車の最新技術
更新日:2026.05.04 / 掲載日:2026.05.04
RAV4に搭載されたトヨタの次世代技術【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●トヨタ
年間100万台の販売台数を誇るトヨタRAV4がフルモデルチェンジを受けて6代目となった。単一車種ながら中規模の自動車メーカーに匹敵するだけに、技術的に注目点の多いモデルともなっている。
モデルチェンジの度にボディサイズが大きくなっていくことが多く、RAV4も1994年登場の初代は5ナンバーサイズのコンパクトSUVだったが、北米での人気を背景に大型化。4代目は日本市場には大きすぎるということで導入が見送られた。

その後、SUV需要の高まりを受けて5代目が日本市場に復活。TNGA(トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャー)によるGA-Kプラットフォームやダイナミックフォース・エンジンの採用などで話題を集めた。5代目のボディサイズや室内空間などパッケージングは世界中で好評とあって、新型の6代目はこれを継承。北米ではさらなる大型化、日本や欧州では逆に小型化という議論もあったが、グローバルで好評なのだから変える必要がないという判断がなされた。
GA-Kプラットフォームもキャリーオーバーとなるが、大幅な改良が施されている。ボディのねじり剛性は9.7%向上し、サスペンション取り付け剛性もフロントで30%、リアで27%向上。さらに、高減衰接着材の適用範囲を拡大し、微振動の抑制によって動的質感を高めている。

サスペンションは、フリクションを活用することで微小入力域から有効な減衰力を発生させつつ、大入力ではしなやかな動きを実現する摺動構造のカヤバ製プロスムースを採用。ブレーキシステムは従来の蓄圧タイプから新たにオンデマンド加圧タイプへと変更され、ペダル操作に対するコントロール性や応答性が自然で扱いやすいフィーリングを実現した。アクセルペダルは吊り下げ式から操作性に優れるオルガン式に変更されている。
制御技術も進化している。コーナーでの旋回時は前後の制動力配分を最適化し、フロントの外側、リアの内側にブレーキをかけることでロールを抑制。操縦安定性や快適性を向上させている。さらにコーナー進入時には、ステアリングの切り込みに連動して駆動トルクを抑制することでピッチングを発生させてスムーズにターンインしていく制御も行っている。
オフロードでは、新たな電子制御ブレーキシステムとハイブリッドシステムの連携によって空転制御が緻密になり、走破性が改善された。これらの制御は評価ドライバーのなかでも「匠(たくみ)」と呼ばれるトップガンとエンジニアが協力し、自然なフィーリングを目指したという。
先進安全運転支援システムのTSS(トヨタ・セーフティ・センス)も進化。カメラは画素数1.4倍、検知距離1.5倍、検知角度1.4倍拡大し、レーダーは基本設計を見直すことで検知距離が1.7倍となった。さらに従来は5台あったECUは1台のドメインコンピューターに集約されている。これによって右左折時の歩行者や自転車への対応を強化されている。

前走車に接近したときやコーナーの曲率に合わせて減速するプロアクティブドライビングアシストでは「匠」の運転をAI解析して反映させ、より自然なフィーリングとなった。ドライバーが気を失うなど異常時に対応するシステムは、自動車専用道では路肩など空きスペースへ退避する機能を追加し、一般道でも作動するようになった。
さまざまな新技術が投入される新型RAV4だが、もっとも注目されているのはソフトウエア開発基盤「Arene(アリーン)」の初採用だ。従来は機能別に多数のECUを採用し、ソフトウエアは個別に開発されていたが、「先進運転支援」、「コクピット」、「ボディ」、「パワートレーン」と4つのドメインへ統合された。
これによってアップデートは高速化され、しかも複数を同時に更新することが可能になる。ユーザーにとっては購入後のモデルも進化し続ける基盤が整ったといえる。将来的には完全な中央集約型へとなっていくが、RAV4はその前段階としてドメインごとに開発が統合された過渡的な構成ではある。だが、本格的なSDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル=ソフトウエア定義車両)時代に向けた重要な第一歩だといえる。