新車試乗レポート
更新日:2023.05.09 / 掲載日:2022.09.08

【BMW i4】電気自動車の実力を実車でテスト!【グーEVテスト】

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス

 欧州や中国では、クルマを取り巻く環境や政府の補助金政策なども追い風となり、EV(電気自動車)のセールスが急進。対する日本も、普及はまだまだこれからという状況ながら、補助金の充実や新しいEVの登場&上陸など、EV関連のニュースが次々とメディアをにぎわせている。そうした状況もあり、「そろそろかな」とEVが気になり始めている人も案外多いのでは?

 とはいえエンジン車とは異なり、EVの所有はハードルが高いのも事実。航続距離や充電効率、使い勝手などは車種によって大きく異なるため、どんなモデルが自分にとってベターな選択なのか、見分けるのがまだまだ難しい。

 本連載は、EVや自動運転車といったクルマの先進技術に造詣が深い自動車ジャーナリスト・石井昌道氏の監修・解説の下、各社の注目モデルを毎回、同様のルートでテスト。実際の使用状況を想定した走行パターンでチェックすることで各モデルの得手不得手を検証し、皆さんの“EV選びの悩み”を解決することを目的とする。

 今回フォーカスするのは、BMW「i4」シリーズのうち、後輪駆動レイアウトを採用する「i4 eDrive40」。同ブランドの「4シリーズ グラン クーペ」ベースの電動モデルは、果たしてどんな実力を見せてくれるのだろうか?

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BMW i4 eDrive40のプロフィール

BMW i4

 2022年2月に日本上陸がアナウンスされたBMW「i4」シリーズが、ようやく日本の道を走り始めた。フラッグシップモデルの「iX」がEV専用モデルであるのに対して、こちらは「4シリーズ グラン クーペ」ベースのピュアEV。これにより4シリーズ グラン クーペは、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ピュアEVという多彩なパワートレインをラインナップすることになった。

 今回フォーカスするのは、i4シリーズのミドルグレード「i4 eDrive40」。i4シリーズは現在、i4 eDrive40と高性能バージョンの「i4 M50」が日本への上陸を果たしているが、先ごろ本国では、エントリーグレードの「i4 eDrive35」が発表済みだ。i4シリーズ3グレードのパワートレインには、BMW最新の第5世代“BMW eDriveテクノロジー”が搭載される。

 i4 eDrive40に搭載される走行用バッテリーは83.9kWhと大容量で、最高出力340ps、最大トルク43.8kgfのモーターでリアタイヤを駆動する。1回の充電で走行できる航続距離は604km(WLTCモード)で、0~100km/h加速タイム5.7秒(欧州仕様)という駿足も兼備する。

 ちなみにi4 eDrive40は、最大150kWの急速充電器に対応。10分間の急速充電で150km以上の走行を可能にするなど、EVとしての利便性も高い。

 i4 eDrive40のエクステリアは、基本的にベースモデルとなった4シリーズ グラン クーペのそれに準じるが、EV化によりディテールのデザインは異なっている。例えばフロント回りは、BMWの個性であるキドニーグリルを継承するものの、内燃エンジン車のようにボンネットフード下に冷却のための空気を送る必要がないため、専用のクローズドタイプとなる。またリア回りは、バンパー下部のデザインが専用となるほか、BMW iを象徴するブルーのアクセントが全身に散りばめられている。

 一方のインテリアも、EV化によってベースモデルのそれとは細部が異なる。12.3インチのメーターパネルと中央部にある14.9インチのコントロールディスプレイがひとつのユニットにまとめられている上、パネルを湾曲させることで操作性や視認性を追求。これにより、エアコン系の物理スイッチが簡略化されている。

 キャビンの居心地は、ベースとなった4シリーズ グラン クーペと同等だ。ラゲッジスペースは標準状態で470L、リアシートの背もたれを倒した状態で最大1290Lまで拡大できるなど、実用性の高さも魅力的だ。

■グレード構成&価格

・「eDrive40 Standard」(750万円)
・「eDrive40 M Sport」(791万円)
・「M50」(1081万円)

■電費データ

<eDrive40>

◎交流電力量消費率

・WLTCモード:157Wh/km

 >>>市街地モード:159Wh/km

 >>>郊外モード:151Wh/km

 >>>高速道路モード:161Wh/km

◎一充電走行距離

・WLTCモード:604km

<M50>

◎交流電力量消費率

・WLTCモード:173Wh/km

 >>>市街地モード:177Wh/km

 >>>郊外モード:167Wh/km

 >>>高速道路モード:175Wh/km

◎一充電走行距離

・WLTCモード:546km

【高速道路】空気抵抗の少なさが電費のよさにつながったか

 今回のEVテストは学生の夏休み最終日というタイミングで交通量はやや多め。気温は高めだろうと予想していたが、朝のうちは雨まじりだったこともあって涼しく、後半に晴れて上がっていった。東名高速・東京ICをスタートした朝6:00は24.5℃。エアコンの負荷は低いまま走り始めた。制限速度100km/h区間のその1は7.0km/kWh、その4は7.0km/kWh、制限速度70km/h区間のその2は7.7km/kWh、その3は7.3km/kWh。その1は一時的に40km/h程度まで速度が落ちることもあり、電費的には有利に働いた。その4もスムーズではなかったもののその1よりは流れはいい。それでも同じ電費になったのは、その1が気温25℃前後だったのに対して、その4は32℃まで上がっていてエアコンの負荷が大きかったからだろう。これは同時にテストしたBMW i4 M50でも同様の傾向だ。それにしてもi4の高速電費は良好。車両重量は2080kgだが、同程度のBMW iX3(2200kg)は制限速度100km/h区間が5.6~6.1km/kWh、制限速度70km/h区間が5.6~6.5km/kWh、メルセデス・ベンツ EQA(2030kg)は制限速度100km/h区間が5.5~6.0km/kWh、制限速度70km/h区間が6.2~6.7km/kWh、ヒョンデ IONIC 5(2100kg)は制限速度100km/h区間が5.3~6.1km/kWh、制限速度70km/h区間が6.3~6.4km/kWh。他がSUVなのに対して低全高で前面投影面積の少ない4ドアクーペのi4は空力的に有利なのだ。

