エアロ感と精悍さが段違いに高まった。また専用のシートを採用するが、運転席イージーリターンの選択も可能という日常面への配慮も嬉しい。パワートレーンはベース車(Gグレード)と同じだが、シャシーフロアトンネルとリヤエンドに補強増やバネ/ダンパーのチューニングだけでなく、ブッシュ類まで変更して、安心感とファントゥドライブの高水準での両立を図っている。

上質なフットワークで走りが楽しくなる!

標準車の魅力と走りをさらに高めたGR‐S
 標準車が親しみやすい雰囲気を特徴としているせいか、GR‐Sのフロントマスクはかなり精悍な印象を受ける。ただ、GRブランドモデルの中ではこれでも標準レベルと言うべきだろう。高性能を求めたハードスポーツのGRヤリスと似たフロントマスクではあるものの、並べれば明らかにマイルド志向である。

 エクステリアでベース車と大きく異なるのはフロントマスクとリヤバンパー、ドアロッカーくらいで、アクア本来のデザインやフォルムを大切にしているのが好印象。やりすぎれば日常用途に抵抗感を覚えることになるため、アクアらしく使える範囲で収めている。品の良いスポーツカジュアル仕様といったところだ。


 試乗車の運転席には降車時にワンタッチでシートを後方へ退避できるイージーリターンが装備されていた。日常用途の便利装備であり、スポーツ性とは無縁だが、専用デザインのシートを採用しながらのOP設定はアクアGR‐Sのコンセプトの現れでもある。

 走りでのベース車との差異はフットワーク。硬柔のレベルで言えば標準車よりも硬く、205/45R17のポテンザRE050Aを履くが、乗り心地はジェントル。段差乗り越えの当たり感もこなれている。ストローク速度を上手に抑えながら、上下動もロールも動き出しの抵抗感は少ない。ベース車ほどソフトではないが、揺れ返しや揺れ残りが少なく、挙動の据わりもいいので乗り心地の質感は逆に向上。落ち着きや安定感を求めるユーザーならベース車よりも好ましいだろう。

 ハンドリングの基本特性はラインコントロール性のいい弱アンダーステア。ベース車と大きくは変わらないが、緩みと逃げが少ない。操舵初期の「間」が減少し、穏やかながら追従のいい回頭反応を示す。横G等の負荷増大で増すルーズさもベース車よりかなり減少している。しかも、精度の高い運転は要求してこない。これは運転ミスと精神的なストレスの減少では重要な点であり、長距離ツアラーとして欠かせない資質である。

 動力性能についてはベース車と大きく変わっていない。アクアのハイブリッドシステムは充放電特性に優れる積層電池を用いているのが特徴。確かに、電動アシストによる加速のキレや反応もコンパクトモデルとしては優秀だが、スポーツモデルというほどではない。ただ、フットワークとのバランスはいい。操安性が向上している分だけハイアベレージでも操作や心情で余裕がある。この余裕は運転を楽しむ上でも要点であり、アクアGR‐Sの大きな魅力である。

専用チューニングが施されたサスペンションを採用。適度に引き締められた足回りが魅力だ。
スポーティなブラックインテリアが精悍だ。中間グレードがベースになっている。

主要諸元 アクア GR SPORT(FF)
●全長×全幅×全高(㎜):4095×1695×1485●ホイールベース(㎜):2600●トレッド前/後(㎜):1470/1465●地上最低高:(㎜)140●車両重量(㎏):1150●パワーユニット:1490㏄直列3気筒(最高出力:91PS/5500rpm、最大トルク:12.2㎏・m/3800~4800rpm)+前モーター(最高出力:59kW、最大トルク:141N・m)●トランスミッション:電気式無段変速機●WLTCモード燃料消費率総合(㎞/ℓ):29.3【市街地モード:31.0、郊外モード:30.9、高速道路モード:27.7】●燃料タンク(ℓ):36(レギュラー)●サスペンション前/後:マクファーソンストラット式/トーションビーム式●ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング式ドラム●最小回転半径(m):5.3●タイヤサイズ:205/45R17

特別装備(※標準車Zグレードと比較した場合)
専用剛性アップパーツ、専用チューニングサスペンション、専用電動パワーステアリング制御、フロントバンパー&ロア加飾バー、専用エンブレム、専用ラジエターグリル、専用リヤバンパーロアカバー、専用ロッカーモールディング、レッド塗装フロントブレーキキャリパー、専用本革巻き3本ステアリング、ガンメタリック塗装コンソールオーナメント、フロントドアトリム&助手席アッパーボックス(ガンメタリック加飾+エアヌバック)、専用スポーティフロントシート、アルミペダル、専用ホイール&タイヤ、専用スマートキー

ヤリス クロス ハイブリッド GR SPORT(FF)

●車両本体価格:275万円
●ボディカラー:ブラックマイカ×プラチナホワイトパールマイカ(有料色7万7000円高)
●発売:2022年8月

外観の違いよりも、走りの違いに驚くはずだ!
 外観は「G」を象ったグリルのメッシュ柄やGR-Sのバッヂ、赤いブレーキキャリパー、専用ホイールくらいしかベース車との違いはない。しかしGR-Sの見所は走りだ。フロアトンネルとリヤエンドの補強、専用チューンのスプリングとダンパー、GRヤリスから移植されたブッシュや補強パッチなどにより、鋭さというか正確性が格段に増している。また、ハイブリッド車はモーターのトルク立ち上がり特性の変更とドライブシャフトの強化も行われており、加速のキレも相当向上している。

