新型車比較・ライバル車対決
更新日:2025.06.27 / 掲載日:2025.06.27
新型フォレスターライバル対決《RAV4/エクストレイルほか》
ミドルSUVは、国産車全体で見ても実力モデルが数多く揃っている激戦カテゴリー。設計年次が古いモデルも混ざってくるが、基本的にどれを選んでもハズレなしだ。ここでは新型フォレスターのターボ車&S:HEVを基準に価格が近い有力モデルをピックアップ。それぞれの魅力を探ってみるぞ。
●文:川島茂夫 ●写真:月刊自家用車編集部
新型フォレスター[実力派ミドルSUV対決]vs RAV4/ハリアー/エクストレイル/CX-60/ZR-V
SUBARU 新型フォレスター
●404万8000〜459万8000円



ライバルは個性派揃い。一長一短だが魅力満点
他メーカーのライバルになるのは、全長が4550〜4750㎜前後のミドルSUVたちだ。今回ピックアップした5つのモデルは、いずれも後席を含めて居住性が快適で、荷室も十分に確保されている。駆動方式をフォレスターと同じ4WDで選ぶと、おおよその価格帯は350〜500万円になる。
まずフォレスターのライバルとしてはRAV4が挙げられる。ガソリン車とハイブリッド車が選べるが、フォレスターのターボ車の相手ならば、2ℓ直4NAエンジンを搭載するガソリン車になる。フォレスターの1.8ℓターボに比べると動力性能は控えめだが、ガソリン車のアドベンチャー(371万3600円)には後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させるトルクベクタリング機能が標準装備される。この機能によりカーブを曲がる時は外側の後輪に高い駆動力を配分することができるため、悪路でも舗装路でも安定した走りを披露してくれる。
内外装の仕立てもRV風で、ランドクルーザーのような悪路向けのSUVに似た雰囲気がある。モデル末期とはいえ、レジャーユースを想定しているユーザーにとっては、まだまだしっくりとくる存在だろう。
RAV4と基本部分を共通化しているハリアーもライバルと目される一台。内外装のイメージは街中で映えるタイプで、シートには合成皮革が使われるなどプレミアムキャラを狙っていることがRAV4との大きな違い。
パワートレーンの構成はRAV4と同じだが、ハリアーはサスチューンを変更することで快適な乗り心地を武器とするSUVに仕上げている。見た目のイメージも走りの味も、ハリアーはフォレスターよりも都会的なモデルだ。
ハリアーの人気グレードはZ・4WD(423万8000円)で、12.3インチのディスプレイオーディオや19インチアルミホイールなどが備わっているが、メカニズムの設計年次の違いや、価格を見るとフォレスターの方がお買い得だ。
CX‐60もフォレスターのライバルになりうる。充実装備を売りとする買い得グレードは、後輪駆動をベースにしたプラットフォームに、3.3ℓ直6クリーンディーゼルターボを搭載するXD・Lパッケージ・4WD(444万9500円)だ。価格はフォレスターのスポーツEXよりも約26万円高くなるが、内外装は上質な仕立てになるほか、ディーゼルエンジンは4.5ℓガソリン車に相当する駆動力を実用回転域で発揮してくれる。WLTCモード燃費は18.4㎞/ℓで、軽油価格はレギュラーガソリンよりも1ℓ当たり約20円は安いから、燃料代はフォレスターに比べて約35%も節約できる。
走りの印象を比べると、フォレスターは街中で運転しやすく峠道の走りも軽快というタイプ。CX‐60は高速道路を長時間にわたってツーリングを楽しむ使い方に適している。
実はエクストレイルがS:HEVのライバル筆頭
フォレスターのS:HEVのライバルとしては、エクストレイルは外せない。パワーユニットはシリーズ式ハイブリッドのe‐POWERで、圧縮比を変化させる機能を備えた1.5ℓ直3ターボが発電を行い、発生した電気でモーターを駆動させる。モーター駆動はエンジン駆動と比べるとアクセル操作に対する反応が機敏なため、体感できる動力性能はフォレスター以上に力強い。
買い得グレードのX・e‐4ORCE(414万400円)は、後輪をモーターで駆動させる電動4WDを採用しており、車両の進行方向を積極的に内側へ向けやすい優れたハンドリング性能を持つ。フォレスターの4WDシステムは、プロペラシャフトを使って駆動力を後輪に伝えるタイプなので、運転感覚がかなり違う。内燃機車特有の自然な運転感覚を好むユーザーにはフォレスターがオススメだが、モーター駆動と高度な駆動制御がもたらすキビキビとした走りを好む向きには、エクストレイルは最有力候補になるだろう。
価格が近いハイブリッドモデルならば、ZR‐Vのe:HEVもライバルだ。e:HEVは、通常時は2ℓ直4エンジンが発電を行ってモーターを駆動するが、高速巡航時はエンジンが直接駆動することで効率を高める制御を行うため、フォレスターS:HEVにかなり近い。動力性能もフォレスターに近く、過不足のない性能で車両との一体感を味わえるし、ステアリング性能も操作に対する車両の反応が正確で、操舵角に応じて進行方向を正確に変えてくれる。それでいて後輪の接地性も高く、4WDもプロペラシャフトを使って駆動力を後輪へ伝えるタイプなので、運転感覚も自然だ。あえて違いを挙げるならば、ZR‐Vはオンロードを強く意識した設計で、フォレスターほど悪路もこなせるタイプではない。
ZR‐Vのオススメグレードは、本革シートやBoseプレミアムサウンドシステムなどが標準装備となる、e:HEV Z・4WD(437万9100円)だ。
TOYOTA RAV4
●価格:323万7300円〜566万1700円

モデル末期ながらその魅力はまだまだ健在
2019年に登場した現行モデルは、新世代のTNGA-Kプラットフォームを採用することで高いボディ剛性と低重心化を実現。オンロードでも優れた操縦安定性や快適な乗り心地を実感できるモデルに仕立てられている。
パワートレーンは、2ℓ直4NAと、2.5ℓハイブリッド、外部充電にも対応した2.5ℓプラグインハイブリッドを設定。2024年末の最新改良でFFが廃止され、全グレード4WDに変更されている。


TOYOTA ハリアー
●価格:312万8000円〜620万円

弱点らしい弱点がない国産屈指のプレミアムSUV
ハリアーは、RAV4と多くのコンポーネンツを共有するが、トヨタ自身がその独自の世界観を表現するために「ハリアーネス」という言葉を用いるなど、国産車屈指のプレミアムキャラを武器にするSUV。上級グレードの本革仕様ともなると、1クラス上とも戦える内容を持つ。
パワートレーンはRAV4と同じだが、サスチューンは乗り心地重視のオンロード仕様で差別化。流麗なフォルムながら、実用的な荷室が確保されることもポイントだ。


NISSAN エクストレイル
●価格:360万1400円〜475万2000円

走りも実用性もトップクラス。最有力ライバルと呼ぶべき実力派
日産独自の電動化戦略を柱に開発されたミドルSUV。海外では内燃機モデル中心のラインナップだが、国内向けは全グレードがe-POWER専用モデルになる。
FFも選べるが、主力はBEVのアリア譲りとなる最新4WD「e-4ORCE」モデル。走行時に全輪の駆動力配分を積極的に制御することで、安定した走りを披露してくれる。広いキャビン荷室やプロパイロットの採用など、実用目線ではフォレスターとキャラが近い有力ライバルになる。


MAZDA CX-60
●価格:326万7000円〜646万2500円

オンロード性能を重視したFRベースのミドルSUV
2022年に発売した、FRレイアウトを採用するミドルSUV。全長は4740㎜、ホイールベースは2870㎜とフォレスターよりもやや大柄なモデルとなる。
パワートレーンは2.5ℓ直4NAと3.3ℓ直6ディーゼルターボ、ディーゼルベースのマイルドハイブリッド、ガソリンベースのプラグインハイブリッドの4タイプを設定。2025年の改良で足回りのチューニングを実施するなど、マツダらしい走り自慢のSUVに仕上げられている。


HONDA ZR-V
●価格:320万8700円〜450万6700円

見た目はスポーティだが中身は使い勝手が良い実用SUV
2023年に登場したCR-Vの実質的な後継モデル。シビック系プラットフォームから開発された経緯もあって、見た目以上にキャビン実用性を配慮したパッケージを持つ。
パワートレーンは1.5ℓターボと2ℓのe:HEVの2タイプを用意。e:HEVはシリーズ制御を基本とし、高速巡航時のみパラレル制御となるのが特徴で、4WDは電子制御型の機械式を採用する。走りはオンロード志向を意識しており、ターボもe:HEVも優れた動力性能を発揮する。



ライタープロフィール
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。