新車試乗レポート
更新日:2023.06.12 / 掲載日:2023.05.08

新型インプレッサ・乗ってわかった大幅進化&おすすめグレード

最新「SUBARU」魅力大全!〜理想の走りを貪欲に追求する、愛すべき異端児の「今」に迫る〜

インプレッサの正式発表に先がけて、プロトモデルに試乗できる機会に恵まれた。クロストレックと兄弟関係にあるだけに走りの味付けの違いは注目すべきポイント。そのあたりをしっかりと解説しよう。

●文:川島茂夫 ●澤田和久/(株)SUBARU

スバルの最新ベーシックモデル、正式発表!

■主要諸元(ST-H AWD)
●全長×全幅×全高(㎜):4475×1780×1515 ●ホイールベース(㎜):2670 ●車両重量(㎏):1580 ●パワーユニット:1995㏄水平対向4気筒DOHC(145PS/19.2㎏・m)+モーター(10kw/65Nm) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:215/50R17

●新型インプレッサ 価格&グレードバリエーション

SUBARU 新型インプレッサ[プロトモデル]試乗&詳報

新旧乗り比べると
運転感覚の差は歴然

 今回、用意されていた試乗車は新型のFWD車とAWD車、従来型のAWD車の3モデル。いずれもe-BOXERを搭載していた。サーキット試乗ゆえに中高速での巡航特性のチェックはできなかったが、新旧や駆動方式の違いははっきりと理解することができた。

 まずAWD車による新旧の違いだが、従来型に乗り換えると車体やサスがやつれているような印象を感じる。相当距離が出ているのではと、試乗車の走行距離を調べてみたが、4000㎞余り。「やつれ」と感じさせる運転感覚や挙動が新旧の差だ。

 動力性能についてはクロストレック同様に微小なコントロールの追従性が向上しているはずだが、その違いを試せるコース状況ではなく、単純な加減速では目立った違いはない。軽いエンジンフィールが印象的だが、加速性能は2ℓNAとしては平均レベルだ。

 操縦安定性も違いを感じる部分。従来型は操舵初期の回頭反応に少しタイムラグがあり、遅れて大きく立ち上がる。旋回力にも揺れ戻し的な動きが加わる。ごく短時間の反応で量的にも大きくはないが、従来型は落ち着き感や滑らかさに物足りなさを感じてしまう。さらに、揺れ戻しを抑えるのにも気を使わされる。

 一方、新型はそんな気遣いは不要だ。操舵初期から回頭を開始し、回頭と同時に旋回力を立ち上げていく。挙動も操縦感覚も穏やかかつ滑らかになっている。

 別項で解説しているクロストレックやレヴォーグの「e-TUNE」のインプレと混同しているように思われそうだが、最近登場したスバルのアシ造りは、世代が変わったと考えるべき。同系統のハードウェアを使って同じ考え方でまとめ上げていけば、同じような味付けになるのは当然だ。

 新型のFWD車とAWD車の比較は興味深い結果となった。FWD車は操舵初期や切り増し時の回頭反応やアクセルオンでのラインコントロール感を重視した特性で、軽快感と切れ味を強く感じさせる。半面、前輪周りの挙動の落ち着きが減少し、AWD車に比べるとラインコントロールの精度感も劣っている。ここは従来型でも感じていた部分なので、新型でも同傾向と解することができる。とはいえ、決定的な難点とするほどではなく、FWD車が持つ軽快な運転感覚を好むドライバーも少なくないだろう。

 AWD車は後輪の駆動力を積極的に活用できることがメリット。巧みな駆動力分配が組み合わされることで抜群のコントロール性を体感できる。コンパクトクラスにおいて4WDは降雪地域のユーザー向けの選択だが、スバルのAWDは非降雪地域のユーザーでも選ぶ価値を見出せる。走りの質感向上を求めて積極的にAWD車を選べることも特徴のひとつだ。

 最近のスバル車に共通する乗り心地も意識した味付けを考えると、新型インプレッサは快適性という面でも期待できる。群を抜くとまでは言えないが、走りの総合性能はクラストップを十分に狙えるレベルにある。インプレッサはスバルの中では最もベーシックなモデルになるが、内装質感、装備の充実ぶりも含めて、最新にふさわしい完成度を持つモデルだ。

純内燃機車もハイブリッドのe-BOXER車も2ℓ直噴エンジンを搭載。e-BOXER車のパワースペックはクロストレックと同じだが、ボディとサスセッティングの違いもあって走りの志向が異なる。インプレッサは軽快さを意識した味付けだ。
新型はセダンが廃止されハッチバックモデルのみとなった。スタイリングは従来イメージを踏襲するキープコンセプトだが、フェンダーまわりのアクセントラインを際立たせることでスポーティさを強めている。
SUV的な加飾が加えられたクロストレックと比べるとインプレッサはスマートな印象。最低地上高は130㎜〜135㎜と、クロストレックよりも65〜70㎜低い設定。
インプレッサは先代で内装質感が大きく高まったが、新型は加飾パネルやトリムの質感、組み込み制度がさらに向上。大型センターディスプレイの採用もあって、車格感が1つ上がった印象だ。
フロントシートも最新設計。取り付け部の改良に加えて、身体をしっかり支えるシート構造にアップデートされている。
後席まわりの余裕も健在。高減衰素材を用いたルーフの恩恵もあって静粛性向上も実現している。
3つの言葉を入力するだけで、3メートル四方に区切ったエリアにルート案内を行う「what 3 words」にも対応。
アルミホイールは17インチ。

●新型インプレッサ 主要諸元&主要装備

オススメグレードは?

ST-H AWD

乗り心地の質やハンドリング洗練度から走りにこだわって選ぶならAWD車。価格面ではe-BOXERが付かない2ℓ車(ST)が魅力的だが、装備が簡略化されているので、e-BOXER車の方が装備面でも無難な選択。ST-GとST-Hの20万円強の価格差ならば充実装備のST-Hが狙い目だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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