車の最新技術
更新日:2021.11.15 / 掲載日:2021.11.15

川崎重工、スバル、トヨタ、マツダ、ヤマハが共同記者会見

 川崎重工業株式会社、株式会社SUBARU、トヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、ヤマハ発動機株式会社の5社は11月13日、共同記者会見を開き、バイオ燃料や水素など、燃料の選択肢を広げる内燃機関の開発・運用の取り組みにおいて協働することを発表した。
 5社は「強みを持ち寄り、連携を深めて業界を超えた仲間づくりを推進」し、カーボンニュートラル実現を目指す。まずは11月13日・14日に行われる「スーパー耐久レース in 岡山」(3時間レース)において取り組みが開始される。

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SUBARU、トヨタ、マツダがカーボンニュートラル燃料を使用し、スーパー耐久シリーズに参戦

燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢を広げる3つの取り組み
燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢を広げる3つの取り組み

 具体的には、燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢をさらに広げるため、以下の3つに取り組む。
①カーボンニュートラル燃料を活用したレースへの参戦
②二輪車等での水素エンジン活用の検討
③水素エンジンでのレース参戦継続

 内燃機関と組み合わせた燃料の「つくる」「はこぶ」「つかう」の連携を5社で進め、電動化への取り組みに加えて、カーボンニュートラル実現を目指していく。

1.カーボンニュートラル燃料を活用したレースへの参戦

MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO
MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO

次世代バイオディーゼル燃料を使用するSKYACTIV-D1.5でレースに挑戦(マツダ)
 マツダは、カーボンニュートラル実現のため、ユーザーにさまざまな選択肢を提供することを重要視する。従来のHEVモデルやディーゼルエンジンモデル、BEVモデルだけでなく、今後はPHEVモデルを投入し、パワートレインのラインアップを拡大し、またバイオ燃料に代表される再生可能燃料への取り組みを行う。
 マツダは、株式会社ユーグレナから供給を受ける100%バイオ由来のディーゼル燃料を使用するSKYACTIV-D 1.5(ディーゼルエンジン)を搭載した「MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO」で「スーパー耐久レース in 岡山」のST-Qクラスに参戦する。今後もさまざまな実証実験を行い、次世代バイオディーゼル燃料の普及拡大を目指していく。

バイオマス由来の合成燃料を使用し、来年のスーパー耐久シリーズに挑戦(SUBARU、トヨタ)
 SUBARUとトヨタは、2022年年央に世界各地での発売を予定している両社共同開発によるBEV、SUBARU「SOLTERRA(ソルテラ)」とトヨタ「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」など、電動化を進めている。今回、新たな選択肢を検討するため、2022年シーズンのスーパー耐久シリーズのST-Qクラスに、バイオマスを由来とした合成燃料を使用する新たな車両を投入し、実証実験を行う。使用されるベース車両は、SUBARUは「SUBARU BRZ」、トヨタは「GR86」となる。各社は協調するとともに、レースの場では競い合うことで技術開発のスピードを上げることを目指す。

2.二輪車等での水素エンジン活用の検討

水素エンジン開発の共同研究の可能性について検討を開始(川崎重工、ヤマハ発動機)
 川崎重工は、2010年から水素に着目し、必要なサプライチェーン全体(「つくる」「はこぶ」「つかう」)にわたる技術開発を進めてきた。現在、オーストラリアの褐炭からつくった大量の安価な水素を日本へ「はこぶ」ための実証試験を開始し、2021年度中には川崎重工が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」による水素の輸送を予定している。また「つかう」では、2018年に世界で初めて成功した市街地での水素100%を燃料とするガスタービン発電技術で培った水素燃焼技術をベースに、航空機用、船舶用、二輪車用といった陸・海・空のモビリティ向け水素燃料エンジンの開発を進めている。

 ヤマハ発動機は、二輪車やROV(四輪バギー)等、自社製品への搭載を視野に入れた水素エンジンの技術開発を行う。その開発を加速させるため、新規の設備導入の準備と、開発体制の強化を進めていくという。

 今回、川崎重工とヤマハ発動機は、二輪車への搭載を視野に入れた水素エンジンの共同研究について検討を開始した。さらに今後は、本田技研工業株式会社、スズキ株式会社が加わり、4社で二輪車における内燃機関活用の実現を探っていく。協調と競争を分けるため、協調する領域と協働研究の枠組みを明確にした上で進められる。

3.水素エンジンでのレース参戦継続

水素エンジン車両「SUZUKA S耐」での様子
水素エンジン車両「SUZUKA S耐」での様子

水素エンジン車両の「スーパー耐久レース in 岡山」への参戦(トヨタ、ヤマハ発動機)
 トヨタは、2016年からヤマハ発動機、株式会社デンソー(以下、デンソー)ほか関係者と共に、水素エンジンの開発に取り組んできた※1。そしてこれまで、開発中の水素エンジンを搭載した車両を「富士SUPER TEC 24時間レース」、「スーパー耐久レース in オートポリス」、「SUZUKA S耐」の3戦に投入し、水素を活用する取り組みを行ってきた。「スーパー耐久レース in 岡山」でも、引き続き「ORC ROOKIE Racing」の参戦車両として投入し、トヨタの代表取締役である豊田章男氏がドライバー「モリゾウ」としてレースに参戦する。

※1 ヤマハ発動機、デンソーの水素エンジン開発の取り組み
・ヤマハ発動機は、エンジンの試作・燃焼検討・出力性能向上検討やレースでの適合・耐久試験のサポートに加え、一部エンジン部品の設計を担当
・デンソーは、直噴インジェクター・点火プラグの開発を担当

1)「つくる」の挑戦

福岡市 水素製造設備
福岡市 水素製造設備

 過去3戦で水素の供給を受けた企業・自治体に加え、新たに福岡市と連携。水素を「つくる」新たな挑戦として、福岡市が製造する下水バイオガス由来水素を水素エンジンに供給する。福岡市は2015年から、市民の生活排水である下水から水素を作り実用化する世界初の取り組みを行っている。福岡市中部水処理センターで、下水処理をする際に発生するバイオガスから、CO2を増やさないグリーン水素を製造というもの。その1日あたりの水素製造能力は、トヨタの水素自動車「MIRAI」約60台分(1台あたり55Nm3として換算)となる。FCトラックやFCバイク、FC電源車にグリーン水素を供給するなど、企業とともに実証実験を実施する。

大林組地熱発電由来水素
トヨタ自動車九州太陽光発電由来水素
福岡市下水バイオガス由来水素
福島県浪江町(FH2R)太陽光発電由来水素
今回水素を供給する企業・自治体と水素の種類

2)「はこぶ」の挑戦

FC小型トラック 水素タンク
FC小型トラック 水素タンク

 今回は、株式会社ユーグレナの次世代バイオ燃料をトヨタ輸送の大型・中型トラックに使用し、水素を運搬する取り組みを行う。トヨタと「Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)」が連携し、FC小型トラックでの運搬効率の課題解決に向けて検討を開始する。燃料の運搬においては、「SUZUKA S耐」で出てきた以下2つの課題がある。

課題1 運搬用の金属タンクが重く、小型トラックに積める本数が限られる
課題2 金属タンクの許容圧力の関係で、1本あたりの水素充填量が限られる

 これらの解決に向け、MIRAIで培った軽量・高圧で水素運搬可能な樹脂ライナー製CFRPタンク技術を活用し、今後実際に水素を運搬できるよう、開発・検討を推進するとしている。

3)「つかう」の挑戦

 過去3戦のモータースポーツの環境で鍛え、スピーディな水素エンジンの開発を推進。初参戦の「富士SUPER TEC 24時間レース」より改善を重ね、今回までの約6ヶ月間で、出力を約20%、トルクを約30%向上、「SUZUKA S耐」からの約2ヶ月では出力・トルクを5~10%向上させ、ガソリンエンジン以上の性能を実現している。

 一方、燃費水準は維持(仮に「富士SUPER TEC 24時間レース」時と同じ出力に揃えた場合、約20%の燃費向上が可能)。「SUZUKA S耐」の前に開発現場で新たに導入したコネクティッドシステムを、より多くのデータを処理・解析できるように改良し、テスト走行で活用することで開発スピードを向上させる。また、水素の充填時間を2分以内※2に短縮するとしている。

※2 水素ステーションノズル接続から抜くまでの作業時間

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