スクープ
更新日:2019.08.27 / 掲載日:2019.08.01
スクープ! トヨタ エスティマ9月で販売終了。トヨタの天才タマゴが買えるのもあと少し!

現行型エスティマハイブリッド
現行型が2006年に登場して以来、後継モデルの噂が湧いては消えてを繰り返してきたのがエスティマだ。数年前に、開発が佳境に入っていた次期モデルがお蔵入りになったという情報が飛び交ったが、どうやらそのままフェードアウトが決定した模様。ディーラーでも、まもなくオーダーストップ、9月で終了という事になりそうなのだ。
もともとエスティマは、米国のダッジキャラバンや欧州のルノーエスパスが火付け役となったミニバン市場を狙い、バブル真っ盛りの1990年に初代が発売された。流麗なフォルムのボディは当初3ナンバーの普通車サイズ。その床下にエンジンを寝かせて搭載するアンダーフロアミッドシップという手の込んだパッケージングで、広い室内を実現していた。
ただし、開発者渾身のメカニズムも、北米では必須のV6以上のエンジンが積めず、日本ではまだ3ナンバーのボディが大きすぎると敬遠された。ミニバス的な使い方をされる欧州では、実用車としては高価過ぎと言われるなど、狙い通りには評価されなかった。
その反省から2000年に登場した2代目ではカムリなどと同じプラットフォームを使い、V6も積めるFF方式にチェンジ。3ナンバー専用車ながら絶妙なサイズ感と使い勝手で、「天才タマゴ」のキャッチフレーズと相まって大ヒットとなった。ミニバン初となるハイブリッドが加わったのも、この世代だ。

1993年デビューの初代エスティマ。

現行型エスティマ
2006年に誕生した現行モデルもそのコンセプトを受け継ぎ、堅調な売れ行きを維持してきた。ただし、3ナンバーのLクラスミニバンとしては、2002年に初代が誕生したアルファード/ヴェルファイアに人気が移ってしまった。ミニバンのクラウンを思わせる、迫力あるマスクと角ばった押し出し感のあるフォルムを持ち、室内空間の広さや充実した装備も誇るアル/ヴェル兄弟に対して、流麗でハイセンスが持ち味のエスティマは、かつてほどの圧倒的な商品価値を誇れなくなってしまったのだ。
そうして、アル/ヴェル兄弟が2008年と2015年にきっちりモデルチェンジしていくのを横目に、エスティマは最新の運転支援システムのToyota Safety Senseを備えるなどの進化を遂げつつも、モデルチェンジは先送りで延命してきたのが現状。しかし、北米と欧州のミニバン市場はすでにほぼ消滅。アジアの市場では、高級車としてアルファードが人気の一方、実用車ミニバンとしてはシエンタなどのコンパクトクラスが堅調と、ニーズが明確になっている。
そうした中で、いわば企画モノとしてのエスティマの存在理由は、もはやないと判断されたのだろう。トヨタがこれから販売チャンネルを統合し、全車が全ディーラーで購入できる体制に移行することも、その判断の後押しをしたはずだ。すでに東京地区では、2019年春にトヨタモビリティ東京が誕生し、どの店でもすべてのトヨタ車が購入できるようになっている。
2017年東京モーターショーで展示されたトヨタのコンセプトカー「Fine-Comfort Ride」。インホイールモーターを採用したエス燃料電池自動車6人乗りミニバンだ。
同じく2017年東京モーターショーで展示された「Tj CRUISER」。ミニバンではないが、バンとSUVの融合車。今年の東京モーターショーで市販モデルデビューの噂もある。
自動車業界は100年に一度の変革期にあると位置づけるトヨタは、明確な個性や存在理由を持たないモデルは、たとえ一世を風靡したブランドでも淘汰する決断を下した。残念だが、それが現実というわけだ。ちなみに、噂レベルの話では数年後に登場するEVミニバンの車名として、エスティマの名を復活させるという説もある。革新的なミニバンというエスティマの評価を、新しい動力源に託すというわけ。あながちあり得ない話ではなさそうだ。