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更新日:2022.04.02 / 掲載日:2022.04.01

発売秒読みラージプラットフォームでマツダは何を狙うのか【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】

文●池田直渡

 マツダのラージプラットフォーム第一弾となる「CX-60」は、すでに欧州で発表され、国内発売も秒読み段階にある。

 さて、このラージプラットフォームでマツダは一体何をしようとしているのか?

 ズバリ、その狙いは北米マーケットである。2008年のリーマンショックからの回復を見て、マツダはアメリカの底力を強く信頼した。中国は確かに大きな成長マーケットであるが、難しいことが多々ある。詳細に触れ始めると脱線してしまうので、ここではマツダは、第一目標をアメリカに置いたということだけ理解できれば良い。だからトヨタと共同でアラバマ工場を立ち上げたのである。

 マツダが今後、アメリカで勝負するには、どうしても6気筒ユニットが欲しい。少々極端な言い方をすれば、かの国では4気筒は日本で言う軽自動車の様な位置づけで、いまだに車名別のベストセラーがV8エンジン搭載のピックアップトラックという国である。従来、過給4気筒で戦ってきたマツダだが、本気でアメリカでの高付加価値販売を達成しようとすれば6気筒が無ければ勝負にならない。

 マツダは第6世代以来、プラットフォームもエンジンもスーパーコンピューターのシミュレーションを用いたモデルベース開発に注力してきており、直列4気筒で積み重ねてきた基礎研究を反映して6気筒を設計するなら、吸気から燃焼にいたる解析でデータを共用できないV6はありえない。となれば自動的に直6を選ぶしかない。

 そしてその直6を搭載するクルマは、横置きFFではいかにも苦しい。過去に前例がないわけではないが、フロントサスペンションとエンジンが干渉して、サスペンションの十分なアーム長が取れない。走りを重視するマツダにとってはその選択肢はあり得ない。

 となれば自ずとレイアウトは決まってくる。直6を縦置きにしたFRシャシー。それがマツダがアメリカでひとつステージを上げて戦うためのシステム構成となるわけだ。

 これによって、第7世代のラインナップは、下半分を横置き4気筒とフロントストラット&リアトーションビームのスモールプラットフォーム群。そして上半分は、縦置き直6FRシャシーという住み分けになったのである。

 ラージのメカニズムを予想すれば、普通に考えてフロントのサスペンションはエンジン左右に空いたスペースを活かして、ダブルウィッシュボーンが採用されるだろうし、リアに関しては第6世代で培った技術を活かしたマルチリンクになるだろう。

 さて、こうした長期事業計画をじっくりと推し進めてきたマツダだが、今、その計画に誤算が生じている。マツダはマツダ2/CX-3とマツダ3/CX-30をスモールに割り振り、CX-5から上はラージに移行する予定だった。ところがそのCX-5は、マツダが6.5世代と呼ぶ、退役予定のシャシーを使う横置きFFベースでありながら、現在マツダのグローバル販売台数の1/3をカバーする売れ行きである。

 本来の計画であれば、CX-5はラージプラットフォームに移行されて、ラージのボトムエンドを受け持つ計画だったのだが、こんなに売れているモデルを駆動方式が変わるフルモデルチェンジに巻き込むのはあまりにもリスクが高い。下手を打てば会社の存続に関わる。そして実際に乗ってみても、CX-5の仕上がりは極めてレベルが高く、さすがマーケットのモノを見る目は確かだと言う他ない。

 しかもその好調を背景に、北米向けにCX-5の派生車種であるCX-50をデビューさせた。これがヒットすれば、本来生産を終了して、FRへスイッチするはずだったCX-5/50が更に存在感を増すことになってしまうだろう。

 退役予定のクルマが売れて売れて、事業計画が思う様に進められない。それが目下のマツダの最大の悩みである。だったらCX-5は横置きFFのまま第7世代に移行すればいいじゃないかと思うかも知れないが、CX-60の上にはCX-70、CX-80、CX-90のデビューがすでに予告されており、流石に密度が高すぎて住み分けが難しくなることが予想される。

2022年3月にワールドプレミアされたCX-60 PHEV(欧州仕様)

 そして何よりもマツダには、ラージとスモール以外にミドルのプラットフォームを持つだけのリソースの余裕がある様には見えない。

 マツダには本当に気の毒だが、マツダは売れる時も売れない時も、想定外になりがちだ。初代ロードスターがあんなに売れるとはマツダの人たちは全く考えていなかったし、当時売れるはずだったファミリア・ネオは鳴かず飛ばず。長期計画を着々と進め、その考え方は聞いている限りきちんと理に適っているのだが、マーケットが笛を吹いた通りに踊ってくれない。

 さて、いくら第6世代を退場させたい計画だとしても、まさか1/3も売れているクルマは止められない。マツダとしては今回デビューするCX-60がそのCX-5/50からの乗り換え車種としてどの程度選ばれるかが、計画の行方を決めることになる。CX-60がその重責を担えるかどうかがまさに試されることになるのである。

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池田直渡(いけだ なおと)

ライタープロフィール

池田直渡(いけだ なおと)

1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(『カー・マガジン』『オートメンテナンス』『オートカー・ジャパン』)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。

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1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(『カー・マガジン』『オートメンテナンス』『オートカー・ジャパン』)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。

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