国産コンパクトカー・ベストバイ【2021後半戦】

新型車比較・ライバル車対決 [2021.10.22 UP]

国産コンパクトカー・ベストバイ【2021後半戦】

ここ数年で魅力的なモデルが続々と投入されたコンパクトクラス。中には劇的進化を遂げたモデルもあるなど、国産車全体の中でも見逃せない美味しいクルマを見つけることができる。ここでは編集部が実力を認めた注目6モデルをピックアップ。今、買うべき1台をお伝えしよう。

●文:川島茂夫

今買うべき6車はコレだ!

TOYOTA アクア 価格帯:198万〜259万8000円

同門ヤリスよりも
コンパクトカーとしての総合力は上

 初代の登場時は先進かつ量産車では最も燃費に優れたモデルだったが、2代目となる新型は時代背景の変化に応じて立ち位置を変えている。まず1つ目はヤリスに比べてキャビン実用性が高まったこと。このクラスを求めるユーザーにとっては、基準となるモデルになるだろう。先代同様に多くの先進装備が投入されているが、その中でも廉価仕様以外に搭載されたバイポーラ型ニッケル水素電池は注目のポイント。小型軽量化だけでなく充放電性能に優れ、同型ハイブリッドシステムを搭載するヤリスのハイブリッド車よりも余力感に優れている。キャビン実用性のみがクローズアップされがちだが、実は走りでも勝負できるモデルだ。
ヤリス譲りのドライバビリティの良さは大きなセールスポイント。パワーユニットはヤリスハイブリッドと同内容だが、駆動用バッテリーがバイポーラ型に変更されたことで、負荷がかかる高速走行時の余力感が高まっている。

NISSAN ノート/ノート オーラ 価格帯:202万9500〜244万5300円/261万300〜295万7900円

国産プレミアムコンパクトの代表格
上級志向を高めたオーラにも注目

 先代からプレミアム感をセールスポイントとしていたが、現行型は内装質感に加えて、キャビン快適性や走りの質感まで範囲を拡大。電動駆動らしいキレを損なわずに洗練されたドライブフィールやクラストップレベルの静粛性、重質な乗り味など、プレミアムモデル顔負けの走りを特徴にする。また、ワイドボディ化&モーター出力向上により上級感を強めたノートオーラは、大まかなドライブフィールや走りの質感は大きく変わらないが、動力性能や静粛性という強みをさらに向上させている。快適&利便装備の充実やサイズアップしたホイールなどで、ノート以上の上質感を分かりやすく表現している。
オーラは内外装の違いに加えて、e-POWERのパワースペックも異なる。オーラに搭載されるe-POWERの最高出力は100kW。余力感が増したことでロングドライブ適性も高まっている。

HONDA フィット 価格帯:155万7600〜286万6600円

現行型も実用性能を徹底追求
ハイブリッド車の性能向上も見所

 ファミリー&レジャーに使いやすいスモール2BOXが変わらぬ基本コンセプト。代を重ねるごと上級志向が高まっているが、コンパクトカーの本質はしっかりと踏襲され続けている。現行型もクラストップレベルのキャビン容量や多様な積載性を生み出す後席機能を備えている。また、フロントウインドウからの視野拡大と見晴らしがもたらす和みのドライブ感覚も魅力だ。

 ハード面で注目したいのはハイブリッドシステムが上級タイプのe:HEVに変更されたこと。通常時はモーター主体の電動駆動だが、高速走行時はエンジン直動となる。市街地走行から高速走行まで力強さと優れた燃費性能を実感することができる点も見逃せない。
速度変化の激しい状況でもコントロールがしやすいなど、見た目からは想像できないほど走りの質感は高い。独自チューニングでスポーティさに磨きをかけたモデューロXを選ぶのも面白い。

TOYOTA ヤリス 価格帯:139万5000〜252万2000円

走りの魅力を最優先した
新世代コンパクトの雄

 現行型から車名を変更したヴィッツの後継モデル。元々は軽量小型の実用的な2BOX車だったが、現行型はパーソナル&スポーティ志向を強めていることが最大の特徴。実用的なスペースは最低限確保しているが、後半を絞り込んだフォルムや短いリヤオーバーハングなど、後席や荷室の使い勝手を割り切ったパッケージングを採用している。

