新車値引き情報
更新日:2022.10.26 / 掲載日:2022.10.26

X氏の値引き大作戦 GR86から29.9万円引き!

頭、真っ白、目の前、真っ暗 ~我は行く、さらば、スバルよ♪ トヨタは部長が臨店、即時決裁

【プロローグ】 「新車登録から6か月/走行距離600km」という、極上の中古BRZ(2018年式)を購入して3年半が経ちました。走行距離は2万kmを超えています。
 昨年、スバルで車検を通す際、新型BRZに試乗させてもらったところ、一気に心が揺さぶられた! なじみのセールスさんから「買い替えていただけるなら特別に本体10万円+付属品10万円の合計20万円引きします!」との熱い売り込みを受けるも車検を通したばかりだし……どうしようか?
 そのまま悩み続けて、早や10か月……あちこちで新型BRZやGR86を見かけるたびに「いいなあ~」と、思いは募る……。
 そして、ついに我慢が限界にきてしまいました(笑)。

【1日目(金)】 マツダに出向く。狙いはロードスターRF。ネットで予約を入れておいたので、スムーズに試乗ができた。湖畔のワインディングロードをドライブ。想像以上に楽しい。これ、いいかも!
X「GR86やBRZ、シビックなどを検討していますが“いつかはロードスター”と思っていたので一番に来ました。家族は2シーターに反対しているんですけどね」(笑)
「では、見積もりを出してみましょう」
X「付属品はエアロパーツとフロアマットのみです。ボディコーティングとメンテナンスパックは外してください」
「はい、わかりました」
X「実は、最近の株価低迷でダメージを負ってるんですよね。だから、値引きと下取りを頑張ってくれると助かります」
 BRZの下取り額は215万円。作戦会議で松本さんは「現在、中古車相場は高騰しています。かなりの高値が期待できますよ」と言っていたので、ちょっと期待外れだ。
「ロードスターは通常、本体から3万円引き、契約してくれるという条件でも5万円引きです。いままで最高でも7万円引きでした。これ以上は会社が許してくれないんですよ」
X「最高で7万円ですか……せめて二桁(10万円)に乗らないと候補に残せませんよ」
「今週末はセールなので頑張れます。他車を検討の上、ぜひ来店してください」
 思ったより渋い。試乗でぐんと上がったテンションはダダ下がりだ。
 続いてBMWへ。過去のX氏のレポートで「輸入車ディーラーはイケメン揃い」とのコメントがあったが、まずはファッションにびっくり。白のデニム(もしかしたら麻)のジャケット&パンツなんて国産車のセールスマンには絶対にいないよね。イケメンかどうかについては論評を避けます。
 候補のBMW220iクーペMスポーツが「ちょうど横浜港に到着している」とのことで、これを対象に見積もりを出してもらうことにした。ちなみにメーカーにオーダーすると、納車まで半年かかるそうだ。
 値引きはいきなり35万円! さらに付属品の無料サービス12万円相当を付けてくれるので、値引きの合計は47万円にもなる。ただし、下取り額は210万円。
「来週、現車が来るので見に来てください。値引きももう少しできると思います」
 支払い総額は420万円超! 完全に予算オーバーだ。。

【2日目(日)】 ホンダに出向く。セールスさんが来るまで30分も待たされてしまった。ようやく応対してくれたが、この後、商談予約が入っているようでなんだか落ち着かない。
「シビックは近々マイチェンがあるので現行型なら21万円引きができます。ただし生産枠が残り少ないのですぐに決めていただく必要があります」
X「検討中なのですぐには決められません。それにどうせ買うなら新型がいいですね。で、下取りはいくらですか?」
「BRZは買い取り店のほうが圧倒的に高いのでそちらで査定してもらってください」
 どうにもやる気が感じられない。早々に退散した。
 買い取り専門店に寄ってみる。この店では7か月前に査定してもらったことがある。そのときは230万円だったが、今回は220万円。走行距離が5000kmも増えたが、10万円しか落ちなかった。


おー! トヨタが破格の好条件!! え~! スバルはゼロの暴挙!?

【3日目(金)】 トヨタA店へ。GR86に試乗した後、商談を開始する。担当さんは長身スマートのイケメン。昨年、試しに見積もりを依頼した際、新型発売直後にもかかわらず値引き17万円を提示。さらに「下取りは他のトヨタより確実に高値が出せます」と豪語して、240万円を提示してきた。
 今回は果たして……。
X「前回は車検直後だったので購入を見送ったけど、今回は本気です。遅くとも来週末には契約しようと思っています」
「ほかにはどんなクルマをご検討ですか?」
X「BRZとかロードスターですね。もちろんGR86も有力候補ですよ。ただ、最近の株価低迷でダメージを負ってマインドも低下しているので、セールスさんの力量にすがるしかないと思っています」(笑) 
 しかし、条件は値引き16万円、下取り215万円。
X「あれ? 前回よりずいぶん落ちてしまいましたね」
「1年近く経っているので……でも、これではご納得いただけませんよね。すみません、ちょっと失礼します」
 しばらくして戻ってきた。
「実は、私の上司が先日の異動で中古車部門のトップになりました。そこで電話で相談したところ、下取り額を234万5000円に上乗せさせてもらうことができました。ただし、『絶対に当店で引き取らせてもらう』という条件が付くので、後日、買い取り専門店に売ることはできません」
X「なるほど。わかりました」
「それとうちのメンテナンスパックは7万9000円ですが、ご加入いただければ、そこから5万円引きができますよ」
 思わず「じゃ、加入します」と言ってしまった。本当は最後の最後で無料サービスにするつもりだったのだが……。
 これで値引きは21万円となった。下取り額を差し引いた支払い総額は140万円。想像以上の好条件だ。ちなみに、下取り額は納車(5~6か月後)まで据え置いてくれる。
「Xさん、この場でご契約いただけませんか?」
X「まだ検討を始めたばかりで、他店の商談予約もしているので今は契約できないよ」
「では、他店と交渉してからまた来てください。決めていただけるなら支払い総額を135万円にできると思います」
 オー!!! 逆算すると、値引きは26万円になる。
 次は経営の違うトヨタB店。付き合いのあるセールスさんと商談。GR86の値引きは18万円。さらにボディコーティング(13万円相当)の無料サービス。下取り車については「のちほどお知らせします」とのこと。
 先日とは別の買い取り専門店に寄って査定してもらうと「3か月以内に引き渡してくれれば230万円で買い取ります」。
 続いてトヨタC店。担当さんは顔見知りのベテラン。開口一番「Xさん、ついに決断したんですね!」と売る気満々。値引きは20万円だが、下取り額は196万円(年内の引き渡しなら205万円)と超・低査定。
 話にならないので早々に引き上げようとすると、セールスさんの態度が豹変。
「今日、契約していただけると思っていたのに、テンション、がた落ちですよ。せっかくXさんのために特別枠の数字を用意したのに……ともかく他店の交渉を終えた時点ですべてこちらに任せるという気持ちになったら来てください。私も全力で応えますから」
 正直(テンションがた落ちはこっちのセリフだ!)と思ったけれど、冷静に、
X「実際に購入となれば、どれくらいできますか?」
「買うかどうかわからないのに条件なんて出せません」
 究極の後出しジャンケンのタイプのようだ。
 本日の最後はトヨタD店。ここも顔見知りだ。GR86の値引きは20万円、下取りは210万円。ただし「納車前に再査定する」とのこと。つまり再査定で下がることもあるわけだ。
「決めてもらえるとなれば本部と相談します。納期が遅れているので、できるだけ早く契約したほうがいいですよ」
 3店目の買い取り専門店へ。査定額は220万円。トヨタA店の234万5000円を伝えると「それは破格です。太刀打ちできません」と白旗。
 作戦会議で松本さんが「最近は新車ディーラーも下取りに高値を付けてきます。“買い取り専門店のほうが高い”という先入観は捨てましょう」と言っていたのを思い出した。


遅れる納期、急がなくちゃ! 殺し文句を連発、ついに落ちた

【4日目(土)】 私の住んでいる地域は県境に近い。10分程度走ってスバルA店に越境。顔見知りのセールスさんと商談する。以前「BRZは値引きゼロ」と言っていたが、本気で商談すれば本音が出る……と思いきや見事に期待は外れた。
「車両本体の値引きはゼロです。付属品は15%引きます。下取りは205万円です」
X「トヨタは値引き26万円、下取り額は230万円を大きく超えていますよ。下取りは買い取り専門店に売ることができますが、値引き、どうにかならないんですか?」
「え、トヨタはそんな数字を出しているんですか……本部に相談するので、明日あらためて連絡させてください」
 続いて地元のスバルB店へ。この店では下取り車の点検・整備でお世話になっている。
「お待ちしていました。ついに買い替えを決断しましたね」
 これまでの経過を伝えて、
X「スバル独自のWRブルーを気に入っているのでGR86と同じ値段なら間違いなくBRZを選びます! 私を本当のスバリストにしてください」
「私もこの日を待っていました。頑張らせてもらいます!」
 待つこと30分。戻ってきたセールスさんの表情は暗い。
 提示してきた条件は値引き5万円、下取り205万円。
X「えっ!? 昨年『車両本体と付属品から20万円引き』と言って、買い替えを勧めてきたじゃないですか……なぜ、5万円引きなんですか?」
「BRZはマイチェンして新型となったばかりで、値引きを引き締めているんです」
 GR86と値引き+下取りの合計を比べるとその差は51万円……頭の中、真っ白、目の前、真っ暗、言葉が出ない。
 しばらく沈黙が続いた後、
「Xさん、私もこんな条件しか出せなくて悔しいです。明日まで待っていただけないでしょうか? 店長と本部の部長と協議させていただきます」
 予想外の展開に動揺がおさまらない。高い価格でもお布施として買うのがスバリストなのか……スバリストへの道は中々に厳しい(漫画・スラムダンクの仙道君のセリフ引用です)。
 気を取り直してトヨタE店へ。これまでの経過を伝えると、
「GR86の値引きは本部決裁で25万円です。下取りは220万円が限界です。トヨタA店と同じ234万5000円で下取りしたら商売が成立しません。Xさん、すぐにでもA店と契約することをお勧めします」
 夕方、松本さんに電話してこれまでの交渉経緯と今後の交渉について相談する。
松本「残念ながらスバルの条件をトヨタ並みにもっていく効果的な戦術はありません。GR86に決めてもいいというならトヨタA店に的を絞って攻めたほうがいいと思います。トヨタは受注が増えるとオーダーストップとなることも多いので契約を急いだほうが得策でしょう」
 正直、あまりに低い提示額を見てスバルへの想いは吹っ飛んでしまった。セールスさんは「相談する」と言っているが、口ぶりから大幅な上乗せは期待できない。松本さんのアドバイスを聞いて踏ん切りがついた。今回はGR86だ!

【5日目(日)】 スバルA店から電話。本部に相談したが、値引きは15万円とのこと。丁重にお断りする。
 スバルB店からも電話。
「Xさんになんとかスバリストになってもらいたいので頑張らせてもらいました。下取りは上乗せできませんが、値引きは25万円までやらせてもらいます。これでどうでしょう?」
 心のなかでは(おいおい、20万円から5万円に急降下、再び25万円に急上昇、このジェットコースターのような条件提示はなんなんだ!?)と思いながらも、奮闘したであろうセールスさんには感謝感謝。
 スバルB店の条件を聞いて一瞬、気持ちが揺れたが、冷静になると、やはりトヨタの破格の下取り額を無視することはできない。納期がどんどん遅れるのも気になるし、なによりもオーダーストップが心配だ。こうなったら1日でも早く注文をしたほうがいいだろう。
 すでにトヨタA店との交渉シミュレーションも完成している。トヨタA店の前回の条件は値引き26万円、下取り234万5000円で、支払い総額は135万円。最後の商談では付属品約7万3000円を新たに追加して、これがすべて無料サービスになったら即決するつもりだ。難色を示してきた場合は多少の譲歩も考えている。落としどころは「値引きの総額30万円」とした。
 トヨタA店のイケメン氏に電話で「もし今日契約となったら申込金とか印鑑とか、必要だよね?」と訊ねておく。これで前振りはOK(笑)。夕方、トヨタA店に乗り込んだ。
「Xさん、タイミングがいいですよ。ちょうど部長が臨店しているので、この場で決裁の相談ができます」
X「他のトヨタさんも頑張ってくれていますが、私としてはできたらセールスさんから買いたいと思っています。付属品を追加するので、値引きの上乗せをお願いします」
「ご希望の付属品を上乗せすると、支払い総額は142万円ほどになりますが、端数はカットして140万円にします。これで決めてください!」
X「いや、すべて無料でお願いします。追加を含めて135万円!OKなら契約します。他のトヨタには断りの電話を入れるつもりですよ」
「え~、それだと値引きが35万円近くになってしまいます。そこまではちょっと……」
X「ダメならあらためて他店とも交渉します」
「え~、まいったなあ……さすがに全部無料サービスにするのは無理です。ともかく、ここまでくると、私がどうこうできる水準ではありません。店長と部長に相談してみます」
X「頑張ってください! ここで納得いく条件が出なければ、来週末にスバルも含めて再度交渉するつもりです」
 しばらく待っていると、神妙な面持ちで戻ってきた。
「これでどうでしょう?」
 提示してきた条件は車両本体値引き5万円、付属品(35万1340円)値引き24万8750円、下取り額235万5180円(リサイクル預託金1万180円を含む)で、支払い総額は138万円。値引きの総額は29万8750円で、ほぼ30万円。これで契約することにした。
 注文書にサインをしながら頭の中では谷村新司の昴(スバル)の歌詞が流れてくる。
 我は(トヨタへ)行く さらば 昴(スバル)よ~。

購入データ
TOYOTA GR86
RZ(6MT)
From埼玉県
トータル値引き 29.9万円
値引き採点 5
車両本体値引きは5万円だが、付属品(35万1340円)から24万8750円引き(約71%)で、値引きの合計は29万8750円。破格の下取り額を含めて評価はウルトラCクラスの5とした。


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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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