【ワインディング】エンジン車を上回る走りのフィーリング

 約13㎞の距離で963mも標高差があるターンパイク登りの電費は1.7km/kWh。もちろん電費に厳しい区間だが、他車との比較では平均的だろう。メルセデス・ベンツ EQAとヒョンデ IONIC 5とはまったく同一の1.7km/kWh。制限速度50km/hなので空力の影響はわずかであることがわかる。軽いクルマの方が有利だが、1500kg程度のモデルでも2.0km/kWh程度だ。車載電費計からの推定で下り区間では4.0kWh分を回生した計算になる。これも平均的か、ちょっと上回る程度。下りに向けてスタートするターンパイク大観山ではバッテリー残量62%、走行可能距離240kmだったが、約13kmの距離を下って67%、379kmに回復していた。

自動車専用道路である箱根ターンパイク(アネスト岩田ターンパイク)を小田原本線料金所から大観山展望台まで往復した

【一般道】車重などから想定される範囲内での電費となった

 一般道の電費は4.5km/kWhと、車両重量を考慮すれば平均的なレベルだった。高速道路の電費は秀逸だったが、平均速度20km/h程度で空力の影響はほとんどなく、ストップ&ゴーが多いため車両重量がもろに効く一般道だから、やはり平均的になるのだ。ちなみにWLTC電費は総合が6.37km/kWh、市街地モードが6.3km/kWh、郊外モードが6.63km/kWh、高速モードが6.21km/kWh。SUVのiX3は電費は総合が5.95km/kWh、市街地モードが6.25km/kWh、郊外モードが6.29km/kWh、高速モードが5.62km/kWhであるのに対して、速度域が高いほど有利になっていき、市街地と高速での差が少ないことがわかる。もっとも一般道(市街地モードに相当)は信号のタイミングや周囲の交通の影響によってバラツキが多いもので電費は変動しやすい。

東名横浜青葉ICから環八の丸子橋まで約22kmの距離を走行した

【充電】現状広く普及している40kWの急速充電器でも十分な充電効率

海老名SAでの急速充電テスト ※データはテスト時のものです。数値を保証するものではありません

 スタート時のバッテリー残量は91%、走行可能距離327km。そこから約160km走行して復路・海老名サービスエリアに到着したときには61%、345kmだった。出力40kWの急速充電器を25分間使用して80%、457kmまで回復。今回は80%に達すると自動的に充電が終了する設定になっていたようだ。充電中は37kW~39kWの出力だったのでほぼロスなしでいけたようだ。計算ではバッテリー残量58%程度なら30分で80%に達するはず。高速道路のサービスエリア等に多い出力40kWでも実用性はまずまずといったところだろうが、もっと高出力のタイプが出てくれば、さらに使いやすくなるはずだ。

膝前空間には十分なスペースがあるが、床面が高いため若干ふとももが座面から離れがちになる

BMW i4はどんなEVだった?

テストを監修した自動車ジャーナリストの石井昌道氏

 EVの課題は航続距離と言われるが、バッテリー容量が小さめのモデルでも一般道から郊外路程度ならばほとんど問題はない。平均速度が低ければ、ドライバーが疲れるぐらいの時間を走ることができるからだ。問題は高速道路の電費ということになるが、i4は秀逸であり満充電からスタートすれば制限速度100km/h区間でも5時間ぐらいは走れるので物足りなさはないだろう。出力90kW以上の急速充電器が普及すれば、エンジン車同等とまでいかなくても、ほとんど不便を感じなくなりそうだ。バッテリーの性能が飛躍的に伸びるまでは低全高なモデルのほうが使い勝手はいい。またi4は、エンジン車の3シリーズや4シリーズを上回る乗り味であり、BMWファンを納得させることだろう。

BMW i4 eDrive40 Mスポーツ

■全長×全幅×全高:4785×1850×1455mm

■ホイールベース:2855mm

■車両重量:2080kg

■バッテリー総電力量:83.9kWh

■定格出力:105.0kW

■最高出力:340ps(250kW)/8000rpm

■最大トルク:43.8kgf(430Nm)/0~5000rpm

■サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク

■ブレーキ前後:Vディスク

■タイヤ前/後:245/45R18/255/45R18

取材車オプション

■ボディカラー(ミネラル・ホワイト)、ヴァーネスカ・レザーオイスター(専用ステッチ付)/ブラック、ハイライン・パッケージ、コンフォート・パッケージ、Mスポーツ パッケージ、BMW インディビジュアル・ピアノ・フィニッシュ・ブラック・インテリア・トリム、地上デジタルTVチューナー、ハーマンカードン・サラウンド・サウンド・システム

BMW i4の中古車を探す
  • 支払総額:523万円
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  • 走行距離 : 0.3万km
  • 車検: 検9.4
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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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