 さらにパワートレーンも売りの一つ。ビジネス車向けの1ℓ車以外は、TNGA技術が注がれた新世代パワートレーンに一新。1.5ℓ直3のダイナミックフォースエンジンによる力感溢れる動力性能と優れた実用燃費は同車最大のアピールポイントだ。
ガソリン車もハイブリッド車も新世代エンジン「ダイナミックフォース」の1.5ℓユニットを搭載。抜群の燃費性能に加え低中速域から豊かな力感を示す。ガソリン車の燃費も優秀だ。

MAZDA マツダ2 価格帯:145万9150〜267万8500円

パーソナルツアラーとして魅力大!
キャビンの設えも上質だ

 マツダ車の中では最小クラスとなるが、魂動デザインや人馬一体などのマツダ哲学をそのままに感じさせてくれる。キャビンスペースなどユーティリティ面で特記できる部分はないが、車格に対してゆとりのある1.5ℓガソリンエンジンを標準設定とし、クラスでは唯一となるディーゼルターボ車も展開するため、高速や山岳路でも余裕のあるパワートレーンを選ぶことが可能。長距離ツーリング適性も優秀だ。

 ベーシックグレード系はシンプルな内装加飾だが、上級グレードはマツダ上級モデルと同テイストの内装が与えられるなど、他モデルとは違った大人っぽいプレミアム感が楽しめることも特徴の一つ。
看板のディーゼルターボ車は分厚いトルク特性もあって、クラスを感じさせない力強い走りを楽しめる。ガソリン車も含め、切れ味良く素直なハンドリングを持つことも特徴だ。

SUZUKI スイフト/スイフトスポーツ 価格帯:153万5600〜208万7800円/201万7400〜208万8900円

コスパの良さが光る
味のある実用コンパクト

 クラス全体が上級志向とパーソナル志向を強めていることもあり、少々地味な印象を受けてしまうが、経済性と実用性のバランスの良さはクラストップレベル。ライバル勢に比べるとボディサイズは最小クラスだが、巧みなキャビン設計のおかげで後席の圧迫感は少ない。4名乗車を苦にしないバランスの良さが見所。

 標準系のスイフトのベースエンジンは1.2ℓ直3。マイルドハイブリッド車やパラレル式ハイブリッド車も選ぶことができる。スイフトスポーツは高性能モデルという立ち位置で、1.4ℓターボを搭載。いずれも手頃感のある価格設定で、コスパの良さも大きな魅力だ。
良く煮詰められたシャシー&サスのおかげもあって、走りの質感は良好。スイフトスポーツはもちろん、標準仕様のスイフトも癖がなく扱いやすい操縦性を持っている

【チェック1】快適性&乗り心地で選ぶならこいつで決まり!

クラス超えレベルまで高めている、ノート/ノート オーラが一歩リード

 近年のコンパクトモデルにとって内装質感の向上は重要ポイントの一つ。いずれのモデルも頑張っているが、エンジン音の穏やかさや走りの力感といった走りの快適さに関してはハイブリッド車が有利。この勘所をしっかり汲み取った設計を持つノート/ノート オーラが頭ひとつリードしている。

 スイフトは一昔前のスモール2BOXの乗り味、マツダ2はスポーツ性の高さ故か乗り心地の硬さが目立つ。ヤリスハイブリッドとアクアの比較では、常用回転域がアクアの方が低く乗り心地もマイルド。フィットも穏やかな乗り味だが、振動騒音対策は車格相応。ノート/オーラだけが車格超えを狙ったレベルとも言える。

 ノートとオーラは足回りの味付けが異なり、乗り心地はノートに分がある。見た目も含めた車格感はオーラの方が格上だが、穏やかな乗り味を好むならばノートをオススメする。
ノート オーラ
基本レイアウトはノートに準じるが、ラミネートガラスの採用や制振材の適正配置などにより静粛性も向上。質感を高めただけのモデルではないことも見逃せない。
ノート
頭上の余裕や広さを考慮したパッケージに加えて、パネルやトリム類の素材感も申し分なし。ダウンサイザー狙いのモデルらしく、乗員快適性をしっかりと考えている印象。
フィット
グラスエリアを広く取った開放的なキャビン空間は大きな武器。後席もゆとり十分でロングドライブを苦にしない。最上級のリュクスなら上級モデル感も楽しめる。

【チェック2】荷室&ユーティリティで選ぶならこいつで決まり!

