新車試乗レポート
更新日:2023.03.09 / 掲載日:2023.03.09

新型プリウス公道試乗!歴代車と比較した燃費や走行性能の違いとは?

TOYOTA 新型プリウスのすべて

新世代セダン大本命モデルが誕生!

クーペルックのスタイリングからして走りにも期待してしまう。それが新型プリウスを見た多くのユーザーが抱く想いだろう。期待に応える実力モデルかどうか? しっかりと見極めてみたぞ。

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

この記事の目次

TOYOTA プリウス

価格:275万~392万円

■主要諸元 (Z 2WD)
●全長×全幅×全高(㎜): 4600×1780×1430 ●ホイールベース(㎜):2750 ●車両重量(㎏):1420 ●パワーユニット:1986㏄直4DOHC(152PS/19.2㎏・m)+モーター(83kW/206N・m) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:28.6㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:195/50R19

2ℓ車の動力性能は5割増し
歴代最強のスペックを持つ

 トヨタ・ハイブリッドシステムの主流となるスプリット式は、電動駆動と内燃機駆動を融合させた制御が特徴。シリーズ式とパラレル式の融合型とも言えるシステムであり、性能設定の基本的な考え方もシリーズ式とパラレル式の両面の特徴を備えている。
 新型プリウスの2ℓ車のエンジンは、従来型(1・8ℓ)から最高出力で約56%アップ、最大トルクで約32%アップ、駆動モーター最高出力は約57%増になる。
 ざっくりと5割増しとなるが、普通に走らせているとそれほど強化された印象を受けない。巡航時と緩加速領域での滑らかなドライブフィールは先代とよく似たもので、反応を素早く立ち上げながらも、穏やかなコントロールを併せ持つ特性だ。

パワーアップの恩恵は
高速走行時に強く実感

 200㏄分のパワーアップを強く実感できるのは急加速と高速走行時だ。アクセルを深く踏み込んだ時の加速の上乗せは、スペックで示されたとおり5割増しという感じだ。これまでのプリウスは高速走行時に加速した時の余力感の落ち込みが少し気になるシーンがあったが、新型はそれを払拭している。新たに手に入れた伸びやかな加速感は、高速ツーリングを重視するユーザーにとっては大きなメリットになるだろう。
 ただし、低中速域で一気に大きく踏み込んでも蹴り出し感はほどほど。スポーツモデルのような刺激的な反応は、ドライブモードを「スポーツ」あるいは「パワー」にセットしても多少鋭さを増す程度。もたつき感を感じさせない運転ストレスの軽減を狙った特性ともいえる。
 瞬発力を高めるため駆動モーター性能を大幅アップしているが、唐突な駆動力変化を抑えている制御も見どころ。スムーズな加減速制御のしやすさを重視していることもプリウスの見識と理解すべき点。従来までのプリウスユーザーにとっても、何の違和感もなく馴染めるはずだ。
 コントロール性が良ければ無駄踏みも少なくできるため、省燃費の要点のひとつになる。試乗日の外気温は10度未満を示し続けるなど、燃費を伸ばすには少し優しくない状況だったが、千葉の山沿いのルートをかなり走ったにもかかわらず、実燃費で24km/ℓとなかなかの数字を残してくれた。ちなみに2ℓ車のWLTCモード燃費(市街地)は26・0km/ℓなので、その数値からしても納得できる。既存のプリウスと比べると燃費性能は少し物足りないかもしれないが、余力感が高まった動力性能を考えれば合格点。新型の最大のセールスポイントは燃費ではないのだ。

プリウスに受け継がれた
馴染み良い運転感覚は健在

 ちなみに新型の2ℓ車のタイヤサイズは195/50R19になるが、燃費だけで評価するならこれはマイナス要因。OPで選べる195/60R17タイヤを装着するとWLTC燃費は約1割向上する。車両重量も20kg減となり、19インチ仕様は17インチ仕様より1輪当たり5kg重い計算だ。ロープロファイルになればタイヤ縦バネは硬くもなるし、荒れた路面では車軸周りがばたつくような振動も強くなる。フットワーク面でも19インチはデメリットが多い。
 ただ、10cmにも充たないタイヤハイトにもかかわらず、乗り心地もハンドリングも穏やかさを上手く織り込んでいる。さらに前走車との車間距離と速度差や前方コーナーを検知して減速(エンブレ)調整したり、操保舵力制御によるコーナーへのスムーズな転舵補助などの出しゃばらない運転支援が加わることもあって、運転ストレスも大きく軽減している。簡単にいうと馴染みのいい運転感覚であり、フットワーク全般も先代から着実に向上している。
 燃費や乗り心地の面では19インチは少し気になる選択だが、感性としては「カッコイイ」に大きく寄与しているのは間違いない。
 新型はこれまでのプリウスにはない異質の魅力が詰まっており、燃費性能の低下はカッコよさへの投資として十分に納得できる範囲。スタイルに惚れて選んでも、歴代プリウスが積み重ねた実用性能は健在。多くのユーザーが納得できる実力を持つ、新世代セダンのベンチマークになり得るクルマに仕上がっているのだ。

1.8ℓ車もラインナップしているが、新型は2ℓ車が主力を担う。エンジン+モーターのシステム最高出力は196PSを発揮するなど、ライバル勢を一歩リードする高性能ぶりも頼もしい。
グラスエリアを広めにとったパッケージのおかげで見晴らし感も良好。プリウスが大事に育んできた穏やかな運転感覚はしっかりと継承している。
下手なスポーティカー顔負けのスペックを持つなど、動力性能と操舵支援機能が強化されたことで高速走行適性も向上。ツアラーモデルとしてもトヨタ車トップ級の実力を手に入れている。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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