車の最新技術
更新日:2026.06.11 / 掲載日:2026.06.11

EVの中古購入に革命を起こす?! バッテリー残容量や異常がリアタイで分かる最新診断技術

写真のホンダ・スーパーワンやいすゞ・D-MAX(ともに人とくるまのテクノロジー展2026で写す)のようにさまざまなEVが登場する中でバッテリーの診断やリユースに注目が高まる

2026年5月27日から29日までパシフィコ横浜で行われた「人とくるまのテクノロジー展2026」はホンダ・スーパーワンやいすゞ・D-MAXなど注目EVのほか、自動車に関わるさまざまな最新技術が紹介されました。今年は中古車市場を大きく変えてくれそうなテクノロジーも多く公開されていましたので、現地で話を聞いてきました。

第1弾は、自動車のバッテリーに関わる技術です。近年、ハイブリッドカーからBEVまでバッテリーで駆動するクルマが増え、中古車市場でも多く見られるようになりました。ただ、いざ買うとなると「買ってすぐバッテリー交換が必要になったらどうしよう」と心配になってしまう人も多いと思います。そんな悩みを解消してくれそうな最新技術が、会場にありました。

住友電工・日新電機の「EVバッテリーのリアルタイム劣化診断」

「人とくるまのテクノロジー展2026」の住友電工の展示の「クルマと情報をつなぐ」のコーナーでEVバッテリーのリアルタイム診断についての技術が紹介された

住友電工と100%子会社の日新電機が提案したEVバッテリーのリアルタイム劣化診断は、走行中の充放電データを活用して劣化を診断。

住友電工「人とくるまのテクノロジー展2026」特設サイトより

日新電機が開発した定置用大型蓄電池に使われていた診断技術を応用したもで、具体的には過渡応答解析技術を使ってバッテリーの内部抵抗を算出し、その変化から劣化状態を診断。可視化するシステムです。

住友電工「人とくるまのテクノロジー展2026」特設サイトより

レポートの掲載内容の詳細はまだ確定していないものの、依頼から1~2週間程度で作成できる見込みとのこと。

車両ごとのバッテリーの劣化具合が明確化されることで、中古車の販売元にはより適正な値付けが可能になります。また、グーネットで言う「グー鑑定」のように、何段階かのランク分けにして一般ユーザーにも分かりやすく提示することが想定されており、中古車購入の役に立つものになりそうです。

「車載インフラの進化」「社会インフラとつながる未来」「住友電工の新技術・未来のたね」をテーマにさまざまな技術や製品を紹介した住友電工のブース

ヌヴォトンはスマホのようにバッテリー残り容量を常に数値化、リユースを支援

ヌヴォトンテクノロジージャパンのブースでもEVの高電圧化を支えるバッテリー監視ソリューションの展示が行われました。

こちらはバッテリーのセル1つひとつの発熱状態(内部温度推定)とバッテリーの劣化具合(SOH推定)を走行中、同時に測定し、遠隔で常に監視できる仕組みのものです。

バッテリーの容量や温度を測定するシステムのデモ

発熱状態や劣化具合は色分けによって分かりやすくリアルタイムでモニターに表示されます。

また、新品を100とし、現在の残存容量を数値として示す機能は、まるで一部のスマホやタブレットのよう。中古車売買においては、価格の根拠やユーザーの中古車選びの指標になるほか、廃車などでバッテリーを取り出す場合、リユースやリサイクルの判断基準としても活用できます。

電池の各セルの温度や残り容量がリアルタイムで表示されたモニター

同社では、新型バッテリー監視ICも展示し、サンプルの提供を開始。従来品は18個のICの直列セルを測定出来ましたが、新製品では最大26個と大幅に性能アップ。これによってシステムコストの削減できるため、より導入しやすくなりました。

バッテリーの残り容量の測定はいろいろな方法があるが…

ハイブリッドカーやEVのオーナーの方は、愛車を車検や点検に出した時に「SOH」という項目でバッテリーの残り容量が何%なのか、見たことがあるという人も多いと思います。

ただ、専門家に聞くと、計測方法によっては実際の状態と計測値に開きがあるケースも存在するとのこと。また、精度自体は高くても、計測に何時間もかかるケースもあるそうです。

こうなると、中古車売買に利用するにはあまり実用的でありませんよね。

一方で、上で紹介したようなリアルタイムかつ高精度のバッテリー監視システムなら、中古車市場でも十分、活用できそうな内容です。販売業者は適正な価格設定がしやすくなり、購入者もクルマ選びの重要な判断材料の1つになって、お互いに失敗のない取引を可能にしてくれるのではないでしょうか。

それだけでなく、急激なバッテリー劣化や過充電・過放電、あるいは異常加熱などを素早く検知して、大きなトラブルを防ぐのにも繋がる技術ですので、クルマを買った後も、維持費や修理期間を減らして、長く乗り続けるためにも役立ってくれそうです。

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ライタープロフィール

家本浩太(イエモトコウタ)

地方新聞社で記者としてキャリアをスタートし、自動車産業やモータースポーツ関連の原稿を多く手掛けた。その後、自動車分野を専門とする制作会社では雑誌やムック本、ディーラーの機関紙などの取材・編集などを担当。自動車ニュースサイトでデスクを務めるなどし、現在はグーネットマガジン編集部に。自動車関連で最も多く取材をした分野はキャンピングカー。

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