新型車比較・ライバル車対決
更新日:2021.08.21 / 掲載日:2021.08.06
新型アクア vs 従来型アクア【新旧対決】

華やかさは控えめながらも、実のある進化を果たした新型アクア。実用車として大きく飛躍したことにより、ライバル勢との比較が気になる人も多いはずだ。各モデルの気になるポイントを中心に違いを確認してみよう。
TOYOTA 新型アクア

価格帯:198万~259万8000円
最新装備&機能を武器に超激戦区に殴り込み

ヤリス譲りの走りに加えて、コンパクトクラスに求められる実用性能も巧みに融合。スタイルこそ従来型のキープコンセプト路線だが、中身に関しては想像以上の進化を果たしている。控えめな風貌からは想像できないほどの高い性能が詰まったモデルだ。
TOYOTA 従来型アクア

10年近く売れ続けた偉大なるベストセラー

従来型アクアが登場したのは2011年。国内はもちろん海外でも高く評価されており、10年間で約187万台(グローバル実績)という販売実績を残した、屈指のベストセラーモデルだ。

ほぼ10年ぶりのフルモデルチェンジ。性能&機能差は想像以上
最新設計の強さは歴然、あらゆる部分に実力差あり
従来型アクアの開発の要点の一つが、THS IIをコンパクトカーへ搭載するための小型化とコストダウンだった。スペックだけを見ると2代目プリウス用ユニットの改良型と思われていたが、実際はほとんどのユニットが新規開発されており、このアクア用が開発されたことで、ヴィッツやカローラにもハイブリッド車がラインナップされるようになったのだ。 もう一つの特徴は、高速長距離用途への対応。当時のコンパクトクラスはタウンユース優先というモデルが多かったのだが、従来型は上級クラスからのダウンサイザーも意識して開発。空気抵抗減と実用性を両立するためのスタイリングだけでなく、サスチューニングも高速域での安定性を重視した設定を採用していた。 さらに燃費も従来型はWLTC総合モード燃費で27.2km/L(G)と首位争いはできないにしても、現行のノートやフィットと比較しても遜色ない内容だ。 新型との大きな違いは設計年次による基本性能のレベル。従来型は登場から10年も経っているため、数度の改良を受けたとはいえ設計の古さは否めない。特に従来型の安全&運転支援機能は、トヨタセーフティセンスを名乗りつつも、市街地走行での衝突回避や車線逸脱警報などに留まる。設定された当時はともかく、今の水準からすれば必要最小限レベルでしかなく、特に高速走行で重宝される運転支援機能の不足は、アクアのコンセプトからして大きなウイークポイントになっている。 一方で新型は停止までサポートする全車速型を採用。LKAがレーダーによる前走車追従ライン制御も行う高機能型、衝突回避機能も対応状況が大幅に拡大し、駐車や狭路の取り回し支援機能も充実。タウン&ツーリングの両面で安全&運転支援機能は大幅に向上している。しかも、最新のトヨタセーフティセンスが全グレードに標準装備される。 この他にもディスプレイオーディオを中心に展開する車載ITの充実や、乗降性向上機能を備えたシートの設定など、時代を捉えた実践力の高い実用装備も充実している。もはや比べるのも可哀想なほどの差があるのだ。 安全&運転支援装備の進化だけでも乗り換えを決断してもいいくらいだが、10年の進化を実感させる装備や肌身感覚の親切機能、20%前後も改善された燃費性能、走りの質感や快適性の向上も大きい。 乗り換えには少し早いかな、というタイミングだとしても、検討するだけのメリットがあるだろう。
パワートレーン/共に1.5Lエンジンがベースだが、その差は歴然
新型アクア
同じ1.5Lハイブリッドだが、新型はTNGA技術が注入された最新仕様にアップデート。ドライブの質を高める「快感ペダル」など最新機能も追加されている。
従来型アクア
従来型アクアのパワーユニットは1.5Lがベース。世代としては一世代以上前になるが、74PS/11.3kg・m(エンジン)、45kW/169Nm(モーター)と相応の実力を持つ。
安全&運転支援機能/最新機能を惜しみなく投入。クラストップレベルに大強化
新型アクア

レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付) ※図版はヤリスクロス
渋滞時の停止保持機能も搭載、プリクラッシュブレーキやACC、LTAなどはトヨタ最新といってもいい充実の内容となっている。
従来型アクア

数回実施した改良時に手直しはされたものの、安全機能はプリクラッシュブレーキが中心。最後まで運転支援機能はアップデートされなかった。
●文:川島 茂夫/月刊自家用車編集部