新車試乗レポート
掲載日:2022.08.16 / 更新日:2022.08.16

【試乗レポート メルセデス・EQ EQB】期待の3列シート電気SUVを試す

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 EQCからはじまったメルセデスのBEVシリーズに新たな仲間が加わった。第三弾となるそれはEQB。GLBをベースにしたモデルだ。そもそも日本でも人気の高いモデルだけに、ここからEQシリーズの販売加速は伸びるかもしれない。

SUVらしいスクエアなスタイリングを採用

 人気の理由はSUVらしいスクエアなスタイリングと積載性の高さと思われる。今どきはアウトドアブームなだけに、少し無骨でワイルドな方が注目されるからだ。その意味ではサイズと使い勝手を含め、チェックするべき新型車と言っていいだろう。デザインも嫌味のないオーセンティックなものに仕上がっている。

メルセデスとして初めて交流同期電動機モーターを採用

 知るべきポイントは2つのグレードがあり、それぞれモーターの数と設置するアクセルが異なること。EQB 250とEQB 350 4MATICがそれで、駆動方式は前者がFWD、後者がAWDとなる。さらにいうと、今回メルセデスとしては初機構となるモーターが採用されている。それは交流同期電動機と呼ばれるもので、海外ではシンクロナスモーターと表記される代物だ。具体的には主力軸とローターが同期され同じ速度で回転する。なので、高効率でモーターのチカラを発揮できるというメリットがある。

 今回メルセデスは、それをEQB 250はフロントアクスルに、EQB 350 4MATICはリアアクスルに搭載した。要するに、EQB 350 4MATICはリア駆動をメインとした設計だ。それじゃ同モデルのフロントはというと、交流誘導電動機が採用される。これまでのEQシリーズに使われてきた一般的なモーターである。もちろん、実績と信頼性という面で問題はないし、走りのパフォーマンスは折り紙付き。ただ、誘導モーターは滑りが発生するため、同期型よりは効率が低いと評されているので、今後じわじわとスイッチされていくかもしれない。

EQB 250

走りの印象は、きびきびとした「EQB 250」とパワフルな「EQB 350 4MATIC」

 なんて細かな話はともかく、走りのテイストを簡潔に伝えよう。まずフットワークがよくキビキビした走りを見せたのはEQB 250の方だ。ステアリング操作に対し鼻先から向きを変え、軽快に走る。ただ385Nmのトルクが太すぎるのか不意なアクセル操作ではトルクステアが発生するので注意が必要。出だしはもちろん、中間加速でもそんなシーンが多々あった。とはいえ、そこから電子制御が働くので挙動はすぐに安定するので心配は無用。その辺の懐の深さはさすがメルセデスである。

EQB 350 4MATIC

 それじゃ292psのEQB 350 4MATICはどうかというと、クラスを超えたパワフルな走りを見せる。都内をクルマの流れに沿って走っていると気づかないが、高速道路で前が空いた時にちょっと踏み込むと、かなり次元の異なる加速を見せる。GLBのつもりでアクセル操作すると戸惑ってしまうであろう。

 そんな走りのEQBには、回生レベルのシステムの中にさまざまな制御が用意されていた。たとえば“D Auto”。前方のクルマとの距離をセンサーが検知しそこに減速が必要と判断されると、回生ブレーキを極端に強くしスピードをダウンさせるのだ。そう、それはまるでACCの減速のように。それを理解していないと「アレ、ACCオンにしてたっけ?」となる。いやいやフツーにアクセル踏んで走っていましたが……。

 この回生ブレーキレベルは、 “D Auto”の他に、デフォルトとなる“D”、それと“D+”、“D-”がある。それぞれ走行シーンで使い分ければいいだろう。付け加えれば、“D Auto”では前述した強い回生ブレーキもあれば、前走車のいない場合コースティング(D+モードと同じ)も行うそうだ。勾配センサーがあるので下り坂が続くようなシーンでは積極的に使われるであろう。なるほど、高速道路では電費に対しきっといい効果を発揮するに違いない。

まとめ

 といった走りのキャラを持ったEQBは、3列シートの7名乗車が可能というのも見逃せない。全長4685mm×全幅1835mmのサイズにしてこのキャビンの広さはかなり嬉しい。とはいえ、乗り降りのスムーズさを鑑みれば、3列目はやはり子供限定と考えるのがいい。2列目シートをスライドさせても大人は少々厳しい。

 価格はEQB 250が788万円、EQB 350 4MATICは870万円となる。補助金をマイナスすれば、使い勝手からしてリーズナブルといえそうだ。となれば、あとは充電インフラ。先日BEVで軽井沢を往復して感じたが、急速充電施設はもっと増やさないと厳しい気がする。特に精神的にもね。なのでまずは自宅で普通充電できる環境設定が必要であろう。ガソリンスタンドが閉鎖している昨今、早急な対応が求められそうだ。

九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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