新型車比較・ライバル車対決
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2017.12.01
ステップワゴンスパーダハイブリッド vs ヴォクシーハイブリッドシリーズ
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HONDA ステップワゴンスパーダハイブリッド
●価格帯:330万480~355万9680円
●販売店:ホンダカーズ店 -
TOYOTA ヴォクシーハイブリッド/ノアハイブリッド/エスクァイアハイブリッド
●価格帯:301万4280~326万9160円
●販売店:ネッツ店/カローラ店/トヨタ店、トヨペット店
ともに必要条件はクリア。ユーザーとの相性がカギ
興味のポイントはやはりハイブリッドシステムだ。ヴォクシー系は動力分割機構を用いたスプリット式のTHS II。スパーダはエンジンを発電機として使い電動モーターで駆動するシリーズ式をベースに高速巡航用エンジン直動機構を備えたi‐MMD。機構がまったく異なっている。
一方、運転感覚は、システムからすればスパーダはアクセル操作と無関係にエンジンが稼働している感じが出やすいはずだが、実際にはヴォクシー以上に加減速とエンジン稼働が連携しているような特性だ。THS IIの方が積極的にエンジンを使う必要があり、味付けできる部分が少ないとも言える。実際に感じる余力感は別物で、好みの問題もあるが同じハイブリッドでも評価が分かれる部分だ。
運転支援機能の評価も欠かせない。ホンダセンシングとトヨタセーフティセンスCの対決だが、ホンダセンシングは上位のトヨタセーフティセンスPに相当する機能を採用。衝突回避機能でもホンダは一歩リードし、運転支援機能はヴォクシーの大きなハンデとなっている。ちなみにホンダはN‐BOXにもホンダセンシングを採用し、次世代安全&運転支援装備の積極的普及を図っている。
2L級1BOX型はユーティリティや多用途性が最大のセールスポイント。両モデルとも低床設計による広々した室内が特徴だが、機能の考え方が異なっている。ヴォクシーは伝統的定番車らしく手堅い設計。サードシートは左右分割跳ね上げ方式を採用し、同タイプとしては最も楽に格納が可能。スパーダは反転床下格納で、格納時の荷室形状がすっきりしている。また、スパーダのテールゲートには横開き式ドアが装備され、状況に応じて使い分けられる。
1BOX型の常連ユーザーにはヴォクシーが、ワゴン型から移行したユーザーにはスパーダが馴染みやすいなど、経験や必要条件によってどちらがいいかは断言しがたい。新しい楽しみを求めるならスパーダのほうが可能性を感じるものの、ユーザーが創意工夫を凝らせばこそ活きるタイプ。素のままの比較では一長一短である。
ともに同クラスの定番車であり、クラス/カテゴリーに求められる要件は外さない。運転支援を除けばユーザーの現実との相性が重要になるが、多少の差はあっても現実的には大同小異。それだけに“得意技”の部分をどう評価するのかが選び分けでは重要だ。
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ヴォクシーの落ち着きも魅力だが、余力が感じられるのはスパーダ
直動機構が作動する高速域ではエンジン回転数は速度に比例。ヴォクシーは加減速での回転変動が頻繁なので、ステップワゴンのほうがひとクラス上の余力感がある。低中速域でも電動特有の応答性を活かし、加速が小気味いい。全開加速性能にそれほど大きな違いはなく、定員乗車の重量増も同じなのだが、ちょっとした力感の演出がスパーダは巧みである。フットワークの定員乗車対応はヴォクシーが上手い。どちらかというと後輪荷重が大きいほうが落ち着きがある。スパーダも悪くないが、ちょっと重さ負けの感もある。
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現代的なスパーダに対してヴォクシーは時代遅れ感が…
ヴォクシーは歩行者対応型AEBSや車線逸脱警報を採用しているが、急速に進む安全&運転支援機能の現状と比較すると遅れは否めない。もはや必要最低限レベルと言ってもいい。スパーダはそうした機能に加えて標識認識や歩行者との衝突回避操舵支援、半自動操舵型LKA、全車速型ACCを採用。走行状況とシステム作動状況のチェックは欠かせないにしても、LKAとACCは高速長距離ドライブの運転疲労軽減に効果大。エンジンの余力とか操安性の違い以上に影響が大きく、今後一般化する機能だけに、ヴォクシーは厳しい。