ファミリーユースを基本とするフィットが優位だ

 2BOXのコンパクトクラスはタウン&パーソナル目的で選ばれることが多い。時には乗員フル乗車、もしくは大きな荷物を積載するなど、多彩な用途に対応できることも求められる。

 そういった用途を苦手にしているのが、前席優先で設計されているヤリスとマツダ2。サイズの割に頑張っているがスイフトも得意とまではいえない。ヤリスに実用性をプラスしたアクアも、自慢できるほどのキャビンユーティリティではない。

 幅広く使えるという点でベストはフィットだ。初代以来ファミリーユース対応を基本コンセプトとし、使い回しのよさや多人数乗車でも和める居心地が特徴。ノート/オーラも後席はゆったり過ごせるキャビンを持つが、荷室スペースと積載の多様性でフィットと差が付いてしまう。
フィット
床面の面積は他車とさほどの差はないが、バックドアのデザインの工夫などでも積載性と容量を稼いでいる。シート格納もダイブダウン式で床面高は低くフラットにできる。
フィット
後席に座面チップアップ機構を備えることで、室内高をフルに活かした丈のある荷物の収納も可能。ミニバン級とまではいえないものの、多才と呼ぶべき積載性は大きなポイントだ。
ノート
後席格納はシンプルな前倒式のため段差が生じるが、多段ボードを活用することでフラットな床面を実現。普段使いには十分な広さの荷室が確保されている。
ヤリス
荷室スペースは狭いなりにも格納時にはフラット床面にすることが可能。積載性はほどほどだが、最新モデルらしい設計の工夫を感じることができる。

【チェック3】“走りが楽しい”も欲しいならばこいつで決まり!

ツボにハマればノート/ノート オーラ。唯一無二の電動走行感が楽しめる

 ファン・トゥ・ドライブと一言でまとめても実際は嗜好的要素がかなり大きい。操る手応えなら高回転で元気なターボに軽快な操縦性のスイフトスポーツが本命だろうし、ツーリング性を求めるならばマツダ2のディーゼルターボ車が魅力的。良質な動力性能と安心感のある操縦性ならばノート/オーラがまとまりがいい。

 これらの選択肢のなかでイチオシはノート/オーラだ。電動モーターの大トルクと瞬発力。しかもトルク変動やスナッチングを抑えた滑らかさも見事。限界まで安定したコントロール性を維持するハンドリングもクラス超えといっていい。特に4WD車の出来がいい。FR的な荷重移動やサス使いはこのクラスのライバル車では味わい難いものだ。
ノート
モーター駆動特有の俊敏の加速感も魅力だが、フットワークの良さも見逃せない。引き締まったアシを好むならば、ノートオーラNISMOを選ぶのも魅力的だろう。
スイフトスポーツ
秀逸な足回りと軽量ボディ、さらに気持ち良い吹き上がりを楽しめるターボを組み合わせることで、軽快な走りを実現。クルマを操る喜びを体感できる稀有な1台だ。

【チェック4】ロングドライブ&燃費で選ぶならこいつで決まり!

ヤリスとアクアのトヨタ2モデルが圧倒的な強さを見せる

 燃費を評価項目に加えた高速長距離においては、ガソリン/ハイブリッドともにトヨタの2車がリードする。

 ヤリスの1.5ℓガソリン車は他社のハイブリッド車に迫る実用燃費を示し、高速巡航時の余力感とドライバビリティも良好。内燃機系のライバルとしてはマツダ2のディーゼルターボ車が挙げられるが、燃料単価と余力感はアドバンテージがあるが、総合力はヤリスが上だろう。

 ハイブリッド車での比較だと、高速操安性と乗り心地の質感でノートが優れるが、実用燃費はヤリスとアクアが圧倒的に強い。トヨタ2車の高速操安性も良好な上に、ノート/オーラは運転支援機能がOPということや、燃費差まで考えるとヤリスとアクアに軍配が上がる。

