車の最新技術
更新日:2019.03.26 / 掲載日:2019.03.26

【マツダ】噂の新型SUV「CX-30」&新型マツダ3(アクセラ)注目の最新技術体感レポート

●文/山本シンヤ ●写真/澤田和久、マツダ、編集部

ジュネーブモーターショーで突如発表され、世界から注目を集めたマツダ新型SUV「CX-30」。その基本メカニズムは間もなく正式発表となる新型マツダ3(アクセラ)と共通というからその実力は誰しも気になるところ。タイミング良く、それらの新技術をひと足早くテストできたが、その真価は予想を超えるものだった!

  • マツダ CX-30

  • マツダ マツダ3

車両運動性能を飛躍的に高める新技術に注目だ!

 新型マツダ3には「究極の人馬一体」を目標に全てを刷新した次世代車両運動制御技術「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャ」が全面採用されている。今回、その詳細を北海道にあるマツダ剣淵試験場で体験してきた。
 マツダが提唱する人間中心の思想を深く突き詰めたスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャだが、まず重要なのがクルマと人間の接点となる「シート」。正しい運転姿勢には様々な意見があるが、その基本は骨盤下部・骨盤上部・大腿部の3点で「骨盤を立てること」、シートバック上部で「胸郭重心を支えること」だ。これで脊柱がS字カーブを綺麗に描くことになる。実はこの姿勢の時が人間のバランス保持能力が最も発揮できるのだ。
 今回、正しい姿勢とわざと姿勢を崩した姿勢で同様の走行を行ってデータ解析をしたところ、ステアリング操作の粗さやペダル操作の遅れが見られた。また頭の揺れも多く入力の変化に体が対応できていない事も確認。つまり、マツダ3のシートは正しい姿勢に導くシートと言うわけである。
 そして次に重要なのが車体とサスペンション。単純にボディ剛性が高いだけでなく力の伝わり方に注目している。具体的には、従来の上下左右方向に加えて前後方向にも骨格を連続させた多方向環状構造を採用。また、騒音の原因になる振動を抑えるため、ボディ各所に減衰節、パネル結合部などには減衰ボンドを採用。また、足を素直に動かすには簡素な方がいいという考えでリヤをマルチリンク式からトーションビーム式に変更。ただし形状は工夫され、横方向の位置決めはガッチリ、縦方向にはしなやかな独自形状になっている。また、バネ上に伝える力のピーク値を低減させるのではなく、時間軸で滑らかにすることで、人間の能力を活かす考え方を盛り込む。
 これらを体感するために、助手席のかわりに特製シートを取り付け、新旧モデルの比較をしてみたがその差は歴然。旧型はバランスを保持するのが難しかったが、新型はバネ上に伝わる入力に遅れがない上に、目からの情報と同じようにクルマが動くため楽に座っていられるのだ。

その1:ヒトを中心に考える新しい車両構造の考え方

SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル アーキテクチャ)

新型マツダ3のボディ構造。運動性能だけでなくNVHにもこだわり、振動エネルギー減衰の発想から、断面高歪み部位には減衰節、パネル結合部や高歪み部位のフランジには減衰ボンドなどを採用。

 まったくの新開発となるプラットフォームは、ヒトが本来持つ能力に着目。人間のバランス保持能力を最大限発揮させるために車両全体をトータルでコーディネートしているのが最大のポイントだ。新型マツダ3(アクセラ)から導入が始まる。

【シャシー】ばね上へ伝える力を遅れずに滑らかに制御

従来は、ばね上に伝える力の大きさを抑えることが目標だったが、これをいかに遅滞なく滑らかに伝達するかに考え方をシフト。サスペンション作動軸のブレ抑制やタイヤの上下バネ低減、サスペンションアーム取り付け角度などに工夫が凝らされている。

【ボディ】力の伝わる経路を多方向に環状構造化

従来は上下左右の環状構造を連続させていたボディだが、これを上下左右だけでなく、前後の骨格もつなぐことで「多方向に環状構造」としている。フロントダンパーから対角線上にあるリヤダンパーへの力の伝わりが滑らかかつ遅滞なく行われる。

【シート】入力エネルギーを滑らかに骨盤に伝達

ばね上と一体で動くことを目標にしたシートは、着座時に骨盤を立てて脊柱のS字カーブを維持するように工夫。また、入力エネルギーをシートの取り付け部から骨盤まで滑らかに伝えるために各部の剛性やガタを徹底的に見直している。

骨盤の重要性が分かる特製シートで実験!

正しい着座姿勢の重要性と新型マツダ3の車体構造の進化を体感するために用意されたのがこの特製シート。座面がユラユラと揺れて体が固定されないため、バランスをとるのがとても難しいのだ。

骨盤を立てた時と寝かせたときの走行を比較

グラフの青線はシートなりに骨盤を立てて運転した場合、赤線はお尻を前にずらして骨盤を寝かせて運転した場合。(1)でブレーキによる減速度が分かるが、青線に比べて赤線は一気に減速度が立ち上がってしまったため、一度ブレーキを戻しており、無駄な操作が生じていると言える。(2)はコーナーでステアリングを戻す場面。青線に比べて赤線は急な動作が多くスムーズさに欠けている。これらのことから、骨盤を寝かしていると適切な運転がしにくいことがわかってくる。

