車の最新技術
更新日:2026.06.15 / 掲載日:2026.06.15

新型エルグランドに搭載された新技術を紐解く【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●日産

 16年ぶりにフルモデルチェンジされ、今夏に発売される4代目エルグランド。現行モデルはLLクラス・ミニバンとしては背が低く、走りの良さを特徴としていた。一方で新型は全高を高めて居住性を向上させながら、走りの性能にも磨きをかけている。それも、スポーティというだけではなく、上質で快適な走りを目指したようだ。

 パワートレーンは第3世代となるe-POWER。直列3気筒1.5Lターボ・エンジンは新開発された。エクストレイルに搭載されていた可変圧縮比のVCターボではなくシンプルな構成だが、始動や停止のタイミング、回転数などを自由に選べるシリーズハイブリッド用の発電特化型とて定常運転領域を重視することで熱効率を高めている。さらに高速域での燃費に課題があったため、高トルク域にまで最良効率の領域を広げたことも特徴となっている。

日産 エルグランド

 モーター、インバーター、減速機、発電機、増速機などのユニットは一体化した5-in-1となっている。これによって軽量化や小型化だけではなく、従来の締結型に比べて剛性が高まることで音・振動も抑えられる。

 モーターは最大トルクが500Nmもあるから、大きなボディを力強く加速させる。電気自動車やe-POWERなどモーター駆動のモデルを多く手がける日産は緻密なトルク制御に定評があるが、エルグランドはさらに進化。アクセル操作に対するレスポンスは素早いが、あくまでスムーズ。高速域での伸びやかな特性も実現している。しかも燃費でもクラストップを狙えるという。

 昨年、ホンダの提携話が持ち上がったとき「ホンダe:HEVに比べてe-POWERは高速域の燃費が良くない」と報道等でも言われていたが、第3世代はまさにそこに注力して開発され、アメリカ市場でのハイブリッド展開も視野に入れた日産復活の希望を背負ったユニットでもある。

日産 エルグランド

 従来モデルのDプラットフォームはe-POWERを搭載するためにアップデート。箱型のミニバンは室内に音がこもりやすいため静粛性向上には力を入れた。フロントやサイドには高性能遮音ガラスを採用するとともに、ボディ各部の遮音材カバー率をアップ、吸音材も効果的に配置している。さらに新世代アクティブノイズコントロールを採用。1~3列目シートまでそれぞれマイクを付け、それぞれにノイズを打ち消す音を出してすべての座席でノイズキャンセル効果が得られているという。

 4WDのe-4ORCEと電子制御可変ショックアブソーバーのインテリジェントダイナミックサスペンションは標準装備。車速や路面からの入力などに応じて連続的に減衰力を制御するとともに、車両の状態に合わせて前後トルク配分を変化させたり、コーナーでは内側にわずかなブレーキをかけるなどして理想的な姿勢をつくりだしている。

日産 エルグランド

 実際に走らせてみると、加速時や減速時のピッチングが少ないことに気づく。これはe-4ORCEの前後トルク配分によって抑えているからだ。また、停止時にブレーキ圧が自動調整されるのでカックンと止まることがなくてスムーズだ。

 コーナーではリア寄りの駆動配分になってフロントタイヤの駆動負担が減り、横方向のグリップを使いやすくなる。アクセルを踏み込んでいくとさらにリアの配分が高まって旋回力を増す。

 しかも、ショックアブソーバーは減衰力を高めて姿勢変化を抑え、内輪にブレーキをかけることでヨー(旋回する力)を高めるから、旋回能力が非常に高い。従来モデルに比べると背が高くなったが、コーナリング性能は大幅に進化しているのだ。

 ピッチングの少ないフラットな姿勢や静粛性の高さ、そしてモーター駆動の滑らかで力強い加速・減速によって高い動的質感を得た新型エルグランド。

 自らハンドルを握るドライバーズカーとしても、ショーファーカーとしても満足度の高い仕上がりとなった。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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