車の最新技術
更新日:2024.05.06 / 掲載日:2024.05.06

充電環境もプレミアムブランドにふさわしく

文と写真⚫︎石井昌道

 アウディ・ジャパンは2024年4月26日にAudi charging hub(アウディ・チャージング・ハブ)紀尾井町をオープンした。アウディは都市部でのBEV(電気自動車)の使い勝手を高めるべく、ディーラー以外にも充電拠点であるAudi charging hubを展開。紀尾井町は7番目であり欧州以外では初となる。

 設置された急速充電器は、2023年1月に事業提携を発表したパワーエックス社製の蓄電池(358kWh)を搭載したHypercharger(アウディウルトラチャージャー)で、2基4口。1基で1台だけ充電しているときの最大出力は150kW、2台を充電すると120kWになる。蓄電池は、電力および充電の需要が少ない時間帯にカーボンニュートラル由来の電気を蓄え、充電需要が多いときに提供するなど電気を効率的に利用すること、電力系統の負荷軽減が可能。屋上には太陽光パネルが設置され運営に必要な電力を補う。

 東京都心のような都市部でのBEVの課題は、まず集合住宅が多く自宅で充電できないことがあげられるが、最大150kWの急速充電器が気軽に使えるようになれば、ガソリンスタンドに行って給油する感覚に近くなる。100kWh級の大容量バッテリーを搭載するBEVでも10―80%まで30分あればほぼ完了するだろう。航続距離100km分の充電はQ8e-tronは8.5分、e-tron GTは6.5分だという。

アウディは高出力の急速充電器ネットワークとそれに対応する車両を揃えることで利便性を追求する

 都市部はスペースが少なく急速充電器の設置数も限られるので、充電待ちが生じる可能性が高いが、Hyperchargerは予約システムに対応しているので期待が持てる。Audi charging hub紀尾井町は、1基をPCA(プレミアム・チャージング・アライアンス)のメンバー専用、もう1基はすべてBEVユーザーが使えるものとしているが、前者は予約サービスの展開を予定しているという。超急速充電器が予約制になれば利便性はかなり向上するだろう。

 土地が貴重な都市部であっても、充電するスペースは広くとられていてe-tron GTなど大きなドアのモデルでも乗降性が良く、屋根があるので雨の日も安心。隣にはコンビニエンスストア、対面には正規ディーラーのアウディシティ紀尾井町があるので時間を持て余すこともなさそうだ。運営は年中無休24時間利用可能で、充電器に設置された二次元バーコードをPCAアプリまたはスマートフォンのカメラで読み込むことで利用できる。従量課金制となっていて、PCA月額会員は75円/分、PCA都度会員は200円/分、一般利用は250円/分となる。

 PCAはアウディとポルシェ、フォルクスワーゲンの3ブランドのオーナーを対象にした国内最大級の充電ネットワークで全国に356拠点があり、急速充電器の出力も90kWか150kWと高い。現在のところ97拠点が150kWへのアップグレードを完了している。これだけでも他社に比べて有利だが、Audi charging hubがそれを加速させそうだ。2025年には芝公園にも展開予定だという。2023年にはアウディQ4e-tronが約2000台販売され、輸入BEVでナンバー1となったが、充電ネットワークを充実させている効果も間違いなくあるのだろう。

Audi charging hub 紀尾井町では、オープン記念キャンペーンとしてすべてのBEVユーザーを対象に無料体験を提供中

 なお、Audi charging hub紀尾井町ではオープンを記念して、2024年6月30日まですべてのBEVユーザーを対象とした充電30分無料体験キャンペーンを提供している。期間中は1ユーザーにつき最大2回まで。充電器はCHAdeMO2.0.1対応なのでCHAdeMOアダプターは利用不可となっている。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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