マツダ独自のGベクタリングコントロール+

 そしてこの優れた基本性能をより活かすのが、「Gベクタリンクコントロール+(GVC+)」である。エンジントルク制御で前荷重を与えてターンインの応答性を高めるGVCに加えて、ブレーキ制御により旋回中~ターンアウトの安定性と収束性を向上させる機能である。いわゆるブレーキによるヨーモーメント制御だが、他メーカーと違うのは内輪ではなく外輪を制御している点だ。つまり、「曲げる」事はエンジントルク制御に任せ、ブレーキ制御は「安定性を高める」事に用いられているのだ。
 今回はON/OFFが切り替え可能なテストカーに試乗したが、こちらもその差は歴然。ターンイン時は舵角が少ないうえ、クリップを超えて直進時に戻る際にアクセルを踏み込むとスムーズに復元するのが分かる。更に驚いたのはダブルレーンチェンジやパイロンスラロームを行なった際の挙動だ。4WDと錯覚するくらいリヤが落ち着いていた。無駄な動きが減る=修正舵が減る=次のコーナーへのアプローチがラク=意のままのドライビングに近づくというわけだ。制御自体が自然なので、機械に助けられている感じも一切ない。
 さらにこのGVC+と協調して前後輪のトルク配分を制御する新型i‐ACTIV AWDについてもテストできた。今回は新旧制御を切り替え可能なCX‐3試験車両だったが、駆動力が急にかかるような唐突な動きが抑えられていたのとタイヤが路面に押さえつけられているような安定性の高さを感じられた。それもあくまでも自然に……と言うのが他メーカーの制御と大きく異なる点だった。これらは新型マツダ3がベースのCX‐30でも採用されるわけだから期待は高まるばかりだ!

その2:統合制御で新たな次元の走りを実現

進化版 i-ACTIV AWD + GVC協調

現行CX-3をベースにした試験車両で進化版のi-ACTIV AWDをテスト。制御の切り替えをその場でできたため、違いがより分かりやすかった。

マツダ独自のGVCを軸に、進化したAWDシステムと協調制御することでより自然なドライブフィールを追求。定常域から外乱によるクルマの限界域まで、自然に操作できる人間の感覚にあったAWDを目指しており、実用燃費でも2WDを上回ることを目標にしているという。

GVCと新i-ACTIV AWD、さらにGVC+を連続的に機能させるため統合制御を行うのがポイント。車両のピッチング方向の動きを最適化することで、路面を問わずより安定した走りを実現できるようになるのだ。

進化版i-ACTIV AWDのシステム。エンジンやブレーキを総合的に制御するPCM(パワートレーンコントロールモジュール)がAWDユニットを直接管理することでより素早く緻密な制御を行う。駆動時の振動を抑制する機構も新規採用された。

GVCとAWDシステムを個々にではなく、連続的な変化をつけながら協調制御することで、車両自身が走行中に自律的にバランスをとれるようになる。これにより、より人の感覚に近いニュートラルな動きとなり、コントロール性が高まる。

SCOOP! 新型マツダ3(アクセラ)先行商談  スタート!

グレード&価格判明

 正式デビューは5月が予想されるため、もう少し先だが、ディーラーでは3月前半からすでに先行商談が始まっている。
 購入を検討中の本誌編集スタッフが実際に商談したところ、ガソリンモデルとディーゼルモデルはメーカーオプションも含めて見積書をとることができた。
 また、注目のスカイアクティブXモデルも価格が判明! ただしリリースが遅れて秋頃になるとのことで、現段階で見積書の作成はできなかった。しかし、こちらも先行予約注文はすでにスタート。現在なら発表後2か月程度、なんとか年内納車が可能なタイミングだという。

  • ※写真は北米仕様。

  • キャラクターラインをあえて用いず、湾曲したパネルをつなげることでキャビンとボディの凝縮感を演出。伸びやかなセダンモデルもラインナップ。

  • 「引き算の美学」で実現したシンプルかつモダンなインテリア。質感自体は非常に高く、欧州プレミアムモデルに近い印象だ。

  • 運転しやすさと疲れにくさを追求した新設計シート。グレードによってレザー仕様も選べる。

  • 新型マツダ3のトピックのひとつがスカイアクティブXエンジン。ディーゼル比40万円高といったところ。

新型マツダ3:バリエーション&価格

値引きの神様 松本隆一の新型マツダ3(アクセラ)購入完全攻略法

Q.ガソリン&ディーゼル車の販売が先に始まりますが、スカイアクティブXエンジン車を待った方がいい気もします……。

A.多少とも興味があるなら、発売を待つほうがいい。すぐに買い替えだと下取りの値落ちで大きな損失となる。「残クレなら損しない」という考えもあるが、やめたほうが無難だ。


●納期予想:2~3か月
●車両本体目標値引き:8万円
●リセール予想:C+

値引きの神様 松本隆一

すでに先行予約契約実施中!発表後は納車が遅くなりそう

 発売前から「正式な契約を伴う先行予約」を実施中。値引きの基本は3~5万円という店が多い。現状では車両本体と付属品の値引き合計が10万円前後になったら合格。15万円超なら文句なしの特上クラスだ。カロスポやフィールダー、シビック、シャトルなどがライバル車だが、競合させても「値引きではとても勝負できない」と引いてしまうことも。経営の異なるマツダのある地域は同士討ちに持ち込みたい。これから注文すると納期は2か月以上かかりそう。正式発売後は3~4か月待ちとなる可能性も。納車を急ぐなら今すぐ最寄りのマツダに走ること。

効果が見込めるライバル車たち

  • TOYOTA カローラ スポーツ

  • HONDA シャトル

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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