車の歴史
更新日:2022.10.02 / 掲載日:2022.10.02

ホンダ シビック 50周年!歴代モデル一気乗りレビュー!

2022年の7月で50周年を迎えたホンダを代表するグローバルカー「シビック」。昨年登場した11代目は、2022年にハイブリッドのe:HEV搭載車、タイプRが発売され、ますます盛り上がっている。今回、ホンダコレクションホールに収蔵されている初代から9代目までのシビックに乗るチャンスに恵まれた。その進化の足跡をたどる!

●文:川島茂夫 ●写真:本田技研工業(株)

シビック50周年記念! 歴代モデルイッキ乗りレビュー!!

モビリティリゾートもてぎの北ショートコースで歴代シビックに試乗。初代シビックからしっかり走れるコンディションに整備されていた。
ホンダコレクションホールに収蔵された歴代シビックと最新11代目シビックの記念ショット。50年の歴史の並びはまさに壮観。

筆者が歴代最高傑作と思うのは
今回乗れなかった三代目シャトル!
 初代の登場は1972年7月。気分的には「昭和47年」と表記したほうがしっくりくる。筆者はまだ高校生だったが、同型現役中に試乗する機会もあり、この試乗は懐かしい同窓会にでも参加したような気分だった。
 初代の試乗車はRS。2連CVキャブを装着したスポーティ仕様だ。CVキャブと言えばホンダ高性能車のシンボルのひとつであり、S800系統は4連CVキャブである。ボンネットを開けて2連CVキャブを見ただけで昂揚してしまう。
 ミュージアム展示車両故に扱いは慎重に。最高速度も50㎞/h制限。それでも軽い吹き上がりと伸びやかなトルクが心地よい。でも本音を言えばCVCC車を乗りたかった。不可能と言われた北米マスキー法(後に廃案)を最初にクリアしたモデル。ホンダ環境技術の祖でもあるのだ。
 二代目は手堅くキープコンセプトで車体を一回り拡大。登場当時も膨らませた感じだが、改めて乗っても同じ印象を受ける。
 そして個人的にはシビック史上一番の傑作と思っている三代目。水上ヘリのフロートから滴る水滴越しのシャトル! 3タイプ設定された車体のボディ別の適応用途とキャラが明快。その象徴が5ドアのシャトルなのだ。試乗車はセダンでちょっと残念。この辺りまでは機械の生々しさが伝わってくる。コツを掴まないと扱いも大変だし、速度感もやたら高め。今のクルマなら不安もない100㎞/hを高速と呼ぶのが妥当な時代だった。
 四代目からは高性能志向が強くなり、VTECも登場する。それと同時に乗り味や運転感覚も近代化。六代目まではその流れで進んだ感じだ。この辺りは「懐かしい」の意味がちょっと違ってくる。最早遠くない。運転も簡単で快適。
 七代目は使い勝手がよくいいクルマだと思うのだが、人気はイマイチの記憶がある。IMAを搭載したハイブリッド車も登場。今乗ってもそう古臭くもない。ただ、実用ウェルバランスで地味なだけ。
 八代目からはセダン逆風も強まるばかりで、スポーツ性をアピールして趣味嗜好へと傾倒していく。提案よりも市場性というと、凄く世知辛い感じだが、黎明期のエポックがなくなっていくのがちょっと寂しい。
 とチョイ乗りながら一気に歴代シビックを試乗したが、初代RSから始まる愉しい走りへのこだわりやCVCCから始まる環境性能への挑戦はシビックだけでなくホンダのクルマ造りの根幹へと昇華。シャトルの撒いた種はフリードやヴェゼルが根付かせているし、シビックがホンダの基軸モデルであることを再確認できた。

初代(1972/07登場)

コンパクトな車体に実用性を詰め込み、軽快な走りを売り物に国産2BOX車のハシリとなった。若々しくスポーティなイメージだけでなく、CVCCによりマスキー法を始めてクリアした環境性能先進車でもあった。

二代目(1979/07登場)

初代から車体サイズを一回り拡大するとともにワゴン(カントリー)を設定するなどキャビン実用性を向上。メーターと操作系など部分的には斬新さを見せるが、基本的にはウェルバランス型。よく言えば初代より大人っぽくなった。

三代目(1983/09登場)

想定用途に応じてパッケージングが大きく異なる3タイプの車体を用意。さらに低ボンネット高のためにサスにトーションスプリングを採用。16バルブDOHCをラインナップするなどシビック躍進の原動力となった。

四代目(1987/09登場)

3代目と比較すると個性が低下した印象も強いが、車格感や需要などの一般的な価値感を取り込んだ安定感がある。走りへのこだわりは健在であり、ダブルウィッシュボーンサスの採用やVTECエンジン設定が見所。

五代目(1991/09登場)

サンバ(舞踊)のイメージを投影した躍動感溢れるスタイルを採用し、見た目にもスポーティな印象の強いモデルとなった。また、環境性能面では片バルブ休止とリーンバーンにより燃費性能向上を図るVTEC-Eを設定。

六代目(1995/09登場)

シビックにおいてタイプRが始めて導入されたのが同型。レース仕様に近い走りが印象的。また、環境性能の充実にも前向きであり、新型VTECやCVTを導入して燃費性能を向上。現在に至るシビックの原点とも言える。

七代目(2000/09登場)

コンパクトカーの基本に忠実に開発。広いキャビンと実用性の高さが売り物であり、インパネシフトも採用された。翌年、フィットが登場した影響もあるが、IMA搭載のハイブリッド車も追加されるが人気は伸び悩む。

八代目(2005/09登場)

同型からユーティリティ系からプレミアム&スポーティ路線へとシフト。国内仕様はセダンのみの設定となった。タイプRもラインナップするが、環境性能や安全性能の向上に注力。性能に対する考え方がとても現代的だ。

九代目(日本未導入2011/04登場)

標準車が日本未導入となったモデル。北米市場では4ドアセダンと2ドアクーペ、欧州市場では5ドアハッチバックをラインナップしていた。日本市場では英国生産のタイプRが750台で限定販売された。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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