車のニュース
更新日:2026.01.09 / 掲載日:2026.01.09
昨年最も読まれた記事を振り返る【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】

文●池田直渡 写真●ユニット・コンパス、日産、マツダ
新年明けましておめでとうございます。とはいえ、この記事が読まれるのは9日なので今更新年の挨拶でもないかも知れない。とは言え、年末年始は各メーカーも長期休暇でこれといったニュースも出てこない。なので昨年この【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】で読まれた記事を振り返ることから始めたい。
全体を振り返ると、個別のクルマの話よりも、やはり自動車メーカーの経営や今後の方針、そして自動車産業を巡る制度改革などに興味が集まる様だ。ちなみに編集部によれば、1位と2位の読まれ方は3位以下を引き離して飛び抜けているとのことだ。
1位:マツダの希望退職者500人募集は何を意味しているか?【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】掲載日:2025.04.25

別にそれを狙って記事を書いたりはしないのだが、マツダの記事はPVが伸びる。この記事はマツダの希望退職者募集のリリースが出て早々にマツダの考え方を取材して書いた記事である。
その後、マツダでは希望退職者が殺到し、ちょっとした騒ぎになったので注目されることになった。ところがこんな地味なニュースを解説した記事はあまりなかったので、検索流入が激増したものだと受け止めている。
記事にある通り、マツダは、幹部候補レースが決まった(現実的な言い方をすれば幹部になれなかったと言うこと)50歳以降の社員に、さらなる活躍の場を提供することを目的に希望退職制度を採用した。

ご存知の通り、自動車メーカーは、サプライヤーから供給される部品を組み立てて製品を作っているわけで、サプライヤーの能力向上はかなりストレートにメーカーの競争力に直結する。特に出世レースの良い所まで健闘して、惜しくも経営幹部になり損ねた能力の高い人材は、そのままマツダ社内でスローダウンしてしまうより、むしろサプライヤーで活躍してもらった方が、本人のためにもサプライヤーのためにも、ひいてはマツダのためにもなる。というのが制度の基本理念である。
実は最初の募集時には、手を挙げる人が少なかったと言う。やはり退職が折り合わず、居残りになった場合の気まずさなどを考えると、様子見に回る人が多かったらしい。しかしながら、退職割り増し金に関する報道が出たところで、空気が変わった。報道によれば最大4000万円の積み増しと書かれたので、希望退職者が殺到することになった。
当初は、希望者全てに応えるとしていた会社側も、とても応じきれなくなり、打ち切りが決定。その結果、話が違うと苦情が噴出した形である。まあそれなりに軋轢があったのは事実だが、「マツダの未来を悲観した社員が大量離脱しようとしている」とかの穿った見方は本質とはだいぶ違う。巷に溢れる針小棒大な記事は是非眉に唾してご用心のほどを。
2位:自動車税13年問題について考える【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】掲載日:2025.08.08

記事の趣旨はちょっとややこしい。13年経過以降の自動車税の重課(割り増し課税)は、環境性能の良いクルマへの転換を進めるために一定の意義があったことを認めつつ、平成21年排出ガス規制(2009年)以降の規制適合車については、もはや罰則税を設けてまで、退出を促進する必要がないと思われることから、重課の役割はすでに終えていることを示した記事だ。

驚くべきことに、高市政権では、長年改訂を拒んできた自動車関連諸税に次々とメスを入れ、事実上取得税の置き換えで、実質的には割り増しであった「環境性能割」の廃止や、ガソリンに課せられていた道路特定財源の残滓である「当分の間税」の2026年3月末をもって廃止することを皮切りに、令和10年(2028年)までに、保有に関する諸税についても見直しを行うとしている。
13年超えの保有車に対する重課がどうなるかはまだわからないが、現政権の自動車諸税に対する政策には大変期待できる様に思う。
3位:e-POWERの未来【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】掲載日:2025.05.23

とかく経営が厳しいと無責任に書き立てられる日産。もちろん全てが盤石と言う経営状態ではないが、かと言って一部のメディアが面白おかしく仕立てる「明日をも知れぬ経営状態」というのは誹謗中傷に当たると思う。
と言う中で、日産のハイブリッドシステム「e-POWER」の第3世代の性能向上に期待を寄せる記事を書いた。ご存知の通り、e-POWERとはシリーズハイブリッドであり、80km/hを超える高速領域で、燃費の利得が小さい。まあ単純に書けば、高速道路で燃費が悪いという話なのだが、新世代のe-POWERではそれを大幅に改善したことを紹介した記事である。

不動のチャンピオン、トヨタのTHS2を燃費で上回るかと言われると厳しいかも知れないが、グローバルで見た場合、トップグループの性能であることに変わりはない。今、米国でも欧州でもハイブリッドの人気が高まる中で、十分以上の戦闘力があることは間違いないのだ。特に米国での販売に貢献することが期待され、そういう意味では日産復活の主戦力になる可能性が高い。
ということで、昨年読まれた記事のトップ3を振り返ったが、経済は日々の生業の積み重ねでできている。昨年の事象は、良きにつけ悪しきにつけ今年の成績に影響を与えるだろう。事業全体を連続性の中で見ることは実は重要でもある。
新年の始まりにあたって、過去記事などをもう一度見直してみると色々な発見があるかも知れない。また新たな一年よろしくお付き合いのほどを。
参考データ
経済産業省[令和8年度 経済産業関係 税制改正について]
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2026/pdf/03.pdf


