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更新日:2026.03.28 / 掲載日:2026.03.28
家族との思い出を運ぶピープルムーバー、日産セレナ【名車の生い立ち#24】

大型連休によるレジャーシーズンを前に、いま注目を集めているジャンルといえばミニバン。なかでも日産 セレナは、2026年2月の乗用車ブランド通称名別新車ランキングでも8位に入り、現行モデルも依然好調なセールスを記録しています。また、今年(2026年)はセレナが登場してから35周年を迎えることもあり、ミニバンのなかでも特に注目度の高い1台といえそう。そこで今回は、日産 セレナの歩みを振り返ってみましょう。
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商用車から派生したピープルムーバー、バネットセレナ(C23)

1980年代の自家用車といえばセダンが一般的でした。しかし、1980年代後半にバブル景気が日本に押し寄せると、スキーに代表されるレジャーブームが到来。この影響で、自家用車におけるRV(現在のSUVやミニバン)の割合が少しずつ増えていきました。これと歩を合わせるように、自動車メーカーも次々と新型RVをリリース。特にオフロード向けのクロカンと多人数乗車のピープルムーバーに大きなブームがやってきます。そのひとつが1991年6月に発売された日産バネットセレナでした。

当時の多人数乗車モデルといえば、現在のような乗用車としての基礎設計を持つミニバンは稀で、その多くが商用車ベース。バネットコーチの後継として登場したバネットセレナもまた、キャブオーバー式のワンボックス型のミニバンです。同時に商用車のバネットセレナ・カーゴも発売され、働くクルマとしてのニーズにもしっかりと対応しました。これまでのバネットシリーズは角ばった質実剛健なスタイルでしたが、バネットセレナは一転、丸みを帯びたフォルムが特徴。フロントアクスルを前方に移動させることで、ドライビングポジションはセダンに近いものとなったほか、短いボンネットを設けることでエンジン補器類やラジエーターを前方に収納可能となり、より乗用車的なパッケージとなりました。

発売当初のエンジンは、1.6Lまたは2.0Lの4気筒ガソリン(GA16D/SR20)、2.0Lの4気筒ディーゼル(CD20)、2.0Lの4気筒ディーゼルターボ(CD20T)を搭載。また、スカイラインで定評のあった4輪操舵システム「スーパーハイキャス」をワンボックス車として初めて採用(一部グレードにオプション装備)したことも話題に。これによりワンボックスながらもスムーズな走りを実現したのです。なお、1994年のマイナーチェンジ以降はバネットの表記が外れ、車名はシンプルに「セレナ」となりました。
打倒ステップWGN!新設計ミニバンとして再出発した2代目(C24)

90年代半ばになると、日本に7〜8名乗車のミニバンが本格的に普及しはじめます。その草分けとなったのがホンダ オデッセイ(1994年)とステップワゴン(1996年)。これまでのミニバンといえば商用車ベースが中心でしたが、ホンダは乗用車をベースとしたモデルを開発。商用車と比べて耐久性こそやや劣るものの、衝突安全性や使い勝手、運転のしやすさは格段に進化し、まさにミニバンのエポックメイキングといえる存在でした。それに続くかたちで、1999年6月には日産 セレナがフルモデルチェンジ。当時ホットなジャンルだったミニバン需要をねらい打ちしました。

2代目となったセレナは、従来のミッドシップ式のセミキャブオーバーボディから、一般的な乗用車と同じFFレイアウトを採用。フロアの高さを低く抑えたほか、全車に両側スライドドアを採用して乗降性を大きくアップ。低フロア化により室内高も高くなり、室内も広くて快適になりました。また、フロント左右シートとセカンドシート間のウォークスルーも実現。多彩なシートアレンジにより、日々の送り迎えやレジャーの細かなニーズにしっかりと応えたのです。
パワートレインは、2.0L 4気筒ガソリン(SR20DE)+CVT、2.5L 4気筒ディーゼルターボ+4速AT(YD25DDTi)を搭載。リアに新開発トレーリングアーム式マルチリンクサスペンションを採用し、操縦安定性や乗り心地も高められました。
開放感抜群!さらに快適に進化した3代目(C25)

2000年代に入るとミニバンブームはさらに加速。5ナンバーサイズのミドルクラス・ハイト系はトヨタ ノア/ヴォクシー、ホンダ ステップワゴン、そして日産 セレナの3強が熾烈なシェア争いをすることになります。そんななか、2005年5月にフルモデルチェンジを受け、3代目セレナが登場しました。ルノーとの資本提携により、プラットフォームはルノーと共同開発のCプラットフォームを導入。エクステリアはヨーロピアンなデザインになり、ミニバンながらも洗練されたデザインとなったのが見どころです。

インテリアは、ガラス部分が大きくなったことで室内は明るくなり開放感がアップしました。具体的には、ウェストラインを低い位置に落としたほか、インパネデザインは横に広がりのあるデザインを採用したのが注目のポイント。先代と同じく両側スライドドアを採用し、ステップ高を低くすることで乗降性もさらに改善し使いやすくなりました。さらに2列目中央部のシートを折り畳めばテーブルとして活用できるなど、使い勝手にもとことんこだわったのが特徴です。エンジンは、2.0L 4気筒ガソリン(MR20DE)を搭載し、これにCVTが組み合わされました。ヨーロピアンな見た目、そして軽快な走りと快適な室内は高く評価され、2007年から2009年までの3年間、ミニバン販売台数第1位を獲得しました。
ハイブリッドを導入して環境性能を高めた4代目(C26)

強力なライバルを制し大ヒットモデルとなったセレナは、2010年11月にフルモデルチェンジ。4代目セレナは、先代のスタイリングを踏襲しつつ、各部ブラッシュアップを行いました。エクステリアは、より流麗なフォルムをまといスポーティな印象をアップ。インテリアは、艶やかなフィニッシャーを用いてセンタークラスターの質感も高められました。またパノラミックルーフを採用し、開放感のある室内を演出。なお、室内長は先代と比べて300mm長くなったほか、テーブルやアームレストとして活用できるスマートマルチセンターシートの活用により14通り以上のシートアレンジも可能に。

発売当初のパワートレインは、従来同様2.0L 4気筒ガソリン(MR20DD)を搭載。一方、この時期は世の中はエコカーブームとなり、ハイブリッドや電気自動車が注目を浴びていた頃でした。そのニーズに応えるように、2012年8月にはセレナ Sハイブリッドが登場。これは従来から搭載されているECOモーターの回生発電量と出力を高めて駆動力をアシストし、サブバッテリーを搭載することで燃費を高めたのが特徴となっています。これにより、使い勝手はそのままにJC08モード15.2km/Lという優れた燃費性能を実現しました。
プロパイロットを導入、さらに快適になった5代目(C27)

2016年8月、セレナは5代目にフルモデルチェンジ。この時代は、先進安全技術が普及し、ファミリーカーにも導入され始めた頃。そんななか、日産は次なる一手としてセレナに同一車線自動運転技術「プロパイロット」を設定。これは、高速道路などの自動車専用道路において、先行車両との車間距離を一定に保つとともに、ステアリング操作をサポート。長距離ドライブの負担を軽減してくれる画期的な先進装備で、5代目セレナ最大の注目装備となりました。

エクステリアは、Vモーションを強調したフロントグリルや屋根が浮いているように見えるフローティングルーフ、伸びやかになったサイドウィンドウ下端のシュプールラインなど、より力強いデザインに。また、クラストップレベルの室内長3240mmと室内幅1545mmを確保し、快適性はさらにアップ。発売当初のパワートレインは2.0L 4気筒ガソリンと同ハイブリッドの2機種が設定されました。さらに2018年2月、ノートで好評だったe-POWERをセレナにも導入。ガソリンエンジンで発電し、100%モーター駆動という画期的なメカはセレナの売れ行きをさらに底上げ。ミニバンとしてのパッケージにプロパイロットやe-POWERというハイテクの合わせ技で、その人気は確固たるものとなりました。
ハイテク路線をさらに進化させた6代目(C28)

2020年初頭から始まったコロナ禍の影響で、クルマの需要が伸びた2020年代。同時にウクライナ・ロシア情勢によりクルマの価格は徐々に上がっていきました。先進安全装備の衝突被害軽減ブレーキやACCなどもファミリーカーにまで普及し、もはやハイテク装備は当たり前の時代に突入していきます。

そんななか、2022年11月に登場したのが6代目セレナ。初代から受け継がれた利便性はそのままに、最先端技術を充実させさらに快適になったのが特徴です。具体的には、先代に初搭載されたプロパイロットを全車標準装備化。さらに、最上級グレード「ルキシオン」に進化した「プロパイロット2.0」を標準装備しました。これは、高速道路を走行中に一時的に手を離せるハンズオフ機能を持つアップグレード版。また、e-POWERも第2世代に進化。新開発1.4Lエンジンを搭載し、静粛性を高めるとともに加速性能もアップ。合わせて高剛性サスペンションを搭載することでクルマ酔いを軽減し、ファミリーカーとして嬉しい改善も行われました。
1991年の発売以来、35年もの間、移り変わる家族のカタチに寄り添ってきた日産 セレナ。国産ミニバンの最前線で時代に合わせた進歩を遂げてきました。これからも家族や友人との大切な思い出を運んでくれるに違いありません。