キビキビとした走り! クラスを超えた良質さだ

高バランスに進化した魅力的ツアラーだ!
 小気味いいスポーティな運転感覚が魅力のヤリスに比べると、ヤリスクロスは重量と重心高を意識するが、ヤリスクロスGR‐Sの走りの味わいは標準車のヤリスに近い印象だ。

 シャシー周りはアクアGR‐Sと同様の変更が加えられているが、フットワークの方向性は軽快感と小気味よさ。SUVのサイズや重量を意識させない操縦感覚や挙動、つまりキビキビとした反応のいい操縦感覚だ。SUVのサイズや重量を感じさせないフットワークである。ただ、硬さで押し込むような印象はない。その感覚はむしろベース車のほうが強いくらいだ。

 ロール量は減少しているが比較的小さな横Gでも素直にロール。この往なしがありつつ、タイムラグも少なく穏やかに旋回力を立ち上げる。前後のグリップバランスが安定しているのでコーナリング中のライン変更や路面うねりでも挙動が安定。しっとりとした大人っぽいヤリスという印象だ。

 ハイブリッド車は動力性能の向上が図られているが、余力感や加減速制御のメリハリがあるものの全開近くなればベース車と同等。中庸域でのドライブフィールが軽快になったと捉えるべきだ。

 ちょっとホットハッチ的な味わいもあり、長距離ツーリングの安心感も高い。ヤリスから発展したハイト系コンパクトツアラーとしておすすめしたい魅力モデルだ。

エクステリアにも専用アイテムを多数採用。スポーティな雰囲気に仕上げられている。

主要諸元 ヤリス クロス ハイブリッド GR SPORT(FF)
●全長×全幅×全高(㎜):4185×1765×1580●ホイールベース(㎜):2560●トレッド前/後(㎜):1515/1515●地上最低高:(㎜)160●車両重量(㎏):1180●パワーユニット:1.490L直列3気筒(最高出力:91PS/5500rpm、最大トルク:12.2㎏・m/3800~4800rpm)+前モーター(最高出力:59kW、最大トルク:141N・m)●トランスミッション:電気式無段変速機●WLTCモード燃料消費率総合(㎞/ℓ):25.0【市街地モード:25.9、郊外モード:26.1、高速道路モード:23.9】●燃料タンク(ℓ):36(レギュラー)●サスペンション前/後:マクファーソンストラット式/トーションビーム式●ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク●最小回転半径(m):5.3●タイヤサイズ:215/50R18

特別装備(※標準車Zグレードと比較した場合)
専用剛性アップパーツ、専用サスペンション、専用電動パワーステアリング制御、専用パワートレーン制御&ドライブシャフト(ハイブリッド車のみ)、専用ラジエターグリル、専用リヤバンパーロアカバー、レッド塗装フロント&リヤブレーキキャリパー、専用本革巻き3本ステアリング、ガンメタリック塗装フロントコンソール、本革巻きシフトノブ、専用スポーティフロントシート、アルミペダル、専用ホイール&タイヤ、専用スマートキー

GRシリーズ オールラインナップ

広がる! 選べる! トヨタ流スポーツカー
 大きく分けて3つのタイプが存在するGRシリーズ。限定モデルが多いため、現在では購入できないモデルもあるが、それぞれの特徴を見て行こう。

GR SPORT

 GRブランドでは最も穏やかなカスタマイズが施されたシリーズ。ベース車の基本コンセプトを継承しつつGRの走りのポリシーとなる安心とファントゥドライブを高めている。また、変更内容に比べて手頃な価格も特徴だ。

C-HR GR SPORT

●車両本体価格:278万2000~314万5000円《ガソリン車/ハイブリッド車》

アクア GR SPORT

●車両本体価格:259万5000円《ハイブリッド車》

ヤリス クロスGR SPORT

●車両本体価格:236万7000~275万円《ガソリン車/ハイブリッド車》

コペンGR SPORT

●車両本体価格:238万2200~243万7200円《ガソリン車》

ハイラックスGR SPORT

●車両本体価格:431万2000円《ディーゼル車》

ランドクルーザーGR SPORT

●車両本体価格:770万~800万円《ガソリン車/ディーゼル車》

GR

 既存車種ベースのモデルもあるが、GRオリジナルのスポーツカーとして開発されたモデル。パワートレーンもシャシーもサーキットレベルのスポーツドライビングまでカバーできる設計と性能を備えている。

GRカローラ

●車両本体価格:525万円(※モリゾウエディションは715万円。抽選申込終了)《ガソリン車》

GR86

●車両本体価格:279万9000~351万2000円《ガソリン車》

GRヤリス

●車両本体価格:265万~456万円《ガソリン車》

スープラ

●車両本体価格:499万5000~731万3000円《ガソリン車》

GRMN

 GRブランドの頂点に位置し、性能至上主義という点では所謂「R」よりもレーシングカーに近い存在だ。これまでの販売はすべて台数限定のスペシャルモデル。最新のGRMNヤリスもすでに販売を終了している。

GRMNヤリス

●車両本体価格:731万7000~846万7000円(※すべて販売終了)《ガソリン車》
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内外出版/月刊自家用車

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内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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