スパーダハイブリッドはホンダセンシングを標準装備。図の路外逸脱抑制機能を始め、操舵支援を活用した多彩な機能を備えている。



上から誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、渋滞追従機能付きACC。操舵支援は高速道路以外にも活用される。
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【CHECK! 居住性】 1~3列目くつろぎ対決 ~楽で疲れないのはどっち?~
1~2列目は同等だが、3列目の寛ぎ感に差が
シート造りの上手さはヴォクシーが勝る。スパーダの方が腰やお尻の据わりが甘い。動きやすいシートとも言えるが、コーナリングや減速時に身体がズレやすい。ただ、1~2列目ではそれほど大きな差はなく、違いが大きいのはサードシート。両車ともセカンドシートに比べると形状が平板でクッションは薄く、収納スペース減の造り。それでもヴォクシーは座面/バックレストも適度な密着感があり、収まりも悪くない。スパーダは密着感が薄く、ひと回り小さなシートのような座り心地。寛ぎならヴォクシーだ。
スパーダハイブリッド/8人乗りの設定はなく、両側アームレスト付き2列目独立シートの7人乗りのみ。両側パワースライドドアを標準装備する。
ヴォクシーハイブリッド/ヴォクシーもハイブリッド車は7人乗りのみ。2列目キャプテンシートはロングスライド&横スライドでシートアレンジが可能。
スパーダハイブリッド/トリプルゾーンフルオートエアコンが付くのはG・EXホンダセンシングのみ。同時に、運転席&助手席シートヒーターも装備。
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【CHECK! ユーティリティ】 荷室&積載対決 ~レジャーやショッピングに強いのは?~
ともに優秀だが、普段の使い勝手ならスパーダ
ヴォクシーのサードシートは跳ね上げ式としては圧倒的に省スペース。ただ、スパーダと比較すると見た目の「いかにも感」が気になる。床下格納のスパーダはハナからサードシートがないような見栄え。積載性に大きな違いはないが、4名乗車や日常用途に似合うのはスパーダだ。また、横開きドアは狭い場所での荷積みにも便利。ちなみにセカンドベンチ仕様では、最大荷室容量は座面チップアップ可能なヴォクシーが若干広め。ただし、積載物の形状に対する相性があるので、使い方次第で積みやすさも変わってしまう。
スパーダハイブリッド/3列目シートは床下に格納。部分的に横開きできるわくわくゲートにより、イージーにアクセスできる。
スパーダハイブリッド
スパーダハイブリッド
ヴォクシーハイブリッド/3列目シートは左右跳ね上げ式だが、アシスト機構を備えているため操作は軽い。床下収納は大容量。
ヴォクシーハイブリッド
ヴォクシーハイブリッド
ヴォクシーハイブリッド/3列目シート格納時に外したヘッドレストは荷室サイドにセットする。
【CHECK! ユーティリティ】 判定=スパーダハイブリッドが「買い!」
【結論】実力伯仲、運転支援機能を決め手にスパーダを薦める
実用動力性能ではスパーダ、最大積載ではヴォクシーなど、モノサシの当て方次第で優劣も変わってくる。走行性能一般や実用性では甲乙付け難い、あるいは僅差でスパーダというレベル。しかし、薦めるのはスパーダだ。運転支援機能はクルマの基本機能と考えてよく、そこでヴォクシーは大差を付けられてしまう。ACCも半自動操舵LKAも一度使えば手放せなくほど運転に影響する。3グレード設定されるが、駐車支援や周辺モニターも含めた機能装備も拡張性と価格のバランスでは中間設定グレードを薦める。
【これが「買い!」】 HONDA ステップワゴンスパーダハイブリッド G・ホンダセンシング

ステップワゴンスパーダハイブリッド G・ホンダセンシング=335万160円