新型車比較・ライバル車対決
更新日:2022.03.26 / 掲載日:2022.03.26

SUVライバル徹底比較【2】カローラクロス vs ヴェゼル

人気&注目モデルがガチンコ勝負! 勝つのはどっちだ!?

多くのユーザーが気になる2台のSUVを、
注目ポイントごとに徹底比較。
今、購入するならばどちらを選べばいいのか?
すべてをお教えしましょう。

●解説:川島茂夫

カローラクロス VS ヴェゼル

「走り」「キャビン」「装備」、3拍子揃った実力車、勝つのはどっち?

TOYOTA カローラクロス

カローラ”らしいバランスの良さが光る
 バランスの良い走行性能と広々としたキャビンを実現。それでいて価格もお値ごろと、SUVパッケージングを活かした新趣向の“カローラ”と考えると理解しやすい。価格設定はカローラ系では最上位になるが、カローラらしい価格もあって、登場当初から安定した人気を集めている。4WD車はハイブリッド車のみというのはSUVらしくないデメリットだが、実用性を重視するユーザーには最有力となるモデルだろう。

1.8ℓガソリン車も選べるが、主力となっているのは、プリウスと同ユニットを搭載する1.8ℓハイブリッド車になる。

HONDA ヴェゼル

性能向上により商品力も大幅にアップ
 フィット由来の高効率パッケージングとキャビン実用性を持つコンパクトSUV。スペシャリティな趣が強かった先代に対して、レジャーワゴンらしい親しみあるスタイルとなることで、実用性も雰囲気もSUVらしさが強まった。パワートレーンはガソリン車とハイブリッド車を設定。ハイブリッド車の強化や装備類の充実などで、全体的な価格帯は少し上がってしまったが、それでも魅力ある価格で狙うことができる一台だ。

現行ヴェゼルのハイブリッド車は、2モーター式のe:HEVを搭載。エンジン直動機能を備えるため、高速走行時の力感や燃費性能にも優れている。

ここに注目! 比較ポイント【01】走行性能

共にハイブリッド車は実力十分だが
ガソリン車は今ひとつ

 両モデルとも主力を担うのは最新改良が加えられたハイブリッド車。共にガソリン車は1世代以上前のユニットを搭載しており、動力性能は見劣りが否めない。
 オンロード性能は車格どおりと考えていい。カローラクロスの1.8ℓのTHS Ⅱは最新設計というわけではないが、長年の改良により性能面も信頼性も申し分がない。“カローラ”にふさわしく、幅広い速度域で安定した実力を発揮する。ヴェゼルのe:HEVはシリーズ式をベースとするだけあって、低中速までは出足も鋭く、力強い走りを披露する。ただし高速域は巡航中はともかく、アクセルを踏み込んだ時の加速性能の余裕はカローラクロスに一歩及ばない。
 フットワーク面は、ヴェゼルはキレの良いハンドリングで軽快感を強く感じさせてくれる。一方、カローラクロスは少しゆったりとした雰囲気が強い。ただこれは視点を変えればカローラクロスのほうが穏やかで落ち着いた乗り味といえ、これが両モデルのキャラの違いにも影響している。
 オフロード適性に関しては、どちらも得意というタイプではないが、カローラクロス(ハイブリッド車)のE-FourよりはヴェゼルのリアルタイムAWDの方が悪路性能に優れる。アウトドアで使うことも考えているユーザーにとっては、この差もポイントになるだろう。

【カローラクロス】搭載される1.8ℓハイブリッド(THS Ⅱ)は、年を重ねるほど熟成が進んでいることもあって、動力性能もレスポンス性もクラス平均を超える実力を持つ。
【ヴェゼル】ガソリン車、ハイブリッド車ともにベースエンジンは1.5ℓだが、ハイブリッド車は巧みな電動制御が組み合わされることで1クラス上の走りを手に入れた。ガソリン車とは価格以上の差がある。

ここに注目! 比較ポイント【02】キャビン&ユーティリティ

アレンジ性に差はあるものの実用性能は大差なし
 ボディサイズはカローラクロスが一回り大きいが、キャビンの広さはそれほど変わらない。むしろ荷物の積載性を重視するならアレンジに優れるヴェゼルの方が使いやすいというユーザーも多いだろう。後席格納はカローラクロスは単純なシングルフォールディング式だが、ヴェゼルはダイブダウンとチップアップが可能と、格納状態の荷室高にも余裕がある。
 内装の仕立ては嗜好面の好き嫌いはあるが、ワゴン的な落ち着きがあるカローラクロスの方が大人っぽい雰囲気だ。

【カローラクロス】センターコンソール上部にディスプレイオーディオを配置。インテリアカラーは実用車「カローラ」らしく、シンプルなブラックを基本としている。
【ヴェゼル】後席シートのアレンジ性が高いこともヴェゼルの特徴の一つ。後席格納は前倒式だが完全にフラットにすることができる。

ここに注目! 比較ポイント【03】装備&機能

安全系装備はほぼ互角だが
装着設定に違いあり

 採用モデルが増えているパワーテールゲートは、両モデルとも上級グレードにハンズフリー機能付きを採用する。運転席にパワーシートが選べることはカローラクロスのアドバンテージだが、最上級グレードのZのみになる。
 先進運転支援機能は、両モデルとも全車速型ACCとライン制御LKAを全グレードに標準装着。BSMなどの設定に多少の違いはあるが、実用機能としては決定的な違いはない。
 車載ITはカローラクロスはディスプレイオーディオ、ヴェゼルはコネクトディスプレーを用意。機能と装着設定でそれなりに違いがある。

【カローラクロス】トヨタセーフティセンスは全グレードに標準装備。後側方の障害物を検知する上位機能もOPで追加することが可能。
【ヴェゼル】ヴェゼルのコネクトディスプレーは、最上級グレードは標準装備、その他はOPが基本。装着設定は少し見劣りする。

【最終結論】どちらがベストバイ!

コスパ優先ならカローラクロス
SUVらしさはヴェゼルが上

 車格としてはカローラクロスのほうが少し上になるが、同等装備のハイブリッド車で比較すると、価格はヴェゼルの方が少し高め。ヴェゼルが高いというよりも、カローラが低めに価格設定したことが原因だが、このあたりの配慮にも“カローラ”のビッグネームの影響を感じることができる。
 キャラとしては両モデルとも実用性一辺倒というわけではなく、プレミアム感も楽しめるツーリングSUVを志向しているが、カローラクロスはコスパ面を重視、ヴェゼルは悪路対応力や積載の多様性も考慮している。ある程度の悪路対応力やレジャー適性も欲しいというならば、ヴェゼルの方がまとまりがいい。
 どちらのモデルを選んだとしても、ガソリン車では力不足に感じる場面も多い。ハイブリッド車の中級グレードを選ぶことをオススメしたい。

【カローラクロス】ガソリン車は動力性能に物足りなさもあるが、200万円前後から狙えることはお見事。現代のクルマに必須装備が標準ということも評価できる。
【ヴェゼル】先代に比べて価格帯は上がったが、それ以上の性能向上を実現しているのは間違いない。ハイブリッド車を選んでおけば後悔することはない。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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