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更新日:2026.06.01 / 掲載日:2026.06.01

【新型CX-5解説】技術を磨き込み着実に価値を高めた【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●マツダ

 約9年ぶりのフルモデルチェンジで3代目となったCX-5。初代モデルはスカイアクティブ・テクノロジーの全面採用や、魂動デザインの初出など、何かと話題が大きく販売も絶好調。現在でもマツダの国内販売の1/4を占める主力モデルとなっている。3代目は、ファミリーカーに相応しい進化が図られている。

マツダ CX-5

 ボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1695mm。ホイールベースは従来比で115mm伸ばし、後席の居住性とラゲッジルームの拡大にあてている。

 後席は頭上+29mm、膝前+64mm拡大。リアドア開口部を約70mm後方へ移動して乗降性を改善。ラゲッジルームは奥行きを45mm拡大することで、従来は横にしか積めなかったベビーカーが縦に積めるようになった。ファミリーカーとしてのデイリーコンフォートを大幅に強化した。

マツダ CX-5

 ボディはひと回り大きくなったもののボンネット先端やルーフを高くして、従来モデルとシルエットの比率を維持しながら相似形的に拡大。間延びした印象がなく、一目でCX-5とわかるスタイリングになっている。インテリアはマツダが言う「引き算のデザイン」を推し進めた。大型ディスプレイに操作系の多くを集中させて物理的スイッチを削減し、シンプル&クリーンな印象となっている。

マツダ CX-5

 パワートレーンは、まず直列4気筒2.5L自然吸気エンジンに24V電源MHEV、6ATの組み合わせを用意する。

 2027年には圧縮着火燃焼技術を用いたSKYACTIV-Zエンジンを用いたマツダ独自のフルハイブリッドを投入する予定。人気だったクリーンディーゼルは廃止となったことが残念ではあるが、燃費や燃料コスト、低速域の頼もしいトルクなど、フルハイブリッドが代替となるのであろう。

 2.5Lガソリンエンジンの燃費は14.2km/L(WLTCモード)と、やや物足りないものの、1770kgの車両重量を考えれば妥当な数値。最高出力178PS、最大トルク237Nmのスペックで0-100km/h加速は10秒以上と、これまた物足りない気がするが、実際に走らせてみるとストレスはない。発進時など低速域ではディーゼルよりも応答性のいいガソリンエンジンとモーターアシストの恩恵で軽やかに加速、アクセルを踏み込んでいけば排気量が大きい割には吹き上がりが鋭い。

 今どきとしては段数の少ない6ATだが、頻繁なシフトチェンジによるビジー感がなく、息の長い加速が味わえると好意的に受け取ることができる。2000rpm付近のトルクがもう少し厚ければ申し分なく、6000rpm付近まで引っ張ると振動が大きくなるのが気になるところだが、使い慣れた各ユニットを制御等で上手くまとめ上げ、スペック以上に満足度の高い仕上がりとなっている。

マツダ CX-5

 静粛性も進化している。バランサーシャフト付のエンジンは軽やかな音質で嫌なノイズがなく、ロードノイズは音量が抑えられているというよりも車速や路面による音圧変化が少ないことで耳障りが良くなっている。高速走行での風切り音も抑えられ、極めて静かというほどではないが全体的に快適に感じられる。

 プラットフォームはキャリーオーバーで、サスペンションも基本的には従来モデルと同様だが、ショックアブソーバーの応答性改善を始めとする造り込みで熟成を図った。

 最近は多くのメーカーが初期入力域からショックアブソーバーが有効な減衰力を発生させるべく、摺動抵抗を利用するなど工夫を凝らしているが、CX-5ではサイズ拡大で容量を増やすとともにガス圧を約2倍に増加、バルブ流路最適化による油圧性能向上などを図った。特殊なデバイス等を採用するのではなく、基本性能の底上げによって広範囲な入力領域で性能を高めている。

 試乗してみると、たしかに初期入力域から素早く減衰力が立ち上がることで突き上げ感が抑えられ、ストロークが深くなっていくとぐっと粘って操縦安定性を確保。凹凸が連続する場面では伸びと縮みの境目が滑らかでありながら上下動の収束が早い。

 ショックアブソーバーがいい働きをするようになったことで、スプリングレートを下げることができたので乗り心地は大いに良くなっている。従来モデルはスポーティな印象が強かったが、新型はコンフォート志向でファミリーカーに相応しい仕上がりだ。

 それでいてコーナーではスタビライザーを強化したことでロールはほどよく抑えられ、十分な安定性は確保されている。新たに開発された標準装着タイヤは縦バネを少し下げて快適性を確保するとともに、外部騒音の低減を図った。加えてウエット性能も高く、安心感が高い。

マツダ CX-5

 もう一つの進化がブレーキだ。従来は初期のバイト感が強く“カックンブレーキ”になりやすかったが、ブースターの改善や制御のチューニングによって、線形化されたリニアなフィーリングを実現。バイト感を抑えてはいるが、踏み始めから減速はしっかりと立ち上がり、繊細なコントロールにも反応する。極めて自然なフィーリングでじつに扱いやすい。

 CX-60やCX-80などのラージ商品群は、一気にすべてを新規開発したことで粗が目立つ面があったが、3代目CX-5は従来モデルをベースに丹念に磨き上げたことで熟成型の進化が光る。いたずらにスポーティさを追うこともなく、快適性や使い勝手を高めることで、幅広いユーザーに支持されるファミリーSUVへと成長したのだ。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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