 ヤリスとアクアの優劣に関しては、操縦性の落ち着き感とACCの制御の差、エンジン稼働時の回転数の低さからアクアをオススメしたい。
アクア
ヤリス譲りの最新ハイブリッドやシャシー性能に加えて、ACCなども最新制御を採用。開発年次が新しい分だけ、ヤリスより秀出ている部分が目立つ印象だ。
ヤリス
ハイブリッド車はもちろん、ガソリン車の燃費性能も圧倒的。秀逸なシャシー性能とサスチューンのおかげで高速走行時の安定性も極めて優秀。
マツダ
引き締めたサスチューンが印象的。高速走行時の安定性に優れており、ロングドライブを苦にしない。1.5ℓ車で十分だが、ディーゼルターボ車は力感がさらに高まる。

【チェック5】買い得感やコスパで選ぶならこいつで決まり!

装備機能が充実するフィットが一番手! アクアも大いに魅力的な1台といえる

 安全&運転支援の必須装備になりつつあるACCとLKAの標準装着最廉価モデルで比較すると、ヤリスが159万8000円、アクアが198万円、フィットは155万7600円、マツダ2は174万8500円、スイフトは154万円。ノートは218万6800円の最上級グレードでもプロパイロットはパッケージOP設定で、装備揃えにすると少なくとも260万円くらいはかかってしまう。これを基準に評価すると、実用性重視ならばフィットの強さぶりが引き立つ。ガソリン車は少々非力だが、コンパクトクラスの本質を上手にまとめたモデルがバランスの良く狙えるため、万人にオススメできる。

 またアクアも価格と性能のバランスが良い。分かりやすい飛び道具があるモデルではないが、実用コンパクトとして便利な機能や装備が揃っており、比較的安価に狙うことができる。プレミアム感は控えめだが、弱点らしき弱点がないことも大きな強みに感じる。

 走りの手応えも求める向きには、MT車も選べるスイフトスポーツとマツダ2、小さな高級車的な視点も含むなら、マツダ2とノートも侮れない。このクラスにも個性を求めるユーザーには価格以上の満足度を得られるはずだ。

TOYOTA アクア

ハイブリッド車狙いなら
外せない1台

 ハイブリッド専用モデルのため、ライバルモデルよりもスタート価格帯は高くなるが、性能&機能に優れることもあってコスパは優秀。ハイブリッド車狙いのユーザーにとっては、外せない基準器モデルといえる。

NISSAN ノート/ノート オーラ

プロパイロットが
OP装備というのが残念

 目玉装備のプロパイロットがOPでしか選べないのはいただけないが、クラス超えレベルの力強い動力性能やキャビン快適性&内装質感は、他のモデルにはない武器だろう。価格には少し割高感も感じるが、選んで損はない。

MAZDA マツダ2

走りに加えて
プレミアムキャラでも勝負

 クラス唯一のディーゼルターボ車や上級モデル顔負けのキャビン空間など、独自の魅力を楽しめる1台。走り優先というユーザーならば第一の選択肢になるはずだ。ただし、頻繁に改良を実施するので買い時が難しいのが難点。

TOYOTA ヤリス

後席&積載性を気にしないなら
オススメできる

 ガソリン車/ハイブリッド車ともに抜群の燃費性能を誇る。走りの質感もクラストップレベルという強みも魅力。後席快適性やユーティリティがほどほどでOKならば、有力な選択肢になり得るモデルだ。

HONDA フィット

実用コンパクトを求めるなら
最有力モデル

 コンパクトカーの本質を上手に追求した王道モデル。ガソリン車こそ性能面に弱さを感じるが、ハイブリッド車はクラストップレベルの性能を誇る。装備面も含めてコスパに優れる優等生モデルだ。

SUZUKI スイフト/スイフトスポーツ

便利に使える
コスパ優等生モデル

 スイフトスポーツの存在があるため、走り屋御用達と思われがちだが、本質は実用面に優れる経済的なコンパクトモデル。コスパや買い得感はすこぶる良好なので、チェックする価値は大いにあるだろう。
内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。現在は新車スクープ/新車アルバム/購入時の値引き情報という3企画が柱。とくに約30年間続く「X氏の値引きにチャレンジ」はユーザーがプロのアドバイスを受けながら新車購入交渉を行うというリアルさがうけて、現在でも人気